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暁に薮を睨む

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刀篤(かたなあつし)の厳選した詩集です。
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2024年4月の記事一覧

【詩】約束

【詩】約束

大洋の野心が何を生んだと
云うのだろうおまえが求める
その船旅で捨てたものの中に
あの娘との海があったことを
一瞬でも今思い出せるか?
約束の港を覚えているか?
舷梯に沖を見てあの娘は
未来を救ってくれるようにと
今おまえが唯一携えている
刃先に託したのだ光るナイフに
あの娘の夢を覚えているか?
たった今野心の存続を救った
その刃先をくれた人の名前を

約束というものは必ず
守らなければならないも

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【詩】白紙

【詩】白紙

生きている意味を
真剣に考えてみたんだ
他の人のことは知らない
好きな人に伝えたいことがある
それをどう云う風に伝えるか
それを考えていることだ

【詩】虹彩は無限

【詩】虹彩は無限


君の眼を一瞬でも
近くに覗き込めたら
其れは世界の願い

其処は深い深い透明の
太陽光のゆらぎより透明の
秘められた有限の水源

無限なものは君の嗜む紅茶


君の虹彩を一頁でも
隣合わせに解読出来たら
其れは宇宙の想い

此処に透き通る深淵の
午前0時の夏の始まりの
閉じ込められた有限の知覚

無限なものは君の知る書物


君の瞳孔を1mmでも
正確さを以て描写出来たら
其れは時空の期待

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【小休詩】チェンソーマン

【小休詩】チェンソーマン

「一番好き」って言うより
「一等好き」って言うほうが近い
チェンソーマンのパワーちゃんが
一人称を儂って言うのを決めたのと
たぶん一等同じ理由で僕は君が好き

【詩】天回

【詩】天回

大宇宙はエーテルに満ち光は振動し
あなたの深層心理に影響を与えている
波に乗った宇宙船が遥か頭上を回頭し
地球から見える景色を限定している
デッドリンク大橋越しに日没を臨む
マフチス休火山麓の中国料理店では
とても可愛いホールスタッフが居て
チャイナ服でテーブルからテーブルへ
料理店は休火山麓の夜の光の象徴である
上海蟹には赤ワインか白ワインか
科学理論はしばしばアルコールであり
泥酔した常連客た

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