太極拳の前に【基本の基本】 その2
Ⅲ 最初の構えの足の形
実は、足を床にどのように置くかというのは、大変難しい問題です。初心者の人が、一番最初につまずく(全く気にしないで練習するという意味)ところなんです。ここが、うまくできないと(練習のときに意識するという意味)、体のバランスが崩れますし、足からの勁(力)がうまく手まで届きません。
しかし、本当は簡単なんです。太極拳とえいえども、前進するときは歩くことを基本としているの、歩けばいいのです。それを太極拳だと思うから変な足の運び(ロボットのようになる人もいる)になるのです。
ます、最初の構え、つまり、足を肩幅に横に開いたときに、両足を平行にして立つ場合から説明から始めます。先生はよく「足(先)を平行にしましょう」と言います。これでは、本当の大切なことはうまく伝わりません。実は、ここに秘伝があると思います。
秘伝の秘密は「人間の足の形が、台形だ」ということです。足を台形に図式化して、図解・解説します。
まず先生は「足を肩幅に開きます」といいます。つまり足は、図1のように肩幅に開きます。肩幅は、人によって違うので、この幅も人によって違うことになります(足の指はやや曲げて、指で床をつかむようにします。これは、初めは難しいですが、徐々にその方が気持ちがよく、大地の勁を吸い取れるような気になります)。
そして次に、先生は「足を平行にしてください」と言います。先程も書きましたように、それ以上は言いません。わざとでしょうか?分かりません。
注)先生は、自分で発見することを大切になさって、わざと言わない
のだと思います。それが証拠に、先生は、いつも正しい足の置き
方(位置)を見せておられました。「見て、自分で見つけなさ
い」ということなのでしょう。
それを聞いた生徒たちは、大抵は下図2の用に足のうち側を平行して立ちます。これは普通の立ち方で、学校の体育で教えてもらうような立ち方です。
実は、これは間違です。このまま練習していると、身体のバランが崩れやすく、足の勁(踏みしめた力)が逃げてしまって掌までうまく伝わりません。
長い間繰り返し練習していると、体のバランスが取れてきて足の使い方が分かってくると、自然と下図3のように足の外側が平行になってきます。それならば「初めから外側が平行になるように、意識して練習すればいいだろう」と当方は考えています(因みに、私が先生の足を見て、正しい足の置き方に気づくまで、2年かかりました)。
でもこの足に形は、なれないうちは違和感を感じるので、意識しないとつい外側が平行に戻ってしまいます(それが、日常的に使っている形だから)。違和感を感じるのは、外側を平行にしようとするとやや膝が内に入って、下の写真のように内股のような感じになるからです。
この足の形は、秘伝だと思います。だから、昔の中国人はダブダブの服を着て、膝の形を隠す必要があったのではないか(太極拳の前からそんな民族衣装だったかもしれませんが)?と考えています。