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10年前に書いた「曲」を小説に書き起こしました。 CM。のつもり。https://www.instagram.com/…
「作曲しよう。」 そう呟き、男はおもむろにギターを抱えた。 ひた向きに追いかけていた「…
「うわっ。なんかちょっと怖いかも。」 初めて中野駅に足を下ろした永人(えいと)は緊張し…
「俺はバカだ。」 二日酔いの元日、永人は部屋のベットで横になり携帯のメール画面に「新年…
「今年は何かある。」 永人がそう確信したのは里緒ちゃんから返信があった次の日のことだ。 …
バンドの空気感、慣れない作曲、肺の穴、田舎に居た頃とは全く違う音楽の環境、精神的にも肉…
初ライブが終わった後から、里緒ちゃんと頻繁にメールをするようになった。彼氏がいるのでさほど沢山ではないのだが、今までに比べたら凄い進歩には違いない。バンドのこともいつも気にかけ応援してくれている。メールの一通一通が大きな喜びで、気に入った言葉が入っていれば即座に保護をして何度も見返していた。 浮かれたり落ち込んだり、練習したり作曲したり、飲みに行ったり寝ていたり。大学の学生であることなどとうに忘れ、忙しなく過ぎる日々の中永人はまたも肺気胸になり入院することになってしまっ
永人には葛藤があった。 サークルでは出来ることが自分のバンドでは出来ないことだ。自信…
進展のない活動そのものにやきもきしていた永人だが、春休みを利用し修さんの家に住み込みで…
未だに葛藤だらけの暮らしを続ける中、里緒ちゃんとの関係だけは順調に良くなっていた。念願…
「なんでこんなことが起こっているのだろうか。」 永人はまだ理解が追いついていない。 入…
働く場所と住む場所、生活費を安定させたいと言い、里緒ちゃんは箱根の温泉旅館に住み込みで…
里緒ちゃんと付き合い、バイト先で勉強し、少しは前向きになれた永人と同調するように環境も…
寮暮らしで使う場所も時間もなかった里緒ちゃんは、貯まったお金で永人への誕生日プレゼントにと伊豆の高級旅館を予約してくれた。 一日数組しか泊まれず若くてフラフラした輩が泊まれるような場所ではなかったのだが、日々予定に追われる永人を見て「たまには心に余裕も持たないとね!」と言い休暇を取らせるためにと無理して招待してくれたのだ。 受付ではお茶をたてて貰い、上品なお茶菓子が一緒に出された。こんなチェックインは初めてで、振る舞い方もわからずに受付の僅かな時間だけでもかなり緊張してい