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詩です。作物とともに腐る村
墓守の老婆が若者に笑う
項垂れた向日葵が午後の日差しをうなじに受ける
作物は畑に生ると緑に腐って虫を喰い殺す
すえた畑に老婆が鎌を振るっているのが見える
目もあやに腐った日射がアスファルトを這う匂いがする
集落は老人達と共に腐り果てていく
殺到する山々だけが深い緑の吐息を吐く
畑はすえた。老人達の黄色い飛沫ですえきった。
墓守の老婆が僕に笑う
黄ばんだ前歯に僕が映りこむ。
海上、笛抱き
船板に腰掛け 音吹きを楽しみ
海原が琢磨して空に浮かべた
蒼月に翻る
一匹の鯨
スメルジャコフ氏を弁護するーなぜアリョーシャは彼に同情しなかったのかー
かの物語において、父を殺したスメルジャコフ氏が法廷で裁かれることはありませんでしたが、きっと彼も私たちと同じく神の審判によって裁かれるのでしょう。これはスメルジャコフ氏の異母兄弟であるかの三兄弟の誰一人として彼を弁護しなかったとしても、この私がスメルジャコフを弁護人になるその演説のための台本でございます。
神よ!どうか私の言葉を聞きたまえ、たとえそれが異教徒の言葉にすぎなかったとしても!
異教徒
ラノベ訳『オイディプス王』 第1話「デルフォイの神託」
神代のギリシアの話である。
英雄『カドモス』が『ボイオティア平原』に築いた都市国家《ポリス》、『テバイ』は彼の血脈を継ぐ『ラブダゴス王家』によって代々統治を重ねて来た由緒ある都であった。
今から三十年の昔、ギリシア全土の運命を司る『デルフォイ』なる神託《しんたく》が、『テバイ』の時の王、『ライオス』に告げた。
「私が・・・・いずれ生まれ来る我が息子に殺されるだと・・・・その上、玉座にその