見出し画像

世界の男性育休の見本、スウェーデン。男性は8割弱取得。日本が学べるところとは?

こんにちは、翼祈(たすき)です。
育児休業取得率は、女性は8割台で推移している一方、男性は上昇傾向にあるものの、2021年度は13.97%と、女性に比べ低い水準となっています。

そんな日本ですが、世界の男性育休の見本と呼ばれている、スウェーデンをご存知でしょうか?
スウェーデンの育休取得率は、2004年データで女性では8割強、男性では8割弱と、男女共に取得率が高く、両親休暇育児休業ではお子さんが8歳になるまで、両親共に併せて480労働日(配偶者に譲ることが不可能な休日「パパクオータ」「ママクオータ」各60労働日を含む)となっています。

2022年はそんなスウェーデンのパパ達を取り上げた、写真展が日本でも開催されました。今回はその写真展についてなどと、スウェーデンを通して男性育休制度について、考えていきます。

スウェーデンの育休取得率

●原則的に480日を二分割し、両親に240日ずつ付与されるが、子どもの出生時期により、割り当てに関する条件は異なる。
●出生後1年以内に、30日まで両親が同時に取得できる(それぞれへの割り当て期間からの取得は不可)。
●一人年間3回まで休暇を分割して取得可能。
●ひとり親(単独養育者)には480日が付与される。

引用:スウェーデンにおける仕事と育児の両立支援施策の現状
―整備された労働環境と育児休業制度 独立行政法人 労働政策研究・研修機構

2016年1月1日以降に出生
●上記①の期間のうち、90日は両親それぞれに割り当てられ、もう一方の親への譲渡不可(いわゆる「父親の月」は90日)。

引用:スウェーデンにおける仕事と育児の両立支援施策の現状
―整備された労働環境と育児休業制度 独立行政法人 労働政策研究・研修機構

このうち相手に譲ることのできない日数が90日あり、利用しなければ消滅してしまうため、この制度のおかげで男性の育休取得率が増加したともいわれています。

スウェーデン、育休取得に向けて手厚い支援

経済的な保証もあることで、480日の中で390日は給料の80%が保証され、残りの90日は定額給付というのも日本と大きく異なるポイントです。そんな日本ですが、2018年に入って女性こそ8割強となっている反面、男性の育休取得率は1割未満(6.16%)となっています。

スウェーデンが男女共に育休取得率が高いのは、育休制度が整備されているだけではありません。ご両親を同時に対象とした育休制度が1974年に制定されると、ご両親の労働時間とお子さんの保育時間が議論のキーワードでした。

幼いお子さんのいるご両親が1日8時間勤務するのは適切か否かという問題意識から、労働時間短縮制度を皮切りに労働環境の整えることと、お子さんに平等に幼児教育を行える居場所としての公的保育の重要性が提唱されました。

そして、育休の夫婦での分割取得やお子さんが病気になった際に会社を休むことも可能な看護休暇(VAB)、第1子を出産後してから30ヵ月以内に第2子を出産した事例に、第2子の育児休業をしている間の給付金が第1子の時と同じ額になるスピード・プレミアム制度、お子さんが8歳になるまで労働時間を75%まで短縮可能な短時間勤務制度などが誕生しました。

また、男女平等の制度も整備が加速し、2019年の世界経済フォーラムでのジェンダー・ギャップ指数では第4位にランクインしました。

今でも、スウェーデンは多くが共働きの家庭で、家事・育児の分担することも夫婦平等です。男女共に労働時間は短く残業がほとんどしないので、平日は早く帰宅するのが当たり前です。

その時に焦点が当たるのが480日の育休の取り方です。単純計算で男性が90日、女性が390日取得せず、男女共にぞれぞれの今後のキャリアプランなどを考え、職場復帰するタイミングを見計って育休を取得するケースが多いです。その上で、どの時期にどれ程の長さの期間にすれば、世帯収入を最大化可能かを考慮し育休を取得します。

さらに480日の中で384日はお子さんが4歳になるまで、残りの96日はお子さんが12歳になるまで取得可能で、家族間の絆を深めるためでの育休を取得するライフスタイルもあります。

参考:父親の育休取得9割のスウェーデンに学ぶ「イクメン」ライフスタイルとは? Newsweek(2020年)

2022年、写真展『スウェーデンのパパたち』開催

画像引用・参考:「スウェーデンのパパたち写真展」開催のお知らせ(終了しました) 鹿児島県

スウェーデンで育休を半年以上取得して、子育てに参加するパパの姿を撮影した写真展『スウェーデンのパパたち』が、2022年11月3日、東京都北区にある聖学院中学・高校の創立記念祭で開催されました。この写真展を企画した高校生は「パパ達も子育てや家事を共同分担できる社会を考える機転に繋がれば」と言います。

写真家のヨハン・ベーブマンさんが男女平等の育児を思い描き、パパ達をカメラで撮影しました。そのカメラで撮影した25人の写真は、2017年から日本全国を巡回して開催されています。

聖学院中学・高校の創立記念祭でスウェーデンのパパ達を紹介する高校2年生の男子生徒Aさんと男子生徒Bさんは2022年10月25日、スウェーデン大使館を訪れました。一等書記官の男性に写真展について説明しました。

一等書記官の男性はスウェーデンの育休事情に関して、「議論を積み重ね、男らしさ、女らしさの常識を変換しました。出生率を向上させることにも結び付きます」と説明し、高校生の活動を歓迎しました。

男子生徒Aさんは「赤ちゃんを背負って掃除機をするパパの写真が特に好きです。パパ達の育児が日常の社会になっていって欲しい」と述べました。

参考:巡回写真展『スウェーデンのパパたち』展示スケジュールと会場募集のお知らせ スウェーデン大使館

日本もこうなってくれたら、

いいなと思いました。最初「スウェーデンは育休が相当手厚いらしい」という情報を得てから調べてみた、今回の記事。確かに日本とは全然違う、本当に手厚いものでした。

日本は産後パパ育休制度が2022年10月から始まりましたが、2022年12月に、育休から復帰した男性が職場に戻ると、女性の上司から「あなたの席はないよ」と言われたことが大きな問題になっていましたよね。その記事のコメント欄には、「自分も育休後職場復帰したら、降格されていて、今その前の立場に戻る為に、必死で働いている」とのとある男性の悲痛な声を観ました。

日本も少しずつ手厚くなってきているとはいえ、スウェーデンの様にいきなりここまで手厚くするのは難しいでしょうね…。内閣府がスウェーデンのことを紹介しているので、少しずつ日本の産後パパ育休制度がもっと手厚くなっていけば良いなと思いました。


いいなと思ったら応援しよう!