【要約】運動脳
✅スウェーデンの精神科医アンデシュ・ハンセン著『運動脳』が教える脳と運動の驚きの関係
スウェーデンで60万部以上の売り上げを記録したベストセラー『運動脳』は、「運動が脳に与える影響」を徹底的に解き明かした一冊です。
スウェーデン人口の約6%が手に取ったとされる本書は、運動が脳を活性化し、集中力や記憶力、気分の安定、さらには老化予防にまで良い影響を与えると科学的に解説しています。
著者であり精神科医のアンデシュ・ハンセンが伝える、運動と脳の密接な関係は、多くの人にとって新しい発見となることでしょう。
『運動脳』は、無理なく運動を続けることで、私たちの脳と心身の健康がどのように向上するのかを、分かりやすく教えてくれます。
運動が苦手な方でも、軽いウォーキングから始めるだけで脳に良い効果をもたらす方法が紹介されており、日常生活に簡単に取り入れられる実践的な内容が魅力です。
運動の価値と楽しみ方を再発見するきっかけとして、ぜひ本書を手に取ってみてください。
こんな人におすすめ!
運動の効果について科学的な知識を深めたい方
忙しい日常の中で、簡単に取り組める健康法を探している方
集中力や記憶力の向上、気分の安定、老化予防に興味がある方
気軽に始められる運動を続けたいと思っている方
本書の魅力
『運動脳』の最大の魅力は、科学的な視点に基づきながらも、初心者にも分かりやすい言葉で運動の効果を解説している点です。
無理なく続けられる運動法や、脳へのメリットが段階的に紹介されており、読むほどに「自分もやってみたい」という気持ちが湧いてきます。
さらに、日常生活の中で運動を自然に取り入れるヒントが多く記されているため、運動が苦手な人でも実践しやすい内容です。
本書の要約
それでは、本書の内容を一つずつ見ていきましょう。
運動が脳にもたらす効果や、脳と心身の健康を保つための具体的なアプローチについて、要約していきますのでぜひご覧ください。
運動が脳に与える好影響
✅脳の領域の連携強化について
運動が脳に与える効果の一つとして、脳の「各領域の連携を強化する」効果が挙げられます。人間の脳は、視覚、聴覚、運動など、さまざまな役割を持つ領域に分かれており、これらが互いに連携し合いながら情報を処理しています。
例えばピアノを弾く時を想像してください。まず、目で鍵盤を見ることで視覚情報が脳に伝わり、次にその鍵盤を指で押すために運動領域が働きます。音が鳴ったら、その音を聴覚領域で処理し、それに応じて次の鍵盤を押す判断を脳が下します。
これら一連の流れがスムーズであればあるほど、ピアノの演奏が上達しますし、間違えにくくなります。つまり、脳内の各領域がうまく連携しているほど、演奏がスムーズになるのです。
ここで重要なのが「運動による影響」です。運動をすると、脳の血流が増え、各領域が活性化されるため、それぞれの領域の働きが強化されます。
結果として、異なる領域がスムーズに情報を受け渡すことが可能になり、連携が強化されるのです。
勉強や仕事においても、運動による連携強化は効果を発揮します。たとえば、新しいことを学ぶ際、複数の情報を効率よく処理し、素早く理解できるようになります。
これは、脳の各領域がよりよく連携して、情報を短時間でまとめ、理解に結びつけやすくなっているためです。
このように、運動による脳の連携強化は、私たちが日々の生活で多くのタスクをこなす上で大きな助けとなります。
✅ストレス低減効果
日々の生活で、嫌なことや辛い出来事があると、人は「ストレス」を感じます。
このストレスを感じた時、脳は体を守ろうとして「コルチゾール」というホルモンを分泌します。
コルチゾールは「ストレスホルモン」とも呼ばれ、血圧や心拍数を上げたり、体を一時的に興奮状態にさせたりする働きがあります。
この働きは、危険な状況から身を守るためには役立つ反応です。しかし、日常の小さなストレスでもコルチゾールが多く分泌され続けると、心や体に負担がかかり、体調を崩す原因となってしまいます。
特に脳にとっては、過剰なコルチゾールは記憶や感情の制御を行う「海馬(かいば)」にダメージを与えることが分かっています。海馬がダメージを受けると、記憶力が低下したり、感情のコントロールが難しくなったりします。
ここで運動が重要な役割を果たします。運動を行うことで、脳への血流が増えて海馬が強化され、コルチゾールの影響を受けにくくなります。これによって、海馬がコルチゾールの攻撃から守られ、ストレスに対しても強くなります。
特に、ウォーキングやジョギングといった有酸素運動は、海馬を鍛えるために効果的だとされています。
また、運動によってストレスに強くなることで、精神的な安定も向上します。気持ちの切り替えがしやすくなり、日常のストレスに対して「まぁ大丈夫」と前向きに対処できるようになるのです。
運動は、ストレスを軽減するための「天然の薬」とも言えますね。
このように、定期的に体を動かすことは、ストレス耐性を高めるためにとても有効な手段なのです。
✅集中力の向上
集中力が必要なとき、例えば勉強や仕事に取り組んでいるときに、周囲の雑音や気になることがあると、どうしても気が散ってしまいますよね。
集中力を保つためには、脳の「前頭葉」という部分が大きな役割を果たしています。前頭葉は、私たちが周囲の情報に流されず、目の前の課題にしっかりと意識を向けるために働いています。
運動には、この前頭葉を活性化させる効果があります。運動をすると、脳の血流が増えることで前頭葉が元気になり、外部の情報にあまり気を取られなくなります。
その結果、勉強や仕事中に、雑音や周りの動きが気になりにくくなり、自然と集中しやすい状態がつくれるのです。
さらに、運動をすることで分泌される「ドーパミン」という物質も、集中力の向上に役立ちます。ドーパミンは「やる気ホルモン」とも呼ばれ、脳が「今、この活動を続けたい」という気持ちにさせてくれます。例えば、楽しい映画やゲームをしていると、夢中になって時間を忘れることがありますが、これはドーパミンの働きによるものです。運動後に分泌されたドーパミンが集中力を高め、やるべきことに対するモチベーションを保ってくれます。
このように、運動は私たちの集中力をサポートしてくれる「ブースター」のようなものです。
勉強や仕事の前に、軽いストレッチやウォーキング、ジョギングなどをして体を動かすことで、集中状態を長く保ちやすくなる効果が期待できます。
✅気分の安定と精神の向上
運動には、気分を安定させ、精神を向上させる効果があります。
これは、運動によって分泌される「神経伝達物質」と呼ばれる物質が関係しています。これらの物質は、脳内で気分や感情をコントロールする働きを持っており、私たちの「心の健康」を支えています。
主要な神経伝達物質の働き
ドーパミン
ドーパミンは「やる気」を引き出す物質で、私たちの気分を前向きにしてくれる効果があります。運動をするとドーパミンの分泌が促され、気持ちが軽くなったり、楽しさや充実感を感じやすくなります。特に、達成感を得られるような運動や、自然の中での活動は、ドーパミンをさらに増やす効果があるとされています。ノルアドレナリン
ノルアドレナリンは、集中力や注意力を高める物質であり、体や心を「今すぐ活動できる状態」にしてくれます。また、運動中にノルアドレナリンが適度に分泌されると、ストレスや不安感が減り、ポジティブな気持ちが増えることが分かっています。このため、運動によってノルアドレナリンの分泌が増えると、不安や緊張感がやわらぎ、心が落ち着いていくのです。セロトニン
セロトニンは「幸せホルモン」とも呼ばれ、心を穏やかに保つ働きがあります。悩みや不安があるとき、セロトニンが分泌されると心が安定し、リラックスしやすくなります。運動はセロトニンの分泌を促進するため、落ち込んだ気持ちが楽になり、日々のストレスに対処しやすくなります。
運動がもたらすメンタルへの効果
これらの神経伝達物質がしっかりと分泌されている状態は、心身にとってとても良い状態です。
特にうつ病や不安障害などのリスクがある方には、運動を習慣化することで心の健康が大きく向上することが知られています。
また、気分が沈みがちな日やストレスが多いときには、少し体を動かすだけでも気分転換が図れます。
運動によって気分が上がり、気持ちが安定すると、毎日の生活がより前向きで充実したものになっていきます。
✅記憶力の改善
脳の記憶力は、年齢とともに少しずつ低下していくと言われています。
実際、人間の脳は約25歳頃をピークに縮小を始め、年齢を重ねるごとに記憶をつかさどる部分である「海馬(かいば)」も少しずつ小さくなっていきます。
このため、年を取るにつれて「最近、物覚えが悪くなった」「思い出せないことが増えた」と感じる人も多いのです。
しかし、ここで注目したいのが「運動の効果」です。定期的な運動を行うことで、実はこの海馬の縮小を防ぎ、さらに成長させることも可能だとされています。特に効果的とされるのが、有酸素運動です。
例えば、週に3回、40分程度のウォーキングや軽いジョギングを行うことで、脳内で「BDNF(脳由来神経栄養因子)」という物質が分泌され、これが海馬を保護し、成長を促進します。
BDNFは脳の中で「細胞の保護・成長」をサポートする重要な役割を担っています。BDNFの働きによって、海馬の細胞が元気になり、記憶の形成や保持に必要な回路が強化されるのです。
運動によってBDNFが増えることで、年齢を重ねても記憶力を維持しやすくなります。
さらに、運動で血流が増えると、脳全体に酸素や栄養が行き渡りやすくなるため、脳全体の働きが活発化し、記憶力や集中力がサポートされます。
定期的な有酸素運動は、難しい記憶トレーニングをするよりも手軽に取り組め、かつ効果的です。日常生活の中で歩く時間を少し増やしたり、定期的に軽く体を動かすことで、脳の健康を守り、記憶力を改善することができるのです。
✅創造力の向上
運動が創造力を高めることは、さまざまな研究で示されています。
歴史上の偉大な作家や哲学者が、散歩をしながら考えを巡らせる習慣を持っていたのも、運動が脳に与える効果を無意識に活用していたからでしょう。運動は、新しいアイデアや発想を引き出しやすくしてくれます。
視床の活性化と情報の選別
創造力に大きく関わるのが、脳内の「視床(ししょう)」と呼ばれる部位です。視床は、視覚や聴覚、温度など、周囲からの情報を受け取る窓口のような存在で、脳に入る情報を取捨選択する役割を持っています。
すべての情報が脳に届くと、集中が乱れたり混乱したりしてしまうため、視床がフィルターのような役割を果たして、私たちが意識的に取り入れるべき情報を選び取っているのです。
運動をすると、視床が活性化され、このフィルター機能が適切に働くようになります。これにより、日常の中で見過ごしていた細かな情報や新しい視点が目に入りやすくなり、普段とは異なるアイデアが生まれやすくなります。
運動を通じて脳がリフレッシュされ、自由な発想がしやすくなるのです。
ドーパミンの役割
運動によって分泌される「ドーパミン」も、創造力において重要な役割を果たします。ドーパミンは「やる気」や「楽しさ」を感じさせる物質で、脳が新しいアイデアを楽しみながら生み出すのを助けます。
ドーパミンが増えると、アイデアの発想が活発になり、様々な角度から考えられるようになります。
実際に、アイデアが浮かびやすい「閃き」は、リラックスした状態や楽しさを感じているときに生まれることが多いと言われています。運動を行うことでドーパミンが増えると、頭が冴え、新しいことを試したり考えたりすることが楽しく感じられるため、創造力が自然と高まるのです。
日常生活での取り入れ方
運動をしながら創造力を引き出すには、散歩や軽いジョギング、ストレッチなど、無理なく続けられるものが効果的です。
アイデアが必要なときや、考えが煮詰まったときには、デスクから少し離れて体を動かしてみましょう。気分転換にもなり、脳がリセットされて、新しい視点で物事を捉えられるようになります。
このように、運動は創造力を引き出すための強力なサポートツールです。
✅老化の予防
年を重ねるとともに、脳も少しずつ老化していきます。
脳が老化すると、思考や記憶力の低下が進み、ものを覚えにくくなったり、判断力が鈍ったりすることが増えます。
しかし、運動習慣がある人は、脳の老化が遅く進むことが分かっています。運動が脳の健康にどう役立つのか、具体的に見ていきましょう。
運動が脳に与えるポジティブな影響
運動をすると、脳への血流が増え、酸素や栄養が十分に届けられるようになります。この血流の増加が、脳の細胞や神経ネットワークを活性化し、脳の萎縮を防ぐ手助けをします。
特に、脳内で新しい神経細胞の成長や修復を促す「BDNF(脳由来神経栄養因子)」という物質が運動によって分泌されるため、年齢とともに減少しやすい神経細胞を保護し、脳を若々しく保てるのです。
日常的な運動の効果
運動の種類や時間も重要ですが、実際には、毎日20分程度のウォーキングといった軽い有酸素運動でも効果が期待できます。
定期的に体を動かすことが、脳全体に安定して酸素と栄養を供給し、健康な神経回路を維持するのに役立ちます。こうした軽い運動を続けるだけでも、脳の老化スピードを大きく遅らせることができるのです。
加齢による影響を軽減
年齢を重ねると、脳の老化によって考えるスピードが遅くなったり、複数のことを同時に行うのが難しくなったりします。
しかし、運動習慣がある人は、こうした加齢による認知機能の低下が遅れることが確認されています。例えば、カロリー消費量の多い運動を長く続けている人は、脳の萎縮がよりゆっくり進行し、思考力や記憶力の維持がしやすくなります。
身体的負担が少ない運動から始める
運動の習慣を身につけることが、脳の老化予防に大いに役立つのは明らかです。
しかし、無理に負荷の高い運動を始めるのではなく、日常に無理なく取り入れられるウォーキングやストレッチから始めるのがおすすめです。続けやすい運動を選ぶことで、長く習慣化しやすくなり、脳の健康も長期間守り続けることができるでしょう。
このように、適度な運動を取り入れることで、脳の老化を予防し、若々しい脳を保つことができるのです。
✅少しの運動でも価値がある
運動が脳に良いと聞くと、激しいトレーニングや長時間の運動を想像するかもしれませんが、実は「少しの運動」でも脳にポジティブな影響があることが分かっています。
忙しい日常の中で、無理なく続けられる運動が、脳と体の健康にどう役立つのかを見ていきましょう。
少しの運動で得られる効果
運動をすると、脳内で「ドーパミン」「セロトニン」「BDNF(脳由来神経栄養因子)」といった神経伝達物質が分泌されます。
これらの物質は、気分を高めたり、ストレスを軽減したり、記憶力や集中力を改善する働きを持っています。驚くことに、少しの運動でもこうした物質が分泌され、脳の健康に良い影響があるのです。
自分に合った運動を取り入れる
理想的には週に3回、45分程度のジョギングが有効とされていますが、運動が苦手な方や忙しい方は、もっと短時間のウォーキングやストレッチでも十分に効果を得られます。
ポイントは、自分が「無理なく楽しめる」運動を選ぶことです。長続きさせるためには、運動が負担に感じない範囲で取り入れることが大切です。
例えば、散歩が好きな方は、歩くペースを少し速めたり、遠回りして歩くことで、運動量を増やすことができます。また、階段を使うようにしたり、家事を少しアクティブに行うだけでも、立派な運動です。
心拍数を意識して、効果をさらに高める
脳により良い影響を与えるために、「心拍数を意識すること」も効果的です。
有酸素運動(酸素を取り入れて行う運動)は、心拍数を上げて酸素を多く取り込む運動です。ウォーキングや軽いランニング、サイクリングなどが代表的な有酸素運動です。
軽く息が弾む程度の運動を心がけると、血流が増え、脳全体に栄養が行き渡りやすくなります。
このように、少しの運動でも「継続すること」で脳と体に良い変化が生まれます。大切なのは、自分が楽しめる運動を見つけて、日常に少しずつ取り入れることです。
最後に
アンデシュ・ハンセン著の『運動脳』は、運動が私たちの脳にどれほど良い影響を与えるかを科学的な視点から詳しく解説し、その重要性を伝えています。
運動には、集中力や記憶力の向上、気分の安定、創造力の向上、さらには老化予防といったさまざまなメリットがあり、私たちの生活をより豊かで充実したものにしてくれます。
大切なのは、無理をせず、まずは気軽な運動から始めることです。
日々の生活に少しずつ取り入れていくことで、脳が活性化され、心と体の健康が自然と向上していくでしょう。
ウォーキングやストレッチといった簡単な運動でも効果があるので、自分に合った方法で楽しみながら続けることがポイントです。
『運動脳』は、運動がどのように脳を支え、心と体にポジティブな変化をもたらすかについて、実証に基づいて分かりやすく教えてくれる一冊です。
運動を生活の一部に取り入れるきっかけとして、ぜひ本書を手に取ってみてください。
読むことで、運動の価値とその続け方が理解でき、より健康的で前向きな日々を送るための一歩が踏み出せるはずです。
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