女だけど、初めてメンズ下着を自分の為に買って履いた日
今日はとにかく眠かった。
生理前だからだろうか。眠くて、だるくて、普段なら6時に息子と共に起きては朝食を作ったり準備をするけれど、出勤の直前まで全て夫に任せていて二度寝した。
二度寝するとかつて飼っていた愛猫マイケルが夢に出てきた。マイケルが夢に出てくる時はいつも精神的に不安定な時だ。愛くるしい目をしたマイケルに触れようとした瞬間に目が覚めてしまう、この日もそうだった。
「あー、つらっ」起きた瞬間呟いた。
ここ数年のわたしの口癖だ。何がつらいのかは自分でもわからない、うやむやにしたい。言語化したくない。
そういえば大好きなドラマ「最高の離婚」の
主人公、濱崎光生も「あ〜、生きるのってつらっ」てよく言っていたから、彼になりきって真似をしているだけなのかもしれない。
この日ばかりは、普段スキップして行く仕事もサボりたくて、仮病をつかうか悩んだ。
それでも最低限の身支度をして、職場に到着しては制服に着替える。最近制服が白のタイトなワンピースから、ネイビーのパンツスタイルに新調された。白のワンピースはお気に入りだったけれど、産後に体型が崩れてワンピースを履く勇気はないから、ありがたいなと思った。
そして、タイムカードを押して、
あぁ、まだ眠いなぁと思いながら、とりあえずトイレに入った。
特に用をしたいわけじゃないけど、 ぼーとしながら便座に座る。すると、座った瞬間にウォシュレットが反応した。
ボタンを押していないのに、お尻にピューーーと水に打たれる。
しかも勢いと水量半端ない、パワー全快のやつ。お尻は滝行のように打たれ続けた。
この時、私の顔は真っ青になっていただろう。というのも…
ズボンを下げるのを忘れていたのだ。
ただしこんな時はすぐさま(止)を押せばいいだけ。
だけど、人は想定外なことが2つ以上同時に起きた時まともな判断ができなくなるのかもしれない…
私はズボンを履いたまま、ひたすらパワー全開のウォシュレットをお尻に浴び続けては、
こ、これどうやって止めるの??パニックになった。(普段職場ではウォシュレット使わない)
「ヒャァ、冷た、ど、どうしよう、誰か助けてーーーー!」
トイレの中から外に向けて助けを求めた。 スタッフの女の子たち数名がドアの前で「はるさんの声が聞こえる」とドアの前でざわざわしだした。
壊れてるのか、やたらとウォシュレットの時間が長い!くそっ!!
だけど、今ここで私が立ち上がってドアを開けてしまうと、女の子たちに勢い良くウォシュレットの水がかかっては「きゃぁ、汚い!」なんて叫ばれては床が水浸しになる。
だから私は座り続けるしかなかった。体感としては2分間くらいだろうか。
想像の通り、ズボンと下着がびちゃびちゃになった。やっとウォシユレットが自然に止まり、放心状態のままドアを開けると、スタッフが心配そうに6人ほど集まっていた。
事情を話すと大笑いされては、隣のファミマに下着が売ってるらしく仕事を抜けて買いに行くとに。
直ぐに更衣室で下着を脱ぎ、ノーパンのまま新しいズボンを履いてはファミマへ向かい、そわそわしながら、下着コーナーで物色する。
すると、男性用の下着は4種類位あるにも関わらず女性用の下着は1つもない。なんてこった。
すぐそこのセブンに行こうかと思ったが、仕事を抜けている為に早く戻らなければ。
だから私は、少しため息をつきながら、男性用の下着Mサイズを手に取り、レジに向かった。
そして職場に戻り、更衣室で人生において初めて男性用の下着を履いた。
仁王立ちしながら人生初のメンズ下着姿を鏡で眺めては、意外と履き心地いいぞ?と思いながらズボンを履く。
この経緯をスタッフに説明すると、今日の私のあだ名は「ブリーフさん」だった。(正確にはボクサーパンツ)
この下着どうしよう・・・。洗濯したら夫にプレゼントしようかな。
(スタッフ曰くファミマには女性用の下着は必ずあるらしい。見つけられなかったのだろう)
おしまい。