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昔フジテレビに憧れていた人間が、今思うこと。

学生時代、テレビをつくることに憧れていた。
就職活動では、キー局や準キー局の面接もたくさん受けた。

今だから言うけど、実は一番入りたかったのはフジテレビだった。

2004年夏、『FNS27時間テレビ めちゃ²オキてるッ! 楽しくなければテレビじゃないじゃ〜ん!!』が放送されて。僕は、すごく大きい影響を受けた。

当時、ナイナイの冠番組『めちゃ2イケてるッ!』がまさしく黄金期で。
『めちゃイケ』のメンバー・企画を継承したバラエティど真ん中の内容が、もうめちゃくちゃ面白かったんですよね。

当時14歳だった僕は、”お笑いど真ん中”で勝負する姿勢自体もカッコ良いと思って。
日テレの24時間テレビみたいに感動路線にいかず、笑いを全面に出すのが何かいいな、と。

番組タイトルにも使われた「楽しくなければテレビじゃない」という言葉は、フジテレビのキャッチフレーズでもあり。
当時の僕は人を楽しませる、喜ばせることに全力を尽くしたスタッフと出演者の姿勢にすごく感動したんですよね。

その後の僕は、色々な経験を経て映画やドラマを撮る人になりたいと思うようになりました。
TBSも捨て難いんですけど、やっぱりフジテレビのドラマも好きで。
「ロンバケ」「ラブジェネ」「やまとなでしこ」みたいなキラキラ月9ドラマはもちろん、「WATER BOYS」「のだめカンタービレ」みたいな青春モノ、「救命病棟24時」「コード・ブルー」「医龍」シリーズのような医療ドラマと幅広いジャンルをやっているし。
予算と勢いがあるお陰で、「世にも奇妙な物語」シリーズとか「眠れる森」「あなたの隣に誰かいる」のような攻めたドラマもできる。

フジテレビの全盛期を象徴するドラマが、今続編制作が進められている「踊る大捜査線」シリーズ。
映画版の第1作は興行収入100億円越え、そして第2作は170億円越えで公開から23年が経過した今も日本の実写映画で国内興行収入歴代1位の座を持続。

2011年には反日問題で本社前でデモが起こったり、他局の人気が上がって勢いが大幅に衰えた時もありましたけど、それでもフジテレビは近年までヒットコンテンツを作り続けてきました。
フジテレビはドラマから映画にメディアミックスを展開するのがうまく、「アンフェア」「コンフィデンスマンJP」はシリーズ化して大ヒット、最近も「ミステリという勿かれ」が大ヒットしています。

ここ数年でも、「silent」が大きな話題になったりして。テレビ離れが叫ばれる中でも、中には光るコンテンツがいくつもあったと思います。

そんな風に思っていた僕が、今回の騒動を受けて抱いたのはとにかく残念な気持ちでした。
人気が衰退しようとヒット作が出てくる頻度が減ろうと、一度は入ってみたいと思った会社。
もちろん大きな会社なので放っておいても小さい騒動は色々出ていたと思いますが、僕の若い頃の憧れっていう感情に泥を塗らないで欲しかった。
率直に、すごく悲しい気持ちになりました。
僕が目指していた楽しいテレビを創り出す会社は、こんなに腐っていたのかって。

それからもう一つは、フジテレビの中で今も真面目に頑張っている社員の人には何も責任はないってこと。
フジテレビってだけで叩かれちゃうと思いますけど、中には真面目で真っ直ぐな人、優れたクリエイターもいるはずで。そういう人まで必要以上のダメージを喰らうのはすごく大きな損失だなと思います。

これ以上僕の憧れた場所に泥が塗られるのもイヤだし、今回の不祥事に関係なく真面目にコンテンツを作っていた人たちはしっかり守られてほしい。
もうどう転んでも立ち直りはないと思いますけど、これ以上失望させないでほしいですね。

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