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「私の青春時代には、いつもあなたという存在がいた」
タイトルの言葉を言われたことがあった。
高校生の頃にしていた個人のホームページで、私は毎日毎日、日記を書き続けていた。次第にファンが付き私の日記を読みたいという人たちがたくさんできていった。同世代の子から、下は小学生の子まで。
メールで感想をいただくことも日常的にあったが、面白くて笑った、元気が出た、そして時には涙が止まらなかったなど、私の日記に共感してくれる人からの感想が次々に届いた。
ホームページをしていたのは高校3年から1年ほど。専門学校に行くことが決まっていた私は高3の冬は日記を書き続けた。
期間はほんの数年と短かったが、その「私の日記を読む時間」はその子たちの青春時代に確かに刻まれていて、色褪せないあの時代を思い出すと、そこに私のことが入ってくるのだ、と。
そう言われた。
ホームページを閉鎖した後はアンチへの対応がしんどくなったためにずっとネット上には表に姿を現さず、非公開の場でいたのだが、数年前、ふと思い立ち15年ぶりに公開Twitterとブログを始めた(今はもう消去したが)。
急に、あの時のあの人たちは今なにをしているのだろう、と気になったのだ。
そうして当時のHNとホームページの名前を書いて表に出てみた。誰かが探してくれるのを待って。15年前のインターネットの日記のことなんて、誰が思い出すのだろう、と思いながら。
しかし、予想をはるかに超える50人弱の人が「ふと、私を検索したら辿り着きました」と言ってDMを送ってきてくれた。皆、「あの頃」を懐かしみながら長文で、再会できたことへの喜びが綴られていた。
15年経ち、学生から大人になり、仕事を頑張っている人、一生懸命に子育てをしている人たちが、日常をせわしなく過ごしている中にふと、青春時代を思い返し、そうしてふと、私を思い出すのだそうだ。
「どうして探してしまうかを考えたら、私はあなたの文章の中にずっといたかったからでした。」
そんな言葉をもらったこともあった。
なんだかこそばゆい、そんな気持ちになる出来事だが、テキストサイトに少しの写真しか載せられなかったあの時代に、確かに今も生きている私の文字たちが誰かの心の中で踊っているのは、とてもとても眩しい。
「今」の私の言葉たちも、誰かの心の中で踊るだろうか。
そんな文章を、これからも紡いでいきたいと願う。
山口葵
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