『採用に強い会社は何をしているか』を読んで学んだこと
はじめに
ご覧いただきありがとうございます!
株式会社M&Aクラウドで人事をしている仙波です。
本記事は私の読書感想文的な、学びをシェアする記事であり、網羅的な本の要約記事ではありませんので、その点あらかじめご了承下さい。
今後も定期的に本の感想や日々の学びをシェアしていく予定ですので、もしよろしければ「スキ」と「フォロー」をしていただければ嬉しいです!
採用に強い会社は勝つべくして勝っている
先に結論をまとめると、本書で伝えたいことは、
採用活動において「たまたま勝つ」ことは稀であり、採用に強い企業は自社なりに試行錯誤し、「勝つべくして勝っている」ということです。
本書では、こうした採用に強い企業の事例や、彼らが大切にしている原理原則を紹介してくれています。単なる事例紹介ではなく、非常に体系的に「採用活動」についてをまとめている本ですので、人事の方だけでなく、採用に関わる全ての人におすすめできる本です。
そして、本記事では、本書でまとめられている「採用活動における3つのプロセス」のうち、多くのスタートアップ/ベンチャーが最初に頭を悩ませる「第1章 出会う」のパートをまとめさせていただきます。
第2,3章もとても学びのある内容となっているので、気になる方は是非本をお手に取ってみて下さい。
採用活動における4つの出会い方
採用活動における出会いは、メディア、エージェント、リファラル、スカウトの4種類に大別できます。(下記の図)
「第1章 出会い」では、4種類の出会い方におけるポイントを解説し、上手くいっている事例を紹介しています。
全てを成功させられればベストですが、リソースの限られたスタートアップ/ベンチャーはいきなり全てに着手すればどれも中途半端になる可能性があるので、まずは全体像と自社の取り組みを比較して、できている点/できていない点を明確にすること、今後改善/着手していく優先順位をつけることが必要だと思います。
1.メディア
採用活動において、マッチする人となかなか出会えずに躓いてしまうケースは少なくありません。どうすればターゲット人材と出会うことができるのでしょうか。もし、あなたの会社が「いい人と出会えない」とお困りの場合は、次の「3つのA(Attention / Attract / Apply)」において改善の余地がないかを考えてみましょう。
Attention ~届けるべき人に届ける施策~
当然のことですが、届けるべき人に情報が届かなければ出会いには至りません。ターゲット人材の視界に入り、自社の求人に気づいてもらうためには、メディアごとの特徴をつかみ、ターゲット人材に効果的にアプローチする必要があります。このフェーズでは、①チャネル、②振り向かせ、③拡散しやすさ、の観点で改善施策を考えることができます。
Attract ~惹きつける施策~
求人情報はターゲット人材の応募意欲を喚起し、惹きつけるものであることが重要です。その求人が「自分にとって価値がある」「他社にはない魅力がある」と認識してもらい、それを信じられるだけの事実情報を提供することは採用競争で勝つための鉄則です。このフェーズでは、④ベネフィット、⑤エビデンス、⑥差別化、の観点で改善施策を考えることができます。
Apply ~応募しやすくする施策~
意外と見落としがちなのが「応募のしやすさ」です。仕事内容や職場環境において不安を感じさせそうな点があったり、応募のハードルが無駄に高かったりすると、せっかく意欲が高まったターゲット人材に応募の前段階で引き返されてしまうこともあります。このフェーズでは、⑦不安払拭、⑧ウェルカム感、⑨負荷調整、の観点で改善施策を考えることができます。
2.エージェント
~エージェント優位の時代に考えるべきこと~
多くの採用担当者が見落としがちなのは、需給のバランスです。
「求人倍率が高くなる=需要(求人件数)が多く、供給(求職者)が少ない」ということなので、このような状況下では供給側(=エージェント)の立場が強くなります。これを理解せず、不景気時代の感覚を引きずったままエージェントを「下請け」とみなして高圧的な態度で接する・叱責する企業は、エージェントから見放されます。
彼がが接点を持つ優秀な人材を欲しい企業は数多くあり、わざわざ仕事のしづらい採用企業を相手にする必要はないわけです。そのため、エージェント経由の採用においては、彼らが自社の採用に協力したくなるような施策が求められます。
私も前職はエージェントとして仕事をしておりましたので、この章の内容は大変共感できます。だからこそ、今後人事としてお付き合いさせていただくエージェントの方とは良い関係を築いていきたいと考えておりますので、改善して欲しい点や、やりづらい点がありましたら、ご指摘ご提案いただけますと幸いです!!
3.リファラル
リファラル採用とは、自社従業員に知人・元同僚などを紹介してもらう採用手法です。リファラル採用は従業員の協力によって成り立つため、その運用において難しさはあるものの、マッチング率の高さ、採用の生産性、採用費の観点でメリットを感じることが多く、ここ数年で多くの企業が導入・制度化しました。
しかし、全ての企業においてリファラル採用がうまく機能しているわけではありません。「従業員がなかなか紹介してくれない」「紹介されても不合格になってしまう」などの悩みを抱える採用担当の方も多いのではないでしょうか。そこで、ここではリファラルでの採用数を増やすために必要な7つの取り組みを紹介します。
4.スカウト
最後はスカウト採用。
スカウトメールを書くのは手間がかかりますが、人材要件が明確な場合はターゲット人材にピンポイントにコンタクトできる手法のため、募集ポジションの特性によっては大きな成果を生みます。
なお、スカウトメールにおいては「どういう文面を書けばいいかわからない」と悩む採用担当者も多いのではないでしょうか。スカウト文面は「個別スカウト」と「一斉スカウト」に分かれ、それぞれにおいて、文面に求められる要素が異なるため、作成の際には注意が必要です。
なお、本書には、良いスカウト文面の例なども取り上げられています。
一貫性のあるコミュニケーション
ここまで参考になりそうなフレームや事例を紹介してきましたが、一点注意点があります。それが「一貫性のあるコミュニケーション」です。
採用担当者に求められるのは、あくまでもターゲット人材と自社を結びつける「一貫性」のあるコミュニケーション設計であり、他社の取り組みを部分的にコピペしたような、チグハグした整合性のないメッセージでは、人を振り向かせることも心を捉えることもできません。
採用コミュニケーションにおいては、次の図のような一貫性こそが、いい人との出会いを実現させる上で必須となります。メディア、エージェント、リファラル、スカウトのいずれにおいても採用担当者は、この基本を忘れないようにしましょう。
さいごに
今回は『採用に強い会社は何をしているか』の第1章についてまとめさせていただき、「出会い方」という採用における入り口部分だけでも、これだけ多くの考えるべきことや工夫できることがあるのだと驚きました。また、未経験として飛び込んだ人事の世界の奥深さにも、さらに魅力を感じました。
体系的な全体像、様々な企業の事例などを学んだものの、結局重要ななことは、自社と自社の求める人材に向き合い、試行錯誤を繰り返しながら改善していくことだと感じました。学んだことを少しずつ実践しながら、自分自身も成長し、自社が「勝つべくして勝てる」組織になれるよう貢献していきます。
今回書き切れなかった筆者の想いや、人事が考えるべき問い、発揮すべき行動指針などは、別記事に書かせていただきましたので、是非合わせてご覧下さい。
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