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美はモノにではなく関係性の間に訪れる

私は

「美はモノにではなく関係性の間に訪れる」

という姿勢で制作をしています。

何かを観る時、関わる時にもそういう姿勢です。

作者とモノとの関係、作品と受け手との関係、受け手と社会との関係、使われる場所、飾られる場所との関係。

美はその関係性のなかに「訪れる」のです。

作品が社会へ発信され、関係性が連鎖することは美の増幅を産みます。

作者の制作意図とは違う美が発見される場合もあります。

それは美は関係性の間に訪れるからです。

何かの理由があって美があるのではない。
関係性の間に美は訪れるもの。

美は無形のものです。

そして

「素材と制作者は対等である、しかし素材を開くことが出来るのは制作者である」

「素材を開かせること、即ち自分が開かれること」

という姿勢で制作しています。

これも関係性です。

この「素材」というものは、生地や染料の特性、染めの特性、時代の要請、自分の感性、注文であれば、その発注者の要請、そういった環境すべてを含んだ意味です。

「私の作品は自分の身の周りを取り巻くあらゆる環境との『関係性』から産み出される」

ということです。

それは常に変化と多様性をもたらしてくれます。

しかし、その中心に立つ制作者は一人です。

そこに多様性のなかの一貫性が産まれます。

それもまた、日本的感性だと思います。


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