Tips #51:「与える」美味さを知る程、人はより視野が広がり大人になっていく
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子供の頃、「ちょうだい!」とせがむと、周りの大人達はいつも嫌な顔一つせずに、自分の分のはずであった食べ物や飲み物などを私に分けてくれた。
「遊んで!」と叫ぶと、忙しくても数分間の時間を作っては相手してくれた。
上級生のお兄さんやお姉さん達もそうだった。
「見せて!」「かして!」と私がおねだりすると、時々やや渋るものの、最終的にはやはりおもちゃやお菓子を私に渡してくれた。
夢中に遊んでいたゲームを中断し、下手くそな私にコントローラを譲ってくれたりもした。
甘やかしの中でホクホクしつつも、私は大人達やお兄さんお姉さん達が何故そんなに気前よくしてくれたのか、それが不思議でたまらなかった。
本来味わえた楽しみを自ら他人に譲る、その行為が不可解に思えたからだ。
すごいとも思ったし、私には絶対無理だとも思った。
けれど大人になるに連れ、その謎はどんどん解決されていった。
「快感と幸せはイコールではない」。
このことに気付き、物質的な利益や、自分の都合を優先すること以上に大事なことがあるのを知った。
特に人生経験が豊富で心が成熟された方を見れば、彼らはいつだって目先の快感より、より幸せが多く大きく広がる選択をしているのが分かる。
場の雰囲気の為や、人間関係をより良くする為。
より大勢の人達の利益や、社会的秩序を維持する為。
一時は犠牲しているようでも、長い目で見れば最終的に自分の為にもなるのだと、彼らは知っているのだ。
私が子供の頃に出会った優しい大人達やお兄さんお姉さん達もそうだ。
その瞬間は確かに利益を手放しているように見えるものの、
自分以外の誰かが笑顔になり、その誰かと共に過ごした時間がかけがえのないもの、温かい思い出となることに価値を見出している。
「愛されたい」より「愛したい」。
「もらいたい」より「与えたい」。
思いを変えていくにつれ心がどんどん穏やかになり、愛情深くなる。
多くの人から慕われ、たくさんの温もりに囲まれるようになっていく。
それはこの上ない幸せであり、
かつては「自己犠牲」のように思えたことも、実は人生を豊かに幸せに過ごせる為の自己投資だったと気付く。
自分一人を満足させる生き方もそれなりに愉快かもしれないが、
多くの人を顧みることに幸せを感じられる人は、それ以上の豊かさを手に入れられるのだろう。
そして後者の味を知れば知るほど、人はより視野が広がり、大人になっていくのだろう。
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