個人的に大好きなアニメ「true tears」(2008)を語る
この作品って、知名度どれぐらいなんだろうか。
というわけで、本日は僕を一時期アニメ好きの道に引き込んだ作品「true tears」をレビュー。
制作を手掛けたのは、「パリピ孔明」「SHIROBAKO」等を代表作としているP.A.WORKS。
今ではメジャーな会社になりましたが、この「true tears」が初の元請制作アニメだったんですね。
物語はシンプルな青春ラブストーリー主体ですが、結構リアル路線。
絵本作家を目指す高校生・仲上眞一郎は、両親を亡くし仲上家に引き取られてきた同じ高校に通う湯浅比呂美と両親の4人で暮らしています。
眞一郎の母は、常日頃から何故か比呂美につらく当たっていました。
ある日、眞一郎は学校の裏庭で木に登って降りられなくなった少女・石動乃絵と出会う。
彼女は過去に起こったある出来事がきっかけで、涙を流せなくなっていました。
眞一郎は乃絵との出会いをきっかけに、比呂美や親友である野伏三代吉、幼馴染の安藤愛子との関係や、自分自身と向き合っていくことになります。
男女複数人のキャラクターが織りなす群像劇ですが、ヒロイン3人は全員主人公・眞一郎に想いを寄せています。
いやいや、それなら2000年代によくあったハーレムアニメじゃねえか、と思った皆さん。ちょっとお待ちください。
確かに眞一郎はモテモテなんですが、何故か3人が入っている女子風呂にダイブしちゃう、みたいなToLOVEる展開は一切ありません。
むしろ、ヒロインたちは何かしらの問題を抱えていて眞一郎に近づくことができないでいます。
比呂美は眞一郎と同居していますが、それは家庭環境が複雑だから。
眞一郎のことを思いながらも、自分と眞一郎は異母兄妹なんじゃないかという疑惑を持っています。
眞一郎の幼馴染である愛子は、あろうことか眞一郎の親友・三代吉と付き合っています。
しかも、昔から持っている眞一郎への想いを隠しながら。
乃絵は乃絵で、年齢に比して純粋であるが故に色々な問題を抱えている。
今観るとさすがに画質が粗いですが、P.A.WORKSの真骨頂である美しい風景描写や登場人物の心情を切り取ったカメラアングル、演出はこの時点で既に際立っています。
登場人物たちが抱えるそれぞれの問題と、心の機微を繊細に描写するアニメーション演出。
それが、設定的にはハーレムなはずのアニメを全くそんな感じがしない作品に仕上げている。
主人公の眞一郎のキャラ設定も個人的に好きです。
彼には、等身大の悩みや夢がある。
途中色々迷ったり寄り道はするけど、3人のヒロインの中で常に一人を一番に思い続けている。
途中は捉え方によっては結構ゲスい行動も取っていますが、思春期の少年であればとってしまいかねない行動かな、と思います。
完璧じゃないけど、芯の通ったところがあるキャラクターは感情移入しやすかった。
eufoniusが歌うOP曲「リフレクティア」、結城アイラのED「セカイノナミダ」も名曲で、これのレビュー単体で記事書けちゃうぐらい死ぬほど聴きました。
10話で使用されたeufonius「そのままの僕で」も素晴らしい。
というか、個人的には10話のラストシーンは日本アニメ史上でも屈指の名場面だと思っています。
もちろんここまででも十分名作でしたが、第10話の神演出があったからこそ傑作になったな、という印象です。
ちなみに、本作には一応原作ゲームがあるのですがストーリーも登場人物も全く違うらしいです。
僕も原作ゲームは未プレイ。完全に独立した作品なので、アニメ単体で全然楽しめます。
本作は、dアニメストアやhuluで全話配信中。
13話と1クールの作品としては長めですが、テンポも良いのでサクサク観れますね。
僕も最近観直してレビューを書こうと思い立ったのですが、やっぱ良い作品でした。