時間をかけてゆっくりと
自分語りが苦手だ。人のではなく、自分語りをする自分がどうしても好きになれない。
自分のことを書こうとすると、どうしても「昔は苦労したけど今は乗り越えて良い経験にできている(らしい)」自分とか、「これまで人より物事を深く考えて生きてきた(らしい)」自分がむくむく顔を出して勝手に歩き出して、文章のあちこちに「こんな私、良くない?」を植えつけ始める。
自己顕示欲が強いと言えばいいのか。とにかく自分を認めてほしい。一目置いてほしい。
大抵それに気づくのは後から読み返した時で、それ以上はもう気持ち悪いというか見るに耐えない気持ちになって、書いたことをいつも後悔する。
自慢したいなら自信があるなら堂々とそれを主張すればいいのに、それができないのは紙に描いた自分は単なる願いで望みで、人の評価がそれと異なることを知っているからだ。
楽になるためには見せかけの自分を遠くに捨てて、そのままの自分を飾らずに出せばいいだけなのだけど。
…だけど。
「でもね!わたしやっぱり頑張ってるのよう!」と言い張って座り込む小さな手を今すぐ手離すなんてこと、私が一番できないみたいだ。