意外な発見?アリ。地方の旅はココに注目!
地方都市を旅するときは、できるだけ地元のスーパーに立ち寄るよう心がけています。理由は、普段自分が住んでいる近くのスーパーではあまり見かけない商品を発見できるから!
陳列されている商品の違いで、その地域の食生活や歴史を垣間見ることができるなんて、なかなか面白いと思いませんか?
❚ お土産もいいけれど・・・
旅行や出張で地方都市に行けば、よほど時間に余裕がないとき以外は、何かしらお土産を買って帰ります。その地域ならではの特産品を使ったものだとか、ここでしかゲットできそうになくて、いかにも美味しそうなものは、つい買っちゃいます。
でも、地方をあちこち巡るうちに、「あれっ、これ前にどこかでみたよなぁ・・・?」的なお土産にも、ときどき遭遇します。パッケージこそ違えど、中身一緒やん!と、思わずつっ込んでしまいたくなるモノ、見たことありませんか?
あと、何度も同じ地域を訪れると、よほど好きなモノでなければ、自分的にも「なんかワンパターンだな~」と、どこか納得できない気分に・・・。
そうなると、お土産に何を選んだらいいのか、とても悩ましくなってくるんです。家に着いて、家族にお土産を見せたときのリアクションを想像しながら、ちょっとサプライズな要素も欲しいなぁ・・・とか、いろいろ考え巡らすうちに時間が過ぎていきます。
そんな経験から、最近はお土産という発想から離れて、あえて地元のスーパーに立ち寄るようにしてます。スーパーなので、お土産品はあまり売っていないんですが、地元の人たちが普段どんな食生活をしているかを知るには、すごく分かりやすい場所だということに気づきました!
『そんなの、スーパーはどこもそんなに変わらんでしょ?』
と侮らないで!! 店内をくまなく歩き回ってみると、実は普段買物しているスーパーとの違いがわかりますよ。👍
❚ これぞ “福井のアイデンティティ”?
今まで旅行先としてよく訪れていた、北陸での体験を紹介しますね。中でも福井県は、食文化の地域性がスーパーによく現れているんじゃないかなぁと。典型的なのが「油揚げ」です!
「日々URALA」の記事によれば、福井市は1世帯当たりの「油揚げ・がんもどき」の購入額が全国1位。それもなんと、57年連続の1位(2019年度時点)なんて?! 他の追随を許さないぶっちぎり状態ですー。✌🎉
福井県で油揚げがいかに生活に根差しているのかが、その呼び方でわかります。
普通、油揚げと言えば薄く切った豆腐を油で揚げたもの、みなさん「薄揚げ」を想像しますよね?でも、福井県で売っている油揚げは、我々の感覚でいう「厚揚げ」になります。油揚げといえば “厚揚げ” を指すほど、福井では日常的な食材です。
ちなみに、江戸時代には油揚げを食べる習慣があったみたいです。浄土真宗の信仰が厚かった福井(主に嶺北[=福井県北部])では、開祖である親鸞の恩に報いる行事「報恩講」で頂く食事の中に、当時高級品だった油揚げの料理が出されました。
上のサイトの写真は報恩講料理の一例ですが、見てのとおり、年に1度の行事でお肉の代わりに食べるごちそうだったんです。
だから、明治初期の古文書に、
と、喜びを歌にまで詠んだ記録が残っているほど。福井県民の油揚げに対する、ただならぬ愛着がわかりますね。💕
あと、ビックリなのが種類の多さ。URALAのサイトによると、外カリッと・中ふんわりの「焼揚げ用」、木綿豆腐で作る厚めの「煮揚げ用」、両者の良いところを併せ持つ「ハイブリッド」の3タイプがあり、ナント36店舗(エッ!そんなにたくさん?)も紹介されてます。✨
もう正直言って、我々の想像を超えてる!!😲まさに、油揚げ=福井のアイデンティティといっっちゃっていいですよね?あっ、つい私も「油揚げ愛」があふれてしまいました・・・💦
福井県の油揚げは、メーカーごとに味の違いがあって、各メーカーの商品を食べ比べるのもなかなかオモシロいです!有名ブランドはそれなりのお値段ですが、お手頃価格で購入できる商品もたくさんありますから、ぜひお試しあれ・・・
(安いからマズイ、っていうことは決してありませんので、ご安心を!😊)
❚ 家庭の事情を反映する売り場
また、福井県は共働き世帯の割合が高く(驚異の60%!ホントかなぁ)、主婦の晩ごはんの支度の負担が楽になるように、惣菜コーナーが充実しているんだというのは、割と有名な話です。
印象的だったのは、ソースカツ丼のカツがトレーに入って売られてたコト。しかも、すでにソースにくぐらせた状態でパックされてるんです。なので、見た目はきつね色じゃなく黒っぽい!
もっとスゴイのは、その傍らに「追いソース」ならぬ、ソースカツ丼専用のソースが陳列されてたりします😲!
こんな光景、私の住む地元ではまず見たことがない・・・👀
ちなみに、福井県内でも嶺北と嶺南では、少し違いが。ソースカツの体験は福井市(=嶺北)なんですが、小浜市のあるローカルスーパー(本社は岐阜県)に行った時は、ソースカツ丼用の厚みの薄い一口大カツは、ほとんど目立ってなかったです。
逆に、思わず二度見したのが、優に30cmはある細長いトレーの上に、トンカツがてんこ盛りになったパックでした。普通のスーパーなら多くても2枚まででしょうが、
『いったい、何人で食べるねんーっ!?』
とツッコミたくなるような、超お徳用サイズが衝撃的だったなー💥。
これまた余談ですが、嶺北と嶺南では食文化だけでなく、人々の気質もちょっと違うかも。嶺北の人は自ら「PR下手」とおっしゃる方も多く、どちらかといえば雪国の人たちみたいにもの静かで控え目な印象です。
一方、嶺南は関西に近いことも影響してるのか(明治初期の数年間、実は滋賀県に編入されてたんです!)、割と開放的でおしゃべり上手かもしれないです(もちろん、意見には個人差がありますけどね・・・🧐)。
❚ 歴史の名残が食文化に?
福井では、ニシンもよくスーパーで売られていますし、飲食店には「ニシンそば」のメニューがあります。今は、近海でニシンが獲れることは少ないのにどうして?ですよね。実は「北前船」と大いに関係があります。
江戸時代の中期から明治30年代頃まで、大阪~北海道の間を日本海回りで往復し、各港で商品を売り買いしながら航海する「北前船」という商船がありました。北前船が1度の航海で稼ぐ利益のうち、「下り船」(大阪→北海道)は1割ほど、9割は「上り船」(北海道→大阪)だったとか。しかも、上り船の最大の商品がニシンだったんです!
大阪で卸すのはもちろんですが、全国の寄港地(福井県は坂井・南越前・敦賀・小浜の4か所)で売りさばかれていたのが、食文化として定着したんでしょう。
ニシンのほか、昆布も北海道からやってきたおかげで、福井県のおぼろ昆布(大阪など他所にもあります)、富山県の昆布巻き、各地の昆布だしなど、色んな昆布文化が広まったようです。だから、福井には老舗の昆布加工会社がありますし、スーパーのおぼろ昆布の品数も多いです。
スーパーの商品でもっと驚いたのは「どじょう」😲。どうやって調理するんだろう?とナゾでしたが、勝山市では休耕田を利用してどじょうを養殖しています。「白山平泉寺どじょう」という名前で、「おろしそば」「ソースカツ丼」に続く新しいブランドにしようと取り組んでいるようです。
小さいのは唐揚げに、大きいのは蒲焼きが合うみたいで、YouTubeで誰かがアップした動画を見ましたけど、ビールや日本酒のアテにメッチャ良さそうだったなぁ。🍺
金沢市や富山県の南砺市(福光・城端など)でも、どじょうの蒲焼を食べる風習があるそうなんで、今度行った時は忘れずに地元のスーパーをチェックしようと思います!
以上、福井のスーパーを中心にご紹介しましたが、どうです!ちょっとローカルスーパーに行ってみたくなりませんか?
全国には、まだ知られていない個性的なお店がいっぱいあるはずなので、ぜひ地方に行ったら地元のスーパーをのぞいてみてはどうでしょうか・・・👋