スネパモア、ムッス~

スネパモア、ムッス~

最近の記事

本が読めなくなって

本が読めなくなっている。そんなものを読んでどうする、無駄なことだ、といった、身内やら目上の人や、可愛がっていた年下からも、何気なく言われてきた否定的なご意見がふんわり漂って来て、動悸がして、集中できない。 動悸、って相談すると、ホルモンだなんだと誰もが経験していることだ、と苦しみを矮小化されるのもうんざりだ。 都営大江戸線の、長い長いエスカレーターを、どつきどつかれ乗る余力がなくて、階段を登る。痴漢だかスリだか、単に鈍感な人なのか、ぴったり後ろについてくる人が何気に触るのが

    • 私たちの9/11, 3/11

      首の痛みに眠れぬ夜に、書いておこう。 9/11, 母も祖母も居たあの日。母は、祖母をハワイに連れて行こうと計画中だったが、戦争になるなら今はやめておいた方がいいわね、と取りやめた。結局母も祖母もハワイに行くことなくこの世を去ることになる。 私の知人はあの当時マンハッタンで働いていた。 私たちの3/11。 実家のマンションはかなりゆらり、ゆらりと揺れ。幼い甥の居る弟夫婦と連絡が取れず、気が狂うほど心配だった。父は足腰が弱ってきていたが気丈で、いざとなればあの子たちのところに

      • 転向

        「ノルウェィの森」に、作者が死んでそれでも残っている本しか読まない、時の試練を受けていない本は読む時間が無駄だ、と言う登場人物が居ましたよね。その気分、読んだ当時も今も同感する気持ちが認めたくないけどありまして。誰もが記号に近い形でわかるひとしか個人名を書くのをやめてみよう。ということで、過去の文章を少し消しました。もっと消すかも。 その「ノルウェィの森」の登場人物の名前は?と興味をもたれたらぜひ原本をお読みください。ちなみに自分は原本が出てすぐに買って読みました。当時、ちょ

        • 村上春樹とブラジャーと

          最近、いわゆるブラジャーいちまいシチュエーションにあった。一つしかないから、毎日洗って乾かす。結構追いついめられていた。村上春樹のノルウェーの森にブラジャーひとつしかもってない女の子出て来たよね。ブラジャーって高価だし身体に合うものがなかなかなかったりするんです。わたしだって好き好んで一枚こっきりになったわけじゃあありません。手持ちのものがどうにも苦しくなり、形崩れだな、と、たまたま遭遇したセールですっきりしたものを入手して、安心したとたんに洗い方がいけなかったのかすぐに形崩

          善き人

          日曜日美術館かがくいひろし特集。その生き様、亡くなる数週間前の、子どもたち向けの朗読会の躍動感、心をがたがたと揺さぶられました。 聖フランチェスコって、こんな感じのひとだったのではないか、と思わされた、行動する善き人のすがた。

          美女ありき

          ヴィヴィアン・リーが美貌で成り上がり、その美貌の衰えの末惨めな最期を遂げる主人公を演じた映画。ヴィヴィの写真を初めて見たのはいつだったか。40代で過労死した叔父さんを偲んで話していた父が、叔父さんはヴィヴィアン・リーの哀愁が好きだったなあ、と言っていたのが最初の印象かも。微妙な翻訳の風と共に去りぬを読んで、次にテレビで映画を見たはず。ヴィヴィはスカーレット役にしては大人すぎるし美人すぎる、と思ったけど、印象的だった。 何をうつくしい、と思うかはひとそれぞれ。古い女優の写真でう

          痛点寛解せよ

          身内に多い病気を想起させる痛みに襲われて、仕方なく病院へ。健康診断でずっと診てもらっている先生に提案された検査(嫌)を渋々受け、痛みに関するある理解は得て、行きは歩いて行ったけどさすがにつらくて帰りはバスに乗ったらイライラしている人でいっぱいで、辛いときに小突きまわされるのはより辛く、よく考えたら、行きも帰りもタクシーにするべきだったし、家族がこういう状況だったらタクっただろうし、自分をもっと大切にしようとつくづくあとから思いました、終わり! 体調は病院での提案を手がかりにな

          ひとびと模様

          有名な芸能人のワタクシゴトが話題になっている影で、大物自民党議員のワタクシゴトが話題になってないのはただのタイミングなのでしょうか。この大物氏、地元でポスターがあちこちに貼られてるし、大きな選挙の時は駅前に立ちに来るし、身近な人も、彼は学歴素晴らしく兄弟も優秀なのだ、と感嘆しきりだったので、個人的により続報に興味があります。非の打ちどころのない公人のアキレス腱? 公人といえば、ずっと読み続けている某作家の文章を久しぶりに購入したのです。女が嫌いだ、若い時に沢山こどもを生みた

          マイ・フェア・レィディ

          コロナ下で、初めてまともに観てびっくりした映画。まず、オードリーの出番が案外少ない。貧乏父ちゃんの歌と踊りが長い!教授の出番も長くて、びっくりするぐらいこれは男の物語だったことを思い知らされた。個人的にはうつくしいオードリーが見たかったのに男たちの話が長くてちょっと眠い。ふと、恋する若者役の顔に見覚えがあり、後のシャーロック役者ジェレミーと気づいて息をのんだ。 そして麗しのオードリー。写真で見るより動くオードリーはどこか中性的、というか少年ぽく、浮世ばなれした妖精的存在感があ

          マイ・フェア・レィディ

          にんぎょひめ

          にんぎょひめ、と言えば子どものときに読んでもらった本だ。こども向けにアンデルセンを簡略化した、薄ぼんやりと滲んだような挿絵のついた本。にんぎょひめは、海のあわとなって消えました、おしまい。みたいな、実にひどい話だった。アンデルセンの本話を把握したのはつい最近で、あの子ども向けと称して切り刻まれた物語と違いすぎてびっくりだ。 にんぎょ、というともう一つの悲話、赤いろうそくと人魚もひどいよ。長い濡れた黒い髪、金魚のような紅い魚の下半身のイメージで、ある日本の保養施設に行ったとき、

          ゆにくろ おろしやものがたり

          ゆにくろを最初に認識したのはいつだったか。西武新宿駅ビルの最上階に出来たと思ったら忽然と撤退してびっくりしたり。野菜を扱い出してまたすっとやめていたり。おとうとが舞台をやっていて、観たあと楽屋に挨拶に行った時、手土産にTシャツを買って持って行ったっけ。お金全然なかったし、買い物慣れしてなくて散々選んでのプレゼント。後から、おとうとが、主役の有名な俳優に、へー、ゆにくろの服初めて見るよ、安いんだろ?と言われたと聞き、びっくりしたな。その俳優、有名になってウン年、公共交通機関を利

          ゆにくろ おろしやものがたり

          歯を持って、揺さぶってやる

          ってな脅し文句を英語でドラマで聞いたことがある気がする。 歯が浮き上がるような感覚、耳のあたりから上のいりいりするような感覚、マスクにかぶれてひりつく頬。髪留めも帽子もメガネもマスクもつけているのが辛い、歯医者皮膚科眼科内科整形外科はては美容皮膚科にも相談してきて無駄だった、もう何年目になるだろう。ある歯医者には奥歯を抜くべき、そうすると浮き上がってくる下の歯も抜いてプレートうんぬん、と言われて絶望したっけ。髪の毛が重いのかしら、とばっさり髪を切った時もあったけど、不快感は改

          歯を持って、揺さぶってやる

          コーンロウ、キャラメル、OZ

          日本で髪をコーンロウ(編み込みの一種だよね)にしたら学校ともめた、という話が目に入って、ほほう?ミックスだから、と主張すればOKでもないのか、と少しびっくり。 最近、ポッドキャストだったか、アメリカの黒人のコメディアンとコメディの脚本家(と少し違うんだけどまあいいや)、年代も性別も違う4人が喧々囂々と、なぜコーンロウがだめでフレンチブレイドはOKなのか、両者の差は編み込みの方向だけで、イメージが前者が黒人後者が白人だがそのせいなのか、と盛り上がっていたのを聞いていたので。日本

          コーンロウ、キャラメル、OZ

          先生、じゃなかった

          少し前に書いた文章にて、作家を全員先生付けしていたことを後悔しています。作家を先生呼びするなんて、編集者でもないのに。でもさんづけも違う感じなんだけど。 ある時、母が父の同僚の奥さんと話していて、母が本をいくつも買って読んでいた、「なだいなだ」氏を、たまたま外出先で見かけたことを、話す時に「さん」付けしたら、いぶかしげに、その方、知り合いなの?うれしそうに話すから知り合いかと思ったわ?と言われて、母が苦笑いしていたことがあったっけ。 英語式で敬称略が楽だよね。スティーブン・キ

          先生、じゃなかった

          村上春樹新刊読了

          いくはずのない本屋さんの前を通りかかったら小さく平積みされていたので、久しぶりにすっと購入してしまったからには読むよね。で、すぐ読み切りました。 正直、パラパラとチェックもせずに買ってしまったことは後悔です。活字のサイズと細さが不吉なように、黒い表紙も不吉なように、死の匂いでいっぱいな作品でした。ノルウェイの森のトーンがさらに深く暗くなったような。かつ、最晩年の石原慎太郎が、彼自身が心酔していた人が最晩年断言していた、死とは無なのだ、という考えを家族に断言していたことをざらり

          地下鉄サリン事件の日

          あの日の朝、たまたま自分は家に居て、しかも普段ならつけないテレビをなぜかつけたところ、地下鉄で異変があった、電車が止まっているという報道が。しかも父が利用している駅でたくさんの人が、母が降りる駅でもひとびとが倒れている。丁度時間帯も会社に到着するころで。心臓がばくばくする中、必死にそれぞれの職場に電話をかけ続けるが、全然つながらない。当時青春謳歌中で飛び回っていた弟はその方面に関係ないので放置、とにかくパパとママだ、と瞬間的に判断して電話をかけ続けた。 やっと、やっと母と電話

          地下鉄サリン事件の日