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「かがみの弧城」を読むと大変だったあの頃の気持ちを思い出す

2024年9月に映画「傲慢と善良」が公開された。原作は辻村深月さんが書いた同題名の小説。

小説「傲慢と善良」を読み、自分が婚活をしていた頃ならモワモワしただろうなと思った。

そんな辻村さんの作品の中で一番印象深く、自分自身の思い出とリンクしているのが「かがみの弧城」だ。


「かがみの弧城」の最初のページを開いたのは、ある病院のMRI検査室の前。

子どもが検査をするため、私は待機している時のことだった。

体調不良の原因に1年がかりでたどり着き、今後の治療をどうするか考えるための検査だった記憶がある。

MRIの近くは電波が遮断されている。だから、スマホが使えなかった。

当時は今よりも家計状況が厳しく、めったに本を買うことはなかったけれど、待つ時用に思い切って買った久しぶりの本。

不登校界隈で、いい本だと有名だったから。

実際、ものすごく分厚いのに、家に帰っても時間があれば読んだので、思ったより早く読み終わった記憶がある。

伏線回収が秀逸で、やばっとゾクゾクした。

私が読み終えた数年後、上の子2人も読んで、おもしろいと言った。

MRI検査をした子どもが当時読まなかったのには、ワケがある。その時は病気の症状せいで読めなかったから。

病気の症状にブレインフォグという、文字を見ても理解できないというのがあった。

だから、当時は勉強などもできず、将来のことが心配で眠れない夜を過ごしたことも・・・・・・。

数年が経過し、子どもが読みたいと言った時には、この時の不安を思い出し、心底ホッとした記憶がある。

今もまだ家にあるこの本の想い出は、内容もさることながら、我が家の大変な日々のはじまりを思い出させる。

でも、今はストーリーと同じく、次のステップに進み、子供も私も新しい世界で生きられるようになった。


印象的なシーン

子どもが学校に行けない立場になると、最初のシーンから引き込まれるものがあり、グイグイと読み進めてしまう。

行かないんじゃなくて、行けない。

かがみの孤城 P14より

当時、子どもは原因がはっきりせず、学校に行けない状況だった。

でも学校側からすると、行かない子どもになるし、私は甘やかして学校に行かせていない親と思われている節もあった。

体調が悪そうなのに、吐き気がすると言いながら、頑張って学校に行っていた時期もある。

私はずっと不安だったけれど、学校に行かせなければ、内申がなくなり、子どもが希望している高校への進学が叶わなくなってしまうと思い、心を鬼にして行かせていた。

その後、寝たきりのようになってしまい、自分自身も責めたし、学校の理解を得られないことにもイライラしていた。

はじまり辺りのシーンは、不登校の子どもがいる家庭でありそうな場面が続く。私自身も原因がよくわからない時代、身に覚えがある。

お母さんと主人公・こころのやり取りは私自身の態度にも見え、わかるけれど、こうやって小説で読むと胸が痛かった。

エピローグがやばい

他にも印象的なシーンも言葉もたくさんあるが、読んでもらうのが一番だと思うので、ここでは触れない。

個人的には伏線回収がすごすぎて、唸った。

私自身は不登校の経験はないけれど、学校に行きたくないことは多々あった。HSCの子どもにとって、学校は時々つらい場所になるから。

怖いシーンもあるので体験したいとは思わない。ただ、子ども時代に学校という居場所から追い出されてしまうと、他に居場所がない子どもの方が多いと思う。

大人になった今でも、居場所の大切さを感じることはある。こういう子ども達の居場所作りは大切かもしれないと、不登校の子どもの親目線でも軽く読み直して思った。

我が家では人気の1冊!

子どもたち全員が学校に行けなかった時期があるので、各自がそれぞれに響くところがあった模様。

感想までは聞いていないけれど、おもしろかったと言うので、お子さんがいるご家庭にはオススメの1冊。

一番大変だった頃は、我が家も外界から遮断された鏡の中の世界で暮らしていたのかもしれない・・・・・・と、今は思う。

主人公のこころちゃんは大人になって、元気に暮らしているだろうか・・・・・。

そんなことに想いを馳せてしまうくらい、感情移入してしまう作品。

登場人物がそれぞれが、各自が思い描く幸せな未来に進めていたらいいなと、読み終えて数年経った今も思っている。



Discord名:叶井ゆき
#Webライターラボ2410コラム企画

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叶井ゆき
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