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肚里泪下ーー子供は他人に訴えて泣く、大人は自分の為に泣く

(714字・この記事を読む所要時間:約2分 ※1分あたり400字で計算)


【肚里泪下】

ピンイン:dù lǐ lèi xià
意味:涙を腹に流す。泣くのを堪えるたとえ。

『子供は他人に訴えて泣く、大人は自分の為に泣く』

 「泣く」行為は、子供と大人とで形が大きく異なる。
 
 子供が泣く場合、その涙はほぼ自分以外の誰かに見せつける為であるが、
 大人が泣く場合、涙はほとんど自分だけのものだ。
 
 
 言葉の力が十分に育っていない時期。
 幼い頃の私達にとって、相手の気持ちを揺さぶり、思い通りに動かすには、理論的な説明よりも感情的にぶつかる他なかった。
 
 だから痛み、怒りや悲しみを訴える為に泣いた、叫んだ。
 「不満」を解像度の低い伝達の仕方で執拗に誰かに押し付け、他人による感情の解読に期待するようなコミュニケーション法を取っていた。
 
 だが大人になれば、この方法はもう許されない。
 
 成人すれば自身の言動に責任を持たなければならない。
 その一環として、感情を的確に周囲に伝えられるようにならなければならないのだ。
 
 
 今どんな気持ちなのか、何故そういう考えを持ったのか。
 何をどうしたいか、それはまたどうしてなのか。
 これらを理性的に説明する必要がある。
 
 泣きじゃくったって何にもならない。
 哀れにおいおいと涙を流されたって、周りは困惑するだけだ。
 
 良い大人の癇癪を我慢する義務など誰にも無いし、そのわがままの裏にある本意をいちいち探り当てる程、他人は暇じゃない。
 
 だから人は大人になるにつれて、どんどん泣かなくなる。
 コミュニケーションを取る為に必要なのは冷静な言葉で、涙ではないと分かってくるからだ。
 
 
 いくら言葉で説明しても、誰にも響かない。
 そのような気持ちが心に蓄積され限界まで来た時だけ、大人は泣く。
 
 ひとりでそっと、静かに。
 
 
 吐き場の無い感情を、涙にのせてじっくりと消化しながら。

📚その涙は、何の為、誰の為

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