今日の詩 17
今日の詩とまとめ
#19
真っ赤に燃える蜘蛛の腹
何を喰ったか知らないが
線香花火の火玉みたいな
真っ赤な腹は溶岩だった
真昼に見た花火は寂しく
ゴザを敷いて見上げた日
息子はぬるいラムネを飲む
ビー玉を取り出して
何時迄も眺めていた
あの蜘蛛の腹は溶け出す
息子の手を引いて
惨劇前の長閑の中
微笑っていた
#20
髪の毛が伸びた
爪が伸びた
影が伸びた
欠伸の出る速度で
身長は伸び悩む
成績は伸び悩む
スカートの丈は短い
頭髪指導に命懸けの
女の先生を横目に見て
何かが冷めていった十代
それでも十分熱かった
冷めても冷めても
すぐに熱湯になる
燃やすものが多かった頃のお話
20作ごとにまとめています。
→『血潮があぶくになる以前』 slib.net/113086
仕事に就こうとしたが、結局不採用だった。がっかりしてる気持ちもショックな気持ちもあるが、その奥では安堵している。
昔は何も疑問も持たず自分をPRしていたけれど、やっぱり違和感がぬぐえなかった。受け答えはちゃんと出来ていた。最終面接で持病のことを色々と事細かに聞かれて穴ぼこになった気分で合否を待っていた。合格してほしいというのは金を作りたい私の気持ちで、自分を再び見失うような気がしていたのは詩を書く私だった。
焦ってもよくないのはわかっている。いつもの私なら「よっしゃー次だ次ー」と再び求人を探していただろう。しかし、「もう限界です」と体内から声がする。求人は探しているというより眺めていた。
「なんで書かないの?」
書くことがある。詩でも批評でも、書いて生きていたいのに、何故ペンを握らないのだろうか。
私が一番、詩や文で生きていくことを許可していない。
自分が自分のドリームキラーで、自分が一番自分を否定している。
自分が嫌いだから、自分以外になる社会人になっていなければ認めてくれない。
一人芝居でもここまでいろんな役こなせるなら、大したものだと思う。世界とは自分をここまでわかりやすく体現している。
一回全部投げ出そうとした。わかりやすい評価に逃げようとした。そんな自分にがっかりした、そんな自分に絶望した。でもこんな気持ち誰にもわからないよと一人で苦しんでいる。誰かに話すこと伝えることを放棄して。何も言わずに消えて仕舞えば手っ取り早くわかってもらえるんじゃないかとか、そんなことばっかり考えていた。
それじゃあ何も変わらないのもわかっている。
思考と心と行動は一致しない。やりたいことがある。詩で文で生きていたいと、はっきり書ける。それなのにそれから逃げようとする自分もいる。
面接の後、いつも何かが抜け落ちていく気持ちだった。喋れる、どこにも矛盾なく、意表を突いた質問にも、即答できる。これでも過去の仕事では人前で話すことが多かったから、面倒な質問というものへの対処も面接官の意図も、わかっている。そんな自分に再び成ることは、もう随分と苦しいことなのだとわかった。必死に納得させるためにもう一人の自分と対話しているつもりでも、多分それだって嘘だった。
どうして本当に欲しいものを言わないの。
それが手に入らなければ悲しいから。
それは本音だ。手を伸ばすことが怖い。色々なことが、ぐちゃぐちゃになっていく。そしてそれをここに書いている。役に立たないものを書いてもいいと、書きたいことだけ書いていいと、いくらでも言い聞かせてやらないと、私は私を許してくれない。
心を開くってなんなんだろうって昨日Twitterに書いたけれど、心臓が裂けるイメージしか湧かない。ハート、Heart、おーぷんゆあはーと、怖いこと言うなよ。
少なからずこれが全ての本音で無かったとしても、心臓すれすれな気持ちだと思いたい。
社会にどう向かうか、それはわからない。ただ、詩で文で生きていきたいのなら、短気じゃいけないと思った。
とりあえず、溜まった本でも読もうか。
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