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最強の瞑想ポーズ【結跏趺坐】はできますか?

マインドフルネス瞑想が多くの人に親しまれている理由のひとつは、いつでも、どこでも気軽にできる点です。床に坐る必要はないし、ただ椅子の上に坐って呼吸に集中するだけでできます。

とはいえ、瞑想に慣れてきて初心者の域を脱してくると「もっと上手に瞑想したい」「もっと長く、深く瞑想してみたい」と思うものです。

そんなときにチャレンジしてもらいたいのが「結跏趺坐(けっかふざ)」です。

結跏趺坐ってどんな座り方?

おそらく「瞑想」と聞いて誰もが想像するのがこのポーズでしょう。
山に籠もっている仙人がふわ〜っと宙に浮かぶときに組んでいるポーズです(飛ぶ仙人がいる前提)。

wikipediaではこうあります。

結跏趺坐(けっかふざ)は、仏教とヨーガにある瞑想する際の座法。結加趺坐と書く場合もある。

「趺(あし)」とは足の甲のこと、「結」とは趺を交差させ、「跏」とは反対の足の太ももの上に乗せること。したがって趺を結跏趺して坐(すわ)ることをいう。結跏趺坐は足を結んだ形をしているのが特徴である。片足を乗せる上下で吉祥坐・降魔坐と呼び、その意味も異なる(後述)。

なお、足を結んだ形ではなく、両足を重ねる座り方を、半跏趺坐(はんかふざ)という。

片足の甲を、反対側の足の太ももに乗せて、次に下のほうになっている足甲を逆の太ももに乗せて組むあぐらのポーズです。

写真を見ただけでもわかるとおり(滝とか裸とか発達した大胸筋とかをのぞいたとしても)かなり難易度の高い座り方です。

何も準備運動のないまま、初心者がこのポーズで坐ろうとすると、激痛のためおそらく10秒も持たないか、あるいはそもそも痛すぎて足を組むことすらできません。

結跏趺坐の効果

坐るのに痛みを伴うこの姿勢が、なぜ瞑想に向いているのでしょう?

それはこの結跏趺坐が、他の姿勢と比べても極端に安定するからです。

座布のうえの「お尻」と「両足の膝」、この3点で体を支えると、他のどの姿勢よりも体が安定するのです。

そして体を安定して支えることは、瞑想を深めていく上でとても大事なことです。

私たちはふだんそれほど坐る姿勢について意識しません。
意識したとしても、背筋が伸びているとか、まるまっているとか、ほとんどがその程度だと思います。でも実際には坐っているときの左右の傾き、前後の傾斜、各部位の筋肉の緊張、といった要素によって座相は毎回微妙に違っています。

そしてもし、体が微妙に傾いていたり曲がっていたりすると、本人の自覚がないまま体に不自然な力が加わってしまいます。その状態が数十秒や2,3分ならまだいいのです。
でもバランスの悪い姿勢で長時間坐っていると、不自然に力の入った部分の筋肉がこわばってきて、深い集中へ入る妨げとなってしまいます。

逆に体が安定していると、長時間深い瞑想状態を保っていることができるようになります。

たとえば自分が1時間、ピクリとも動かずに安定して坐っていられる姿勢を想像してみてください。

バランスが良く、安定して、研ぎ澄まされている座相。

それが結跏趺坐なのです。(1時間、椅子の上で身じろぎもせずに座ってるのは難しいですよね)

そのため、国内外を問わず瞑想を教えている指導者の多くは、結跏趺坐で瞑想することを勧めています。

曹洞宗の開祖・道元も、普勧坐禅儀にて

尋常(よのつね)、坐処(ざしょ)には厚く坐物を敷き、上に蒲団を用う。あるいは結跏趺坐、あるいは半跏趺坐。

とあります。現代語に訳すと

ふだん坐禅は、すわる場所に厚い敷物をしいて(座布団)、そのうえに坐蒲(坐禅用の丸い座布団)をのせて、そこに坐るようにしなさい。
その坐り方には、結跏趺坐と半跏趺坐がある。

ということです。
やはり道元も、結跏趺坐で坐るように説いています。

結跏趺坐、習得にどれくらいかかる?

僕はもともと体が驚くほど固い人間です。でも少しずつ結跏趺坐をならしていって、現在では毎日1時間、結跏趺坐で瞑想をしています。

僕自身は、瞑想を習慣化し始めた時は半跏趺坐(片足の甲だけを反対側の太ももに乗せる胡座)でも3分坐っていたら冷や汗が出てくるくらい、強烈な痛みに襲われていました。

「でも、やらないことには慣れていかない」

と覚悟を決めて、少しずつ、時間を延ばしていきました。

片足で10分座れるようになったら、今度は反対側の方して飯香歩沢組むようにして、少しずつ足をならしていき、結跏趺坐で10分坐れるようになったのは数週間後だった気がします。

結跏趺坐が急激に楽になったのは、結跏趺坐をしやすくなるためのストレッチを学んでからです。それからは長時間坐ってもしびれを感じづらくなりました。

あと、これは意外と重要なポイントなのですが、前述の通り、普勧坐禅儀では座禅を組むのに2種類のクッションを使うように説いています。

お尻の下に敷く丸い坐蒲と、坐蒲の下にさらに敷く大判の座布団です。

両膝はこの大判の座布団に支えられることになります。

(曹洞宗の坐禅堂。大判の座布団の上に、円形の坐蒲)

この下の座布団が両膝のクッションになってくれるので、痺れにくくなるわけです。

僕も家で瞑想するときに、床の上に毛布や座布団を敷いて、そのうえに坐蒲を置くようになってから、長時間座るのがだいぶ楽になりました。

どういう人が結跏趺坐に向いてるのか?

冒頭に書いたとおり、どんな姿勢でも瞑想はできます。
そもそもマインドフルネス瞑想は椅子に坐って瞑想する気軽さが魅力なわけです。

そして、床に座って瞑想するにしても、普通の胡座でもいいし、半跏趺坐でもじゅうぶん安定します。

そもそも、マインドフルネス瞑想の一般的な時間は10分〜20分です。

これくらいの時間なら、たとえ多少座相が傾いていたとしても、そのことが瞑想の深化を邪魔するほどではありません。

だから、結跏趺坐が痛くて瞑想が嫌になるくらいなら、むしろ坐るポーズなんて何もきにせずに瞑想していたほうがいいのです。なにより重要なのは習慣化なのだから。背筋さえぴんと伸びていれば、大抵の人は10分はストレスなく座っていることができます。

そして、あるていどマインドフルネス瞑想が習慣化できて、
「もう少し瞑想時間を長くしたい」
「より瞑想を深くしたい」

と思うようになった人は、
すこしずつ結跏趺坐を試してみてるのがいいかもしれません。

僕が運営しているマインドフルネス瞑想のサポートブランド「Mety」では、結跏趺坐に必要なストレッチについて今度動画をあげる予定です。ご興味のある方は、ぜひ参考にしていただけるならうれしく思います。

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