怒りを抑えるのではなく、怒りの必要がなくなるように
ぼくはそれほど怒りやすいたちでもないとは思うけれど、苛々してしまうことはたびたびある。すると、妻はてきめんに悲しげな眼をする。(妻に対してでなく、他人に対して苛立ちを覚えたときでも同様だ)
「急にカッとスイッチが入る人が苦手なの」
ぼくもそこまで「怒った」わけでなくとも、妻は声音を聞き分ける鋭敏なセンサーを持っているので、ほんのわずかな怒気であっても察知され、カウントされる。
ぼくは異論を試みる。「人間、気分を害することがあるのは、そんなに責められるべきことなのかな」
すると