音に包まれる色は描きやすい【共感覚アートメモ】
共感覚アートは、感情・人やものへの印象・音楽を色にしてアートとしていくが、描きやすいものと描くのに時間がかかるものがある。
私の共感覚は思い出すと脳に色が浮かぶというものが多く、人やものへの印象は特にそれらの反応を示す。感情は一時的にその色に溺れるような感覚になるが、あくまでもその一瞬、その感情を持ち合わせている時に限る。
その時その時の感情自体を都度再生するというのは共感覚を持っていない人間でも容易ではないのではないだろうか。
となると、今の感情でないアートを描こうとすることは怒っていない時に怒りの感情を呼び覚まし描き起こすようなもので、難航する時もよくある。
今その感情があればそのまま描きうつすだけなのだが、平坦な毎日を送っていると感情が揺さぶられず色も特に印象づいてこない。なのでこんな感情をアートにしたい、と思った時にはそういった作業を行う必要がある。
人やものへの印象も同じで、その人と話している時に何色だと思うわけではなく、あとから思い返すと色が脳に浮かぶので、同じ作業を行って描いている。
人への印象の受注生産ではこの思い起こす作業が現在進行形の「感情」に塗り替えられなかなか困難に感じた。困難過ぎて、1年以上待たせてしまった人もいるほどだ。
挙げた中で一番描きやすいのは音からの共感覚であると最近気づいた。音楽や歌声を覚えることで何度もその色を思い出しやすく、似たようなものを描くことも出来る。音に包まれた共感覚で観える色はとても一定で、見つけやすく描きやすい。
ライブペイントでは一度同じ音楽を家で小さなキャンバスに描いて練習した。だいたいの色が定まったので当日持っていく色も数色だった。
描きやすい音と色。これらを合わせてまた何か新しいことが出来ないかな、今後の構想を練ってみようか。
山口葵