たとえ不謹慎だと言われても、愚かだと指さされても、私は待てずに駆け出した。
いま、新幹線に乗っている。
だからなんだとあなたは言うかもしれない。私は、たくさんの県境をまたいで会いたい人にあいにいく。
1か月前から、決めていたことだった。
その時にはもう既に感染症も蔓延していたし、日本は緊急事態宣言の真っ只中だった。
会いたい。会いたくてたまらない。声だけでも心の7割は満たされるけれど、残りの3割は手を繋いで、抱きしめないときっと満たされない。
それでも時期が悪いと笑うしかなくて、私の力ではどうにもならない現状にナイフを投げて切り裂いてしまいたかっ