母乳の中に含まれる抗体「ミクログリア」が、子どもの脳の発達や行動に影響!
こんにちは、翼祈(たすき)です。
皆さんは、母乳とミルク、どちらで育ちましたか?
私は母があまり母乳が出ず、ミルクを飲むことが多かったと聞いております。そのことで母は親戚の人にあることを言われて、今も苦しんでいる思いをしています。そのことは巻末の自分の感想に触れたいと思います。
先日、母乳にまつわる、ある研究成果が、明らかになりました。
母親の胎盤や母乳から子どもに誘導されて、免疫力を向上させる抗体「ミクログリア」は、子どもの脳の発達や行動にも影響を与えると群馬大学医学部3年生の定方瑞樹さんと、父で群馬大学大学院の、神経科学が専門の定方哲史准教授などと、富山大学の研究チームが共同で明らかにしました。
2024年5月2日に、この研究成果は、免疫と脳に関連するアメリカの国際科学誌[ジャーナル オブ ニューロインフラメーション]のオンライン版にて発表されました。
母乳に関しては、別の研究で、赤ちゃんに与える期間と知能指数に関連があるとのデータはありましたが、影響する作用や成分は分かっていませんでした。
今後、ヒトの脳への影響を解析することで、疾患防止などに結び付く可能性があるとします。
研究チームは、「子どもがより健全な状態で成長できる環境づくりに結び付いていくと考えております」としてこれから、さらに研究を進めるといいます。
今回は群馬大学などが明らかにした、母乳にまつわる研究成果に関してお知らせします。
抗体「ミクログリア」が、母乳に与える子どもの脳などの影響とは?
画像引用・参考: マウスの母乳中の抗体 子の脳にも届くことを実証 群馬大など Science Portal(2024年)
母乳と子どもに関連する研究は、母乳が子どもの免疫力を向上させることが知られていますが、授乳期間の長短による検証が多かったとします。抗体に含まれる具体的な物質が、脳の免疫に関連する細胞に影響を与えていることを確認できたのは初めてでした。
群馬大学医学部3年生の瑞樹さんや父で群馬大学大学院の定方准教授などは、母乳には人工ミルクと異なり、母親が持つウイルスへの抗体も含まれている点に着目しました。研究では、抗体を受け取るマウスと、抗体を受け取れない様に遺伝子組み換えをしたマウスを使いました。
このためマウスを使った動物実験で解析すると、子どもの脳内で異物の除去などを行う「ミクログリア」と、お母さん由来の抗体が結合することを確認できました。
幼児期のマウスの脳では、細胞の一種である「ミクログリア」に、お母さんの抗体が結合していることを発見し、母乳で抗体を受け取れないマウスと比較して、「ミクログリア」の密度が高くなることが判明しました。
また、結合した「ミクログリア」は、学習や記憶で重要な役割を果たす「ニューロン」(神経細胞)の生存に関与する「1型インターフェロン」というたんぱく質も分泌されていました。
お母さんの抗体が渡されない様にしたマウスでは、行動の変化(社会性行動)に影響する物質の密度も、「ミクログリア」などの神経細胞が減少した以外にも、母乳で抗体を受け取るマウスの方が高い傾向でした。
お母さんの抗体を受け取らなかったマウスは行動量が落ちる反面、他のマウスに接触する時間が増加するといった行動の変化(社会性行動)が認められました。
これらの結果を受けて、群馬大学などの研究チームは抗体が、子どもの脳の発達や行動にも影響を与えると結論づけました。
ですが、結果をヒトに置き換えた場合に、母乳からの抗体による脳の発達への影響が良いのか悪いのかは解釈が難しいとします。
定方准教授は、「抗体が行動や脳に違いを生じさせることは判明しましたが、その影響が良いのか悪いのかまでは断定できません」と説明しました。
参考:母乳に含まれる抗体、子どもの脳の発達や行動に影響…群馬大がマウス実験で発見 読売新聞(2024年)
脳の発達にどんな影響を与えるかは解釈が分かれる部分があって、これからの課題だとします。今後は母乳で育った子どもと、ヒトの母乳の抗体濃度で相関性を解析する予定だといいます。
母親が感染している場合は抗体濃度が増加するなどといった、体調によっても変化する可能性もあって、瑞樹さんは「人の母乳での影響を解析していけば、母乳の適切な与え方や適切な抗体濃度の人工ミルク開発に結び付けます。良い影響の場合は、抗体が入った人工ミルクを製造し、悪影響であれば母親の抗体が増加した場合に母乳を与えない様に呼びかけることも可能です」と語りました。
瑞樹さんは大学入学と同時に哲史准教授の研究室で母乳にまつわる実験を始め、今回の成果に結び付けました。「免疫や脳の研究は関連している物質が多く、解析すれば解析するほど新しい発見があります。未知の機能を探していきたいです」と抱負を述べました。
瑞樹さんは、産婦人科への関心も強く、「将来は研究と医療を両立させたいです」と語りました。
母の母乳にまつわる悲しい話
私が生まれた後で、親戚のおばさんが家に来たと言います。
私を見て、触るなり、「この子は腕とかが、ブヨブヨしている。母乳を飲ませて育てていないからだ」と言われたそうです。
母は好きで母乳が出なかったわけではありません。そのことで、母は今でも覚えていて、ずっと傷付いています。
私の腕などがブヨブヨしたのは、大人になって分かった発達障害の影響もあったと、後から分かりました。
この記事では、母乳に異物の除去などを行う抗体があるとのことでした。
大事な話ではありますが、母の様に母乳で育てられないお母さんもいます。
そのお母さんも一生懸命、赤ちゃんを育てていますし、ミルクで育てていても、母乳と変わらない効果が出た、といった研究成果が出てくることを祈っていますー。