夕陽の煌めき、雲の向こうは神の国
昨日、夕方の散歩に行く時にスマホを忘れて出て行ってしまった。
いつもは無線イヤホンをして音楽を聴いたり、ラジオ代わりに動画を聞き流しながら歩いている。
寒くなってからは特に何か音がないと歩くのが辛くて、早く帰りたくなってしまうのだ。
でも昨日はいつもより温かく、久しぶりに耳に何も入れずに身体に風を受け、
両手に沈みゆく夕陽の煌めきを受けながら歩くのが心地良かった。
無意識に、「早くすごい存在にならなきゃ」と思っていた。
すぐに結果を求めるのは私の悪い癖だ。
20代はずっと病気だったから30代になって焦るのも分かるけれど、それよりももっとずっと大切なことがあるとどこかで分かっていた。
もくもくと沸き立つ雲の向こうに、オレンジの夕陽。
昔、飛行機の中から雲の上に夕陽が射しているのを見た時、「ここが神の国だ」って思ったっけ。
そう、遥か空、雲の上には神の国があるのだ。
公園の池の水面に映り揺れる青空と雲。
大きな大きなくじら雲に、
こちらも大きな魚形の雲も見えた。
不思議とどちらも目と口の位置にちゃんと穴が開いていた。
たまたまスマホを置いて出かけただけで、
そんな壮大な景色にも気づくことが出来た(スマホを持っていなかったから写真でお見せ出来ないのが残念だけれど)。
私にもまだこんな感性が残っていたんだ。
良かった。
もう十分がんばったよ、私。
もうそんなに必死になって外の情報を入れなくても、身体という無意識にゆだねていった方がきっと上手くいくんじゃないかな。
頭で考えるのに疲れ切っていたんだと思った。
無心に身体を動かすことで身体の中の細胞が動き出して、おしゃべりを始める。
頭をこねくり回さなくても、身体から温泉みたいに言葉が自然と湧き出てくる。
それこそが本当の私の声だ。