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殿様枕症候群。高い枕で寝ていると脳卒中を誘発してしまう病気。ならないためには?

こんにちは、翼祈(たすき)です。
皆さんが寝室などで使っている枕は高いですか?それとも低いですか?

私は以前理由も未だ分かっていないことですが、2年くらい前まで、枕に、+αで
クッションを敷いて寝ないと夜眠れず、クッションがボロボロになるまで、それを続けていました。

あの当時私なりの理由があったのでしょうが、なぜクッションを敷いて寝ないと眠れなかったのか、当事者だった私ですら理由が今でも分かりません。

私もかつて枕を高くしていたことでしたが、それって実は脳卒中を誘発する病気があることをご存知ですか?

それは、「殿様枕症候群(とのさままくらしょうこうぐん)」という病気です。

「殿様枕症候群(英語名=Shogun pillow syndrome)」という新しい病気の概念で、高い枕で寝ると脳卒中になりやすく、その原因の1つに、「特発性椎骨動脈解離(とくはつせいついこつどうみゃくかいり)」があります。

「特発性椎骨動脈解離」は首の後ろの血管が裂け、脳卒中を引き起こす、若い人も発症するリスクのある、原因不明のタイプです。頭痛などをきっかけに発症に気付くことがあります。脳卒中全体の2%程度ですが、働き盛りの世代を含む15~45歳の脳卒中の患者さんの8~10%程度を占め、その中の2割近くが亡くなったり、大体18%程度の人が後遺症が残ったりしますが、根本的な治療がありません。

日本では17~19世紀に殿様枕が、日本髪をしていたり、まげを結っていたり、髪型を維持するのに有効とされ、庶民の間でも流通していたみたいで、1800年代の江戸時代の複数の随筆「寿命三寸楽四寸」という言葉がありました。記述を現代の言葉で訳すと、高さ4寸(およそ12cm)だと髪形が乱れず楽ですが、3寸(およそ9cm)の方が早死にせずに済み、長生きできるという意味があります。

もしかすると、当時の江戸時代の人々は高い枕と脳卒中との隠れた関連性を認識していたのかもしれません。

この「殿様枕症候群」に関して、実証実験から得た研究成果と、その対策などが先日発表されました。

脳卒中の原因の1つ、特発性椎骨動脈解離は、首への負担がリスクと想定されていて、高い枕で寝る人ほど発症率が高いことが、国立循環器病研究センターの研究グループの解析で分かりました。

研究グループのメンバーの江頭柊平医師(現・京都大学)は、
何気ない睡眠習慣が脳卒中のリスクになり得ます。これは現代病かもしれません。あまり、きつい体勢で寝ていると、椎骨動脈はすぐ潰れ、血流が脳に行かなくなって、吐き気や目眩などを引き起こしたりします

今高い枕を使っていてもすぐ問題になるということではありませんが、これをきっかけに緩やかな睡眠習慣を身に付け、脳卒中のリスクになり得ることを認識して頂き、予防に結び付けて頂きたいです」
と説明しました。

この研究成果は、2024年1月29日、国際学術誌[European Stroke Journal](オンライン版)にて発表されました。

今回は、「殿様枕症候群」になる枕の高さについて取り上げます。

「殿様枕症候群」にならないために、理想的な枕の高さとは?

画像引用・参考:枕が高いと脳卒中になる? ―特発性椎骨動脈解離と高い枕の関係と、殿様枕症候群の提唱―  国立研究開発法人 国立循環器病研究センター(2024年)

研究グループは、原因が分からない患者の中に高さ17~19cmにもなる極端に高い枕を使っている人がいることに注目し、2018~2023年に国立循環器病研究センターで「特発性椎骨動脈解離」と診断された53人(45~56歳)と、同じ時期に脳梗塞や脳出血で入院し年齢や性別などを揃えた53人を比較対象とし、発症した時に使用していた枕の高さを解析しました。

枕は業界の専門家や寝具メーカーの意見を参考に、売られている枕の中で12cm以上を「高い」、15cm以上を使用が推奨できないほど「極端に高い」と定義しました。実証実験の被験者には、枕の高さが12cm以上はトータル26人いました。

その結果、12cm以上の枕を使用していたのは特発性椎骨動脈解離の患者で34%(18人)に対し、比較対象の方は15%(8人)。15cm以上ではそれぞれ17%(9人)と1.9%(1人)でした。枕が高いほど「特発性椎骨動脈解離」を発症しやすく、枕が硬いほど発症との関連が強くなる傾向もありました。

極端に高い枕を使用していた患者さんの中には、巻いた布団で代用したり、テレビやスマホを見る目的などで枕を複数重ねたりしていたケースがありました。

枕の高さでみると、15cm以上を使っていた人の9割が「特発性椎骨動脈解離」の患者さんでした。

なぜ高い枕が「殿様枕症候群」に至るのでしょうか?

枕が高いと首の屈曲(あごが胸につく方向に曲がっている度合い)が大きくなり、首に負荷がかかります。さらにその状態で寝返りなどで首が回る時に血管が傷付くことが考えられるとされます。枕の硬さや、「特発性椎骨動脈解離」のリスク要因である首の屈曲の有無も解析して、枕が硬いと発症との関連が強く、柔らかい枕だと緩和される傾向が認められました。

血管が避けると、もろくなってしまうので、もろくなったところが膨らんで、脳の中で出血を引き起こしてしまったり、あるいはその破れた所に血の塊がついて、それが脳の方に飛んで脳梗塞を発症したりします。

枕の高さが15cm以上だと枕が柔らかくても、首が大きく曲がるので使用を控えるのが望ましいですが、低すぎも注意だといいます。

国立循環器病研究センターの研究グループの脳神経内科の田中智貴医長は、
流通している枕の中で、1番高い部類なのは12cmで、さらに僕らが見つけた患者さんとかは、『枕二段重ね』とかにしていました。高い枕を使った時に首が曲がることで、骨の中にある血管に大きな負荷がかかるということです。

150年前の江戸時代の当時の人は、枕の高さと健康のリスクとの関係に気付いていたのかもしれません。首が大きく曲がった姿勢がリスクになり得ることを知って頂き、少しでも『殿様枕症候群』などの病気予防に結び付けていって頂きたいです」
と述べました。

参考:高い枕で寝ると脳卒中になりやすい? 国循が「殿様枕症候群」を提唱 朝日新聞デジタル(2024年)

寝具メーカー「西川」の方に、枕について尋ねると、

・寝た時に立っている時と同じ姿勢(真っすぐに近い形)をキープできる高さが目安
・枕の素材によっては、寝る時高さが異なるので注意が必要(綿や羽毛は沈み込み大)

横向きになった時も、頭の先から背骨のラインが真っ直ぐになっているのが理想で、自分の体型に合った枕を選択することが非常に重要となります。

脳卒中が専門の日本医科大学の教授の女性Aさんは、「『殿様枕症候群』の研究の着眼点は良く、適切な枕を選択する意識が浸透することを期待をしたいです」と語りました。

ここからは専門家が提唱する、理想の枕の選び方も紹介します。

16号整形外科の院長の女性Bさんが考える、理想の枕の3大条件は、

①適度な硬さ
②身体に合った高さ
③表面は平ら

です。

②身体に合った高さ

およそ8万人の高さ調査から算出した結果、成人男性はおよそ7.5cm、成人女性はおよそ6cmが適切という結果になりました。

適切な高さの目安
・横向きになった時に、顔の中心線が一直線で、床と平行になる位です。
・角度は、首の角度が床に対して15度位です。

枕が低すぎる場合、簡単にできる枕の高さ調整法です。

16号整形外科の院長の女性Bさんによりますと、
「高さは、枕の下にタオルなどを敷くことで微調整が可能です。体重が増えると、それだけ身体の厚みや脂肪が増加するので枕の高さも変わります。鏡を見ながら、調整するのがオススメします」
と説明しました。

参考:高い枕が脳卒中リスクに…『殿様枕症候群』なぜ起きる? 大谷翔平選手もオーダー枕 テレ朝news(2024年)

私が枕が高かった時

冒頭でも触れましたが、私は数年前まで枕を高くして寝ていました。なぜかクッションを下に敷いて寝ないと、眠れない程でした。

母から「枕を上げ過ぎて、寝ている時に背骨と線が真っ直ぐにならないといけないのに、首を突き出していて、背中が丸くなっているよ」と、いつも言われていました。

それでもあの当時、「これがないと眠れないの!」と言って、母の話に耳を傾けませんでした。

使い続けたクッションがボロボロになって捨てたからなのか?、いつの間にかクッションを敷いて眠る習慣は消え去って、今は普通の高さの枕だけで、眠れています。

本当にあの時は一体何だったんでしょうね?今でも本人でありながら、不思議な体験です。

この記事では高い枕を使って眠ることで、首を圧迫し、「殿様枕症候群」になって、脳卒中に移行する人もいる、非常に怖い研究成果となりました。

高い枕でないと眠れない、そんな人もかつての私の様に多いと思います。

ですが、そんな人たちに、「殿様枕症候群」という病気があって、それで脳卒中になるリスクもあるんだよ、と注意喚起になる記事にしたいと思って、この記事を執筆させて頂きました。

もし「私、該当するかも?」と思った方、枕を変えてみて、この病気から自分自身を守りませんかー?


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