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【書評】庄野雄治『たぶん彼女は豆を挽く』 コーヒーが好きなあなたに

皆さんの常飲飲料って何かありますか?
緑茶、麦茶、お水、はたまた健康に気に使う方は白湯やレモン水だったり?
私はコーヒーです。同じ方いらっしゃるかな。

最近はアイスばかりですが、仕事に向かう時に2本買って(BOSSと日替わりで1本)、大抵仕事中にもう1本買い足しているものですから、1日に3本は飲んでいます。なんて不健康なんでしょう。
飲んだ時の香りが好きなんですよね。アイスだと特に。

実家暮らししていた頃は、毎朝コーヒーを飲んでいたので、今さら辞められない。
実家にはコーヒーメーカーがあって、毎朝豆をブーンと挽いて、家族に入れるのが私のルーティンでした。
挽いた豆をフィルターに入れる時に、ふっと鼻に入るあの豊潤な香りは、この世で一番好きな香り。
コーヒーがこの世にある、という事実に感謝を捧げよう。

さて、今回ご紹介する『たぶん彼女は豆を挽く』は、コーヒーがテーマのエッセイ集。作者の庄野さんは、徳島県で「アアルトコーヒー」というお店を経営されています。

コーヒー専門店、ひいては喫茶店のオーナーの方がエッセイを書かれるというのは珍しいように思います。(他にもあったら是非教えてください……)

コーヒーの美味しい淹れ方から、アアルトコーヒーの立ち上げ話、ひとりでお店をやる時の心構えまで、トピックが盛り沢山で読みごたえがあります。

50ものエッセイが収録されておりますが、ひとつひとつは数ページになっておりますので、夜寝る前に少しずつ読み進めるのがオススメ。
最後にひとつだけ、自分が印象に残ったエッセイを引用します。

好きなものにお金を使う
 カフェをやりたいのならカフェに行こう、沢山。音楽で食いたいのならCDやレコードを買おう、沢山。イベントをやりたいのならイベントに行こう、沢山。本を出したいのなら本を買おう、兎に角沢山。
 賢いつもりでいるのかもしれないけれど、それでは駄目だ。賢いやつは馬鹿には勝てない。勝ち負けの問題ではない言うのなら、自分の場所を見付ける努力をしよう、死ぬ気で考えて。それは、競争や勝負の世界より厳しいんだ。何故なら、競う相手がいないのだから。共に切磋琢磨して互いに伸びていくなんていう夢物語のない、シビアな世界。自分の醜いところや弱いところと、どっぷり対峙することになる。
 好きなものにお金を使おう。そのために働こう。そうしているうちに、きっと何者かになっている。

お店を構えたいと思っている私には、強く刺さるのでした。


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