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水と塩分 #文脈メシ妄想選手権

遮光性カーテンの隙間から、光が一すじ差し込んでいる。暗がりの中、携帯の画面に浮かんだ数字は、今日という日の三分の二が過ぎ去ったことを私に教えてくれた。

休みとは言え、ずいぶん長く寝入ってしまった。数時間後には再び閉めるカーテンを、申し訳程度に半分開く。

あまりに眠り過ぎたのか、頭がズキズキと痛んだ。起床後の頭痛は脱水症状が原因だっけと、おぼつかない足取りでキッチンへ向かう。

ひとまずコップに水を汲み、喉を潤すけれど何かひとつ足りない気がして、ふと、冷蔵庫にキュウリの漬物があったことを思い出す。
タッパーに入ったそれは塩気で一回り縮んでしわしわになっていて、水を求めて乾いた私がそこにいるみたいだった。

楊枝すら準備するのが惜しくて、思わず手づかみで口に放り込む。ポリポリパリと歯応えを感じ、塩のしょっぱさが胃に染みる。
そうそうコレ、私コレが欲しかったの。
コップの水とキュウリの漬物を代わる代わる口に入れて、かみしめて、飲み込んで。

そういえば人の体って水と塩分で出来てるんだっけ。
そりゃあウマイと思うのも自然の摂理。生きてるってそういうこと。

ポリパリモグゴク。

ひとしきり自然の恵み、命の喜びに感謝して、器が空っぽになったところで、


ーー私は隣のドラ焼きに手を伸ばした。

fin

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だって欲求にはあらがえない。

マリナ油森さん、あきらとさんの企画「 #文脈メシ妄想選手権 」に参加させていただきました。

他の皆様のようなトキメキ、ほっこり成分皆無ですみません…
素敵な企画をありがとうございました!

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