太極拳の前に【基本の基本】 その3-1
Ⅳ 前進の方法(一歩前に足を出す)
1.一歩足を出した基本の形
太極拳では、前や後ろ、斜め前や斜め後ろに進んだり、180度や270度回ったりします。そのたびに、右足と左足の位置関係が問題になります(この基本が、武術の基本です。しっかり正しい姿勢で立てることが、力の出る源になります)。
その基本が、下図の右足を一歩出した形(右足が前、左足が後ろの例)になります。(もちろん、左足が前、右足が後ろの場合は対称形で考えてください)
このように、前に出した右足が45度の角度を持っていますが、その右足の踵の延長線が後ろの左足にかかってはいけないのです(図1)。このように正しく足を出すと、後ろ足の勁が体を通って手まで伝わります。そして、体の態勢としては前後も左右も強い形になっています。
更に、このように足を出すと、体のバランスを保ちつつ次の攻撃に移りやすくなります。そして、体がブレないので横らの攻撃されても強い形なのですのです。左右の足の間に15センチ程の間隔は、そういう意味があります。
足全体の形(体全体)は「弓歩(ゴンブー)」と言って、図2のようになります。これは、足の勁力(けいりょく)を手に伝えるための正しい形であり、常に意識しておかないと膝を壊してしまう原因になります。太極拳で膝を痛めるのは、ここのところを知らなかったり、意識したりしないからです(知らず知らずのうちに、膝が足の指先をこえている)。
先生はこれを(足の幅を取るために)「川をまたいで足を、45度で前に足を出す」と表現しておられました。しかし、先生の説明を聞いて、図3のような間違った足の位置になる人が大勢いました。
図3でも、一応川できていて45度に開いているように見えます。しかし、この形は、体をどちらかに回して次の攻撃(次の型)に行こうとするとバランスが崩れてしまいます。更に、左右からの攻撃に弱く、左右から押されると容易にバランスが崩れしまいます。幅がないからでです。
では、なぜ図3のような間違いが起こってしまうのでしょう?それを、両足を揃えたところから解説していきます。実は、両足を揃えたところから右足を出すときの、体が少しねじれているのです。その解説は、次回書きます。