傷は勲章とよく言うけれど
他愛もない話をしながら、久しぶりに顔を合わせた従姉妹をそっと見つめる。
大学に通うため遠方に引っ越してから、彼女は飛行機代が高くつくからとお正月やお盆を避けて帰るようになり、その時期以外休めない私とは長くすれ違いの日々が続いていた。
「仕事はどう?もう慣れた?」
手早く服を脱ぎながら、浴室に持ち込むものを取りまとめる。祖父母の家から歩いて数分のこの温泉施設には、昔から帰る度にお世話になっている。
今年地元に戻って就職したばかりの彼女はそうだなぁと呟き、とりあえず中に入ろうと