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蒔倉の短編小説

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私が書いた短編小説を集めたマガジンとなっております。 字数はだいたい1500字〜3000字くらいです。お題にそって書いた作品も含まれます。
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記事一覧

湯けむり温泉盗難事件♨️【短編小説】

湯けむり温泉盗難事件♨️【短編小説】

今回、下書き再生工場のすのう工場長の元で働くことになりました蒔倉です。
出勤初日から仕事をやらかしたかもしれません😨

『湯けむり温泉盗難事件』を私に再生させてほしいと自分から願い出ておきながら、今となっては「ヤバい仕上がりになってしまった」と思っています…。

依頼者である黒夢さんには本当になんと言っていいものか。
私は、書きたいことが書けて満足しています。しかし、依頼者である黒夢さんや読者の

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居場所。(後編)【短編小説】

居場所。(後編)【短編小説】

今回の小説は上記の短編小説『居場所。』の後編となっております。

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 朧月が照らす夜。夜行バスの道中、休憩時間のパーキングエリア。微かな街灯の明かりの下、虚ろな目をしてベンチに座るケンに1人の男性が近づいてきた。男性はケンの様子を伺うように声をかける。

 「あの、大丈夫ですか?バスで酔っちゃいました?」
 ケンの顔を少し覗き込むように軽く腰を落とした。
 「いえ、大丈夫です。少し考え

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居場所。(前編)【短編小説】

居場所。(前編)【短編小説】

今回の小説は上記の短編小説『変わらないもの。』の続編となっております。

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 片付いた部屋、パソコンに向かいキーを叩く音。ケンは来週のプレゼンに向けて資料をまとめていた。一区切りつき、わきへ置いていたコーヒーカップへ手を伸ばす。
 「もうこんな時間か。」暮れてきた窓を見てぽつりと呟いた。ミサキを失ってからというもの、一人の時間が増えた。以前よりは前を向いて楽しめる事も増えたが、それでも

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ゴンちゃんとムースケ。【短編小説】

ゴンちゃんとムースケ。【短編小説】

⚠️この小説には会話文は含まれておりません。
それを踏まえたうえで、お楽しみください。m(_ _)m

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 田舎の古びた建付けの悪い家。そこはゴンちゃんの家。田舎の子供たちには大人気のゴンちゃんの家。両親と祖父母のいるゴンちゃんの家。だけど、父さんは休みの日にたまに帰ってくるくらい。

 学校帰りや休みの日になるとみんなが集まって楽しそうに遊ぶ。裏山で

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変わらないもの。【短編小説】

変わらないもの。【短編小説】

今回も青ブラ文学部さんのお題【春めく(活用形も可)】とシロクマ文芸部さんのお題【閏年】を合わせて短編小説を書いてみました。

三羽さんの『イチオシ』企画にも参加させていただきました。 #itioshi

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 閏年の2月29日、その閏日がミサキの命日だ。
 たったの4年に1度しか訪れない大切な命日。

 ケンとミサキの出会いも春だった。あの頃は季節が巡る

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あの頃に戻って。【短編小説】

あの頃に戻って。【短編小説】

 代わり映えしない日常。ミキはソファーに座り飲み物を片手にテレビを見る。斜め前には大型のクッションにダラけるように寝転がりゲームをしているユウトがいる。
 ユウトとはもう同棲して3年になる。彼は元々実家暮らしだったが、今は私が借りている家で生活を共にしている。
 平日の昼間は2人とも仕事へ行き、夜や週末は一緒に過ごす日々。過ごすと言っても大したことはしていない。
 「そんなにそのゲーム楽しい?」

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もし君が鳥だったら。【短編小説】

もし君が鳥だったら。【短編小説】

今回は青ブラ文学部さんのお題【鳥だったら】とシロクマ文芸部さんのお題【梅の花】を合わせて短編小説を書いてみました。

今回もお題にそって春来の日常を描いたシリーズもの『春夏秋冬・四季折々』をお楽しみ頂ければと思います。

〈登場人物〉
上都  春来
〈登場猫〉
???

暖かい春の日。
綺麗な梅の花に見とれて歩いていると、そこには耳をピクピクと動かし尻尾を丸め薄い桃色の毛をした君がいた。君は梅の木

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僕ら2人の想う先。【短編小説】

僕ら2人の想う先。【短編小説】

青ブラ文学部さんのお題【答え合わせ】にて、短編小説『花火とともに』の続編を書いてみました。
素敵なお題をありがとうございました!

上記『花火とともに』の続きになっておりますので、気になる方は読んでみてください。
ちなみに前作読まなくても、今作だけでも話が分かるようにしているつもりです。
(なってなかったら、ごめんなさい)

〈登場人物〉
上都  春来
箕里  秋人
海野  夏凛
真白  千冬

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花火とともに。【短編小説】

花火とともに。【短編小説】

⚠️まず初めに。田原さん、ごめんなさい。
400字どころか、3000字超えました😂
これはショートショートと呼んではいけない気がします。でもせっかく書いたので、この場をお借りして、供養させてください🥲
初めてこんなに長い小説を書くことができたのも、このお題に出会えたからです。ありがとうございます。

それでは、こころして【行列のできるリモコン】のお題で、【青春の香る】ショートショート短編小説を

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春になれば【短編小説】

春になれば【短編小説】

さてさて、もうすぐ春がやってくる。
その前に僕はやる事が山積みなのだ。

毎年の恒例行事。
まずは皆様へ手紙を出す。

「もうすぐ立春となりますので、その前に一度お集まりください。」

すると会合当日、いつもの錚々たる面々が顔を出す。
太陽や風、桜や杉など、春には欠かせない名だたる大御所達だ。

「お集まり頂きありがとうございます。さて、さっそくではありますが、皆様。もうすぐ春になります。今年の春

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