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ようこそ、ママのための本屋さんへ。
【509日目】
あなたは自分のための本を楽しめていますか?
どんな本が好きかすぐに思い出せますか?
本屋に行っても子どもたちを追いかけるのに
精いっぱい。
自分のための本を探す時間はありますか?
今日はママの願いを叶える一軒の小さな本屋のお話。
わたしも、娘たちが小さいころ、
心からゆっくり本屋さんを楽しみたいときが
ありました。
ああ、久しぶりに小説も読みたいし、
あのマンガの続きはどうなったのだろう…。
いつから、本屋を楽しめなくなったのだろう。
その本屋には、ひとりのおばあさんが
座っていました。
グレーの壁に緑の枠の掃き出し窓。
扉をあけるとカランコロンとかわいらしい音が。
白髪頭でひっつめ頭をお団子にした
おばあさん。隣には黒猫。
あらあら、猫はレジ台の上で丸くなっています。ひょいとおばあさんに甘えるように降りてきました。
おばあさんは本屋さんの片隅で、ゆっくり深いイスに腰掛けてコーヒーなんか飲んでいます。
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ああ、いらっしゃい。
今日はよく来たね。あんたを待っていたんだよ。毎日子育てお疲れさま。
お嬢ちゃんも、
前に来たときより大きくなっただろうねえ。
もう2歳!走り回って大変だろ?
大丈夫だよ、あんたが
本をね選んでる間は、お嬢ちゃんはうちの娘が
みてるから。安心しな。一緒に絵本を読んでるよ。なかなかあの子は本を読むのが上手なんだよ。
さあ、今日はどんな本がお望みだい?
この本屋はね、
30分だけママが「自分」と「本」だけの
時間を過ごすための場所さ。
お代はそうさね、本を買うお代だけ。
まあ好きでやってるんだから。
たまにはママも一人で本を読みなよ。
本屋だけどソファもおいてるんだ。
この時間はあんただけのもんさ。
「子どもの本ばかり見てて、
わたしどんな本が好きだったんだっけ……?」
そうさね。ママになる前はどんな本を読んでたんだい。
「小説や…エッセイなんかも好きだったし。
がらにもないけど、
恋愛ものも読んでたわ」
「好きなものを読みな。あんたが好きなものを」
たまには「はらぺこあおむし」や「ぐりとぐら」でもない、江國香織や村上春樹を。
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わたしはね、
ママが自分の時間を取り戻すために
ここにいるんだ。
いつでもつらくなったら本の中で取り戻したらいい、自分をさ。
本は栄養剤だから。
「そうですね…娘の夜泣きがひどくて。今それがいちばんつらいんです。
夜寝る前の本が幸せだったんですが、もうできなくなっちゃいました」
「…それだけあんたにとって必要な時間だったんだろうねえ。
大丈夫、人生いつも同じじゃない。
必ず変化して、またやりたいことが
できるステージにくるから」
「そうですね……じゃあ、どうしようかな」
そう言って、お客さんは棚を丹念に見て回り、2冊のエッセイを買った。
「ゆっくり読み進めようと思います。寝ちゃうなら、朝起きてみようかな」
「それもいい。おおきに」
お客さんはちょっと照れながら、ふふっと笑った。
いつも追われているママたちはゆるむと優しい表情になる。
その顏が見られるから、
たまんないんだよ、この仕事はさ。
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あんたもまたゆっくりおいでな。
今度はおいしいコーヒーを入れてあげるよ。
おすすめの本もたくさんある。
お嬢ちゃんにもおみやげに、絵本1冊選んだろうな。
やれやれ、あの本…「ねないこだれだ」はどこいった。
今日もお付き合いいただきありがとうございました。
▼この記事を書いた人▼
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こちらずっとやりたかった企画。
メディアパルさんありがとうございます。 #本屋さん開店します
中川李枝子さん、せなけいこさんのご冥福をお祈りして。
今日の推しnote
ふくふくさんも同じ企画に参加されています。
コーヒーを飲んだら一冊本が…ってすてき。
具体的で実現しそうなアイデアにわくわくしちゃいました。