竹内光
『天啓予報』は、中国の起点中文網に掲載されているファンタジー小説です。2023年に完結。作者の風月先生の許可を得て、無料公開範囲の日本語訳を公開中です。 機械翻訳は使わず、すべて人力翻訳です。
著者紹介 風月(ふうげつ) 1991年中国四川省生まれ。 小説家。閲分集団所属。 著書に『天啓予報』『妙筆計画:青蓮剣花』『静寂の王冠』『天駆』『鋼鉄の王座』など。 現在、起点小説網に『天命之上』を連載中 起点小説網 『天啓予報』ページへのリンク https://www.qidian.com/book/1014180485/ 騰訊動漫でのコミカライズ(連載中)へのリンク https://ac.qq.com/Comic/ComicInfo/id/647527 あ
今回は『天啓予報』ってどんな作品?という、超基本的なことを解説しちゃいます! ➀『天啓予報』は、中国のネット小説だよ! ②2019年3月8日から2023年3月9まで、起点中文網に連載されたよ!総文字数は約629.28万字。1645章と、序章とエピローグを合わせた、全1647章からなるよ!また番外編「未尽之旅」が2023年12月10日に発表されたよ! ③作者は風月(ペンネーム)先生。『天啓予報』以前に、『天驱』『钢铁王座』『寂静王冠』『妙笔计划:青莲剑歌』という作品を発表
2024年12月1日(日)文学フリマ東京39 に出店するので、自分用に準備の覚書を作ってみました。 何か訂正や補足、「こんなものがあると便利だよ」という情報などあったら、コメントいただけるとうれしいです~! ■前日までの準備 □行きたいサークルのチェック □ウェブカタログに画像や紹介文のアップ ■当日持ち物チェックリスト □入場券含む案内状 □見本誌(提出用)……透明カバーをかけ、見本誌用シールに記入して貼って置く □見本誌(スペース用)……透明カバーをかけておく □出
2024年12月1日の「文学フリマ東京39」に出展します。 それにさきがけで、「天啓予報」日本語版の通販を開始いたしました。 noteにアップしたのは第69章までですが、書籍版では物語が一区切りする第97章までを収録しています。なんとB6判5段組み592頁です! 表紙はカバー(フルカラー箔押し)付きです! 通販はBOOTHにて行っております。 https://booth.pm/ja/search/%E5%A4%A9%E5%95%93%E4%BA%88%E5%A0%B1
第六十九章 昔話 「本当に、久しぶりだな」 何洛は首を傾げて少年を見ながら雨の中をゆっくりと歩き。立ち止まると、腰に手を当てた。 「以前、私が失魂引のウィルスを注射した時より、ずっと大きくなった」 「待て、何て言った?」 槐詩は手を上げ、右耳のイヤホンを外し、不思議そうに何洛を見た。 聞こえていなかったように、何の動揺も見せなかった。 「関係ない。忘れただろうから」 何洛はゆっくりと歩きながら、いつにもなく饒舌らなっていた。 「もしはっきり覚えていないのならその方が
第六十六章 もしもし?いますか? パン!パン!パン! シャンパンの瓶が石畳で砕けるように、銃身に落ちた雨水が弾け飛んだ。 殆ど凝固した時間の中で、機関銃の銃身の排気口から煙がもうもうと立ち上り、火花が散った。 銃腔の中を旋回する銃弾は、腔綫によって摩擦され、火花を発した。三つの熱せられて赤くなった銃弾は銃口から飛び出し、空気を切り裂き、雨のカーテンに衝突した。 金属に凝固した殺意は耳をつんざく音を立てて隊列を組んだ車の一番前の窓を撃ち砕き、助手席の見知らぬ顔にめり込
第六十八章 怪物 まるで雷が胸に落ちたように、まず心臓が跳ねるのを感じた。響き、胸が破裂するように動き、すべての血液が溶岩となって、狂ったように流れ出した。 瞬間的に収縮した筋肉は爆発するように拡張し、言葉にし難い力と速度で、槐詩をこの暴風と驟雨の中走らせた。漆黒のインクが霧の中を伸びていくように。 短い静寂の中、雷が再び轟いた。 いくつもの銃声とともに。 槐詩が飛び出した瞬間、傭兵たちは微塵も躊躇わずに引き金を引いた。交差した火力の網が少年の影を閉じ込めた。
第六十七章 恥を知れ 霧が震え、雨が逆巻いた。 弾丸によって生み出された一条の光の筋に、すべてが易々と砕かれた。つづいて、霧の中の華奢な人影は炎に呑み込まれた。 吹いて来た風に空に撒き上げられ、ボロボロになったレインコートは雨の中を漂い、地面に落ちた。 人間はまるで神出鬼没の幻で、風の中に消えてしまったようだった。 「敵は?」 機銃を操作していた傭兵は、愕然と周囲を見回した。 副操縦士である中年の軍人は電話を置き、サングラスのブリッジを指で押し上げた。 「気を付
第六十五章 雨 特事所は静寂に包まれていた。 職員たちは一触即発の気配を感じていて、所長のオフィスの前を横切る時には抜き足差し足で歩いた。少しでも大きな音を立てると中の爆弾に引火して怒りの炎に吞み込まれてしまうかのように。 「職員を怖がらせないでくれ」 伝所長は溜息をつき、少し開いたドアの外をこそこそと横切る人影を見ながら、少女のカップに茶を注いだ。 「怖がっている?この脚の悪い女を?」 艾晴はからかうように言ったが、目は少しも笑っていなかった。 「安心して、どんな
第六十四章 勝てば官軍 送金は簡単だった。 艾晴は最高の換金率で槐詩のためにドルから東夏元に両替してやり、天文会支部の公用口座を使って槐詩の資産にした。来歴不明の巨額の資産を調べられないように。 アメリカ連合体は世界最大の経済圏であり、世界最大の源質結晶換金業務を運営している。レートも高く、東夏元とアメリカドルの為替レートはおおよそ4:1である。 つまり全部で千二百万元以上。 あっという間に金持になった。 槐詩は喜びに堪えなかった。 これだけの大金があれば、三
第六十三章 宅配 艾晴の知るところによれば、陰家と槐家の交流は八十年前に遡る。 槐詩の曽祖父は希少な四階の昇華者で、辺境を開拓して資産を築くと引退した。 当時、槐詩の曽祖父は陰家と多く提携し、既に没落していた陰氏が盛り返したことにも大きく影響していた。 槐詩の曽祖父が死んだ後も陰家は辺境の開拓を続けていた。だか陰家には昇華者は生まれず、次第に没落していった。 ついに、陰家は槐氏が最も資金調達が必要な時に、水に落ちた犬を叩くことを選択し、槐氏を徹底的に没落させた。
第六十二章 野心 早朝。市立図書館の地下書倉は再び客人を迎えた。 教授は相変わらず肉の山のような様子で、艾晴が来た時、何か面白いものを読んでいたらしく、声を出して笑っていた。 「お早いですね」 艾晴を見て、教授は本を閉じた。 「寝ていないのですか?昨夜の火災の件は実に厄介そうですね。午後にいらっしゃるかと思ってました」 「面倒なことばかり」 一晩眠れなかった艾晴の顔色は蒼白だったが、表情はいつも通り落ち着いていた。 「早く解決するといいけど」 「コーヒー?紅茶?」
第六十一章 後悔薬 ティーカップを置いた時、槐詩は世界が突然明晰になった気がした。 重荷から解き放たれたような、悟りを開いたような。 高僧のように静かな境地に入った。 心はまったく波立っておらず、大悟して、浮世への見切りもついたかのようである。 すぐに、彼は気づいて、紅茶のカップの中に一抹の紫色が揺らめているのを見た。 「これは何だ?」 「特殊な霊質麻酔剤」 烏鴉羽根を挙げ、テーブルの上の残りの一本のアンプルを指した。 「烏鴉の角の切れ端から作ったの。二本作っ
第六十章 ナーガ 激しい揺れの中、何かが上で爆発したようだった。 槐詩たちは遠くで銃声が何度も響くのを聞いた。誰かがここに攻めてきているらしい。振動と轟音は絶え間なく地下空間から響いてきた。 槐詩と柳東黎は目を見かわし、もう一本の道のことを思い出し、上層に向かって駆けだした。 上に向かう道の行き止まりに来た時、そこかしこに倒れている死体が見えた。 ここは祭祀場全体を運営している者たちの集会場所のようで、広い事務室はこの上なく豪奢だった。だがいま、輝く柱とレリーフを