心の休め方
(経営者向け健康講演会後にお寄せいただいた質問です。)
Q:質疑で体の休め方について丁寧に説明していただいたので、なにかいい心の休め方があれば聞きたいです。
A(みのわ):心の休め方の一つとして「目を閉じる」をご紹介させていただきます。
情報の9割が目から入るとも言われています。私たちは視覚による情報がほとんどということになります。目を閉じるだけで、情報だけでなく光も遮断することができ、脳が休まるようです。
また視覚からの情報は、脳の信号を縦方向に使いますので、素早く問題点を見つけ出し、解決をしようとする神経回路を優先的に使うため、もしかしたら心が置き去りにされていると感じてしまうことがあるかもしれません。目を閉じると信号が横方向に変化し、共感や情緒にアクセスしてくれます。ここではどちらがいい悪いというお話ではなく、脳の信号を切り替えることで心のバランスを取るという点からお話ししました。
例えば、スマホなどでSNSを見ると、他者の日常や主張が目に入ります。それは投稿者本人が切り取ったもので偏った情報であると分かっていても、いろいろな心の動きが発生すると思います。ときに、自分にとって役に立つような情報もありますが、それももしかすると、焦燥感や焦りのようなものを無意識に感じてしまうことになるかもしれません。目から入る情報を遮断することによって、無駄に心が動いてしまう可能性を減らすことができそうです。
他に「遠くを見る」ことや「いい香りを嗅ぐ」というのもおすすめです。
例えば、物事を集中して考えている時や悩んでいる時というのは、姿勢も猫背になってしまうため、物理的に視野が狭くなってしまいます。目の前のことしか見ていない状態というのは、いわゆる近視眼的なものの見方といえますが、その際は、心も近視眼的になっているということです。
試しに、口の中を観察してみましょう。窓から少し遠くを眺めてみると、口は閉じていても、口の中が広くなる感覚があるのではないでしょうか?宇宙をイメージしてみたり、大自然に行って深呼吸してみるようなイメージをした時も同じような口の感覚になります。奥歯を開けて顎が緩んで脳がリラックスしている証拠です。次に、スマホを手に取って文字を読んでみてください。歯と歯が当たります。これは食いしばりともいえますし、緊張状態に繋がります。
最後に「いい香りを嗅ぐ」ことについてお話しします。いい香りや好きな香りやいい匂いを嗅いだとき、自然に目を閉じることはありませんか?これは、目を閉じることで、脳にあるいい香りの記憶にアクセスしようとしているんですね。また香りは五感の中でダイレクトに本能的な脳にアクセスすることで思考的な脳の信号を和らげてくれます。香りが自律神経を整えて、リラックスできる感覚があるのはそのためです。そして、この時にも口の中を観察してみますと、口の中が広くなる感覚になっているのではないでしょうか?
中医学では、気を高める方法として香りの高い食べ物(シソとかパクチー、レモン、ゆず等)を推奨しています。心とからだ、そして脳もつながっています。
講演会の質疑応答では、睡眠のための心身脳の疲労バランスのお話をしました。心に直接アプローチせずとも、からだと脳がリラックスすることで、心のリラックスにもつながると思います。ぜひ一度お試しされてみてください。
※中国で数千年以上にわたって発展してきた伝統医学で、中国漢方とも呼ばれることもあります。
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