うたかた ❲詩❳
あと、何回桜を見ることができるだろう。
何回、カッコウの声を聴くことができるだろう。
自分の誕生日を、
あと何回迎えることができるだろう。
亡き両親のことを、
あと、どれだけ思い出すことができるだろう。
私は私に残された時間を、知る由もない。
死を、できるだけ未来に遠ざけたい。
そう思っても、死は駆け足で
やってくるかもしれない。
時に、この日常が途切れることなく、
ずっと続いていくような感覚に囚われる。
でも、それは、まやかし。
永遠は、どこにもない。
永遠という言葉すら、無意味だ。
思えば、生まれてから今日までの出来事は
全て夢だったのではないか?
過去の写真に映るもの、全てが作り事。
そらごと、たわごと
真実は、どこにもない。
そう、感じてしまうことがある。
それでも私は、私に残された
うたかたの時を
まやかしだろうが、夢であろうが
命の灯火が燃え尽きるまで
生きていく。