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認知行動療法について
今回の一言
自分の性格を責めないでください。
貴方を大切に思う人は、貴方のそういう性格を含めて大切に思っているのです。
性格を変えることは難しいです。けれど、物事の捉え方は見つめ直すことができます。
認知行動療法事始め
突然ですが、
①朝コンビニに行ってお会計の時に店員さんがため息をつきました。
②あなたはどのように感じますか?私は、イラッとするかもしれません。あるいは、悲しくなる人、自分が何かしたのではないかと不安になる人、何も感じない人。様々な人がいると思います。
③そのうえで、どのような行動を取りますか?イラッとした人は店員に指摘するかもしれませんし、悲しくなった人はその日一日うつの気分が悪化するかもしれません。ネットで、店員がそうした態度の時の心情を調べる人もいるかもしれませんし、何も感じなければ普通通りの日常を送ることができるでしょう。
④では、どうしてそうした感情を抱きましたか?私がイラッとするのは、自分の行動を暗に否定された気持ちになるからです。皆様はいかがでしょうか?
事実が感情を引き起こすわけではない
記述したように、たった一つの客観的な事実によって、人はいろいろな感情を体験します。けれど、繰り返しになりますが、重要なことは抱く感情は人それぞれ、場合によってはその時々で変わってきます。
つまり、ある事実が必ずしもその感情を引き起こすわけではないのです。まして、結果としてとる行動も、ある感情に伴って必ず起こるものではないです。
では、ある事実・経験はどのように感情に関わるかというと、その事実・経験に対しての、自分の解釈がそこに入り込むことによります。
上の例では①の事実に対して、④その事実をどのように解釈したか、です。この解釈のことを、難しく言えば”認知”といいます。そして厄介なことに、この解釈は影を潜めていて、自動的に脳内で処理され、自動的に快、不快を判断し、感情を引き起こします。この考えの流れを”自動思考”と言ったりします。
この認知や自動思考は育ってきた環境や、もともとの気質等に影響を受け、信念(コアビリーフ)に従って作られるようです。
引き起こされた②感情をもとに、自分自身で選択して、③行動に移ります。少しむずかしい用語も出てきましが、要は、ある人が、ある経験をした時に抱く感情や行動は、段階を経て、選択されたものである、ということです。
事実・経験→解釈(認知、自動思考)→感情→行動
性格を変えることは難しいし、変える必要もない
ところで、うつ病、適応障害になると、”こんな自分の性格がすべての元凶だ”、と自分の性格を責めてしまいますよね。私は今認知行動療法について述べながらも、自責、自己嫌悪、罪悪感の日々を送っています。
どうして悪い方向に考えてしまうのだろう。どうして他の人のようにうまくやることができないんだろう、と。
けれど、私がカウンセリングの時、認知行動療法の指導を受けている時、くり返し言われたことは、俗に言うネガティブ思考は、慎重さと冷静さ、周りに目を配る能力とつながるものであり、性格自体が悪いわけではない、ということです。
実際、様々は性格テストや職業適性検査等ありますが、絶対的に悪とされる性格特性は無く、どの性格にもメリット、デメリット、向き、不向きがあることが書かれていますよね。
いわゆる陽キャでいることが、万事OKなわけではないのです。
認知行動療法は何をするのか
先ほど、事実と感情、行動にはステップがあることをお伝えしました。認知行動療法とは、この各々のステップに分解し、各々のステップでのつまづきを特定し、その各々のステップに応じて治療を行うことです。
したがって、認知行動療法と一言で言っても、沢山の方法があります。そして、うつ病、適応障害、不安障害、パニック、睡眠障害、不登校、出社拒否、物質使用障害(いわゆるアルコール中毒や薬物中毒等)等、各々に効果的と思われる治療法も微妙に異なっています。
ただし、医学論文等での結果では、残念なことにどの方法も全て認知行動療法としてまとめられてしまっていて、実際にどの方法が有効かどうかは、そこまで深く検証されていないのが現状です。そこで重要になってくるのが、臨床心理士さんの見解です。論文化はされていなくとも、臨床心理士さんの集まり(学会等)の中で蓄積されてきている方法、実践があるからです。
そのため、前回の記事でも書きましたが、カウンセリングや認知行動療法を受けようとするときには必ず臨床心理士さんから受けれる場所、環境を探してくださいね。
私のnoteでできること
知りうる限りの現在行われている認知行動療法の手法は
・行動活性化、日常生活活動表
・認知再構成法
・マインドフルネス
・セルフコンパッション
・睡眠活動表
・フォーカシング
・内観療法
・アクセプタンス&コミットメント・セラピー(ACT)
・暴露法
等でしょうか。私自身すべてを行ったわけではなく、勉強したわけでもありません。また、あくまで自分で経験したこと、学んだこと以上にはお話できませんし、最近の知見について述べることは難しいです。
ただ、体験した、指導された視点で、解説できるものについては解説していきたいと思っています。
注意点
どの認知行動療法を行うにしても、大切なことがあります。それは、動けないくらい辛い時、死にたい気持ちが抑えられない時、等辛くて辛くて仕方ないときは、控えるようにしてください。
理由としては、とても疲れるからです。また、自分自身を振り返ることにもなるため、余計に辛くなることもあります。
ただ、休職してあるいは学校を休み始めて少し経ち、何もすることが無いことに苦痛を感じ始めたならば、認知行動療法の始める絶好のタイミングです。
薬物療法は、本当に辛い時(急性期)をしのいでくれますが、その後社会復帰を果たすときに備えた準備を始めるためには、薬物だけでは不十分と思っています。ただし、これは自分自身の経験であって、薬がマッチする人がいる、もしくは時間が解決してくれる人もいますので、一概には言えませんが。
ただ、再発防止や、もう少し生きやすくなる、なぜうつや適応障害が私の身に起こったのかを理解するうえで重要な手立てとなると確信しています。