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愛でしかない

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#小説

「共感できないけど、なんか好き」の尊さ

共感できる部分が多い友情と少ない友情、どちらが健全につづいていくものだろうか。私は後者だ…

れい🌙
5年前
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うそばかりの改札

二人は改札越しに立っていた。強く手を握り合って。 何百人もの人々が二人の脇をすり抜けてい…

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眠い雲

このままずっと夏のまま世界が暮れていきそうな昼下がりだった。 3歳の娘が目をこすって昼寝…

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明日は「美しい」と思えなくても〜死んだ「美しい」を眺めて〜

---今日の青空は、うんざりするほど濃いな--- 自分の目は、別の何かを見ているようだっ…

原田 透
5年前
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ショートショート「ナイトフィッシング ソー グッド」

開始のあのとき、あなたの手がわたしの服にするすると入ってきて片方の指でブラホックとぱちん…

きみをつかまえる

口をあーんと開けたのは、お腹を満たすためじゃなかった。だけど、手のひらで受けとめるだけじ…

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夜の幼稚園

そんなに遅い時間でもないのに、 夜はやっぱり夜で、3歳の娘を手の届かない遠い場所に眠らせていた。扇風機の『弱』の風が、かみさまの寝息のように4畳半の部屋に満ちている。 やれやれ、おへそ丸出しじゃないか。 タオルケットをかけてやろうと畳に膝をつくと、娘は口をあんぐり開けて言った。 「自分でやることいっぱいで大変だよう」 それは寝言で、娘はぶうぶう言いながらも幼稚園の決まりごとを一つひとつ指折りしてる。 「自分でやることいっぱいで大変だねえ」 僕もまねして言った。 小さな

なくてもいい写真

その人は誰からも相手にされず、誰の視線も相手にせず、ただ空だけにカメラを向けていた。木や…

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会いたい人がいるなら新幹線に飛び乗って

どうしても。どうしても花火が見たくなって、夕方の17時、急いで東京駅から新幹線に乗って、新…

伊佐 知美
8年前
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駄目だとわかっていても、誰かに期待してしまうのは何故なのか

深夜のLINEはなぜかいろいろ話したくなってしまう。私だけだろうか? そういう好奇心から一…

嘉島唯
5年前
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それは最後の切り札にとって置いて

ふと、そういえばラオス旅中にこんな呟きをしたことを思い出した。 何でこんなツイートをした…

【今日のひとこと】「けれど、胸の奥に感じる確信は、とても冷静なものだ。ときめきで…

「とにかく的確だな」と感じて心に残っているひとこと。『蜜蜂と遠雷』という恩田陸さんの書か…

もりぞー
5年前
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大人になって分かった先生の本気

高校生のとき、どうしても苦手な先生がひとりだけいた。 「バレーの強豪校から怖い先生が異動…

早く行きたいならひとりで行け。遠くへ行きたいならみんなで行け

「早く行きたいならひとりで行け。遠くへ行きたいならみんなで行け」 20代半ばの頃から、私の身体の中心を貫いてきただろう言葉といえば、多分きっと、これだと思う。 小学生の頃から国内外の転校を繰り返してきた私にとって、関係性はいつも「ひとり」で、「出会ってもいつか別れるであろう」ものだった。けれどそれは、mixiの誕生を経て、「時を超えてつながり、再会する」体験を経て、「シームレスな世界の到来」を予感させた。 田舎の私たちにとって、世界は家の中と学校がすべてで、頻繁に本屋を