隣の人は何想ふ人ぞ。
私の暮らしは、
もはや主婦に近いものになりつつあります。
「休職中で復職に向けた準備をする」主婦です。
「自宅警備員」というほど、何もしていません。
「外へ出る活動は、太陽の出ているうちに。」
を勝手に標語にしている私ですが、
段々と陽が短くなる中、スーパーへ出かけました。
予め絶対に買うもの、その日食べる物は
決めてから出かけるので、買い物自体は早く済みます。
もう何はなくとも、
会計終わりに行くところは決まって、椅子です。
(おばあさんか!)と自分でつっこみつつも、
向かってしまいます。
1度座ればあら不思議。
1人掛けソファの懐の深さ(=沈み込みの深さ)に、
数分で根が生えてしまうのです。
(おばあさんか!)
しかし、意外にも利用率が低く、
この街の住民の方々の健康具合が計り知れます。
(私も運動しなくちゃね。)
なんてぼーっと根を伸ばしていると、
隣の少し離れたソファに男性が座りました。
一旦離席した後、そちらの方向から、
「カコッ」という音がしました。
「プシュッ」とはちがう「カコッ」という音は、
なんだかとても懐かしく、横目で音の主を追いました。
缶コーヒー。
仕事終わりと思しき作業着のおじさんが
缶コーヒーを飲んで、何かの書類に目を通しています。
その横には私と同じように、
会計後の商品の入ったバッグと、それを乗せたワゴン。
ソファコーナーの背面に、
自販機があるのは知っていました。
でも、ラインナップを確かめたり、
買おうと思ったことは一度もなかった私は、
(え。カッコイイ。これが大人の労い方か。)
感心すると同時に喉が渇いている事に気付きました。
私に、飲む資格あるかな。
働いてないんだもの。
今この時間も私の後輩たちや、
友人達はそれぞれの持ち場で働いているじゃない。
誰に見られている訳でもないのに不安です。
でも、1回やってみよう!
大人の労い方とやらを!と息巻いて
一番安い缶コーヒーをその自販機で買いました。
「カコッ」
おじさんと同じ方向を向いて、同じ物を飲みます。
優しい味の、カフェオレでした。
(こういうのも、アリかぁ)と思う、
半端主婦とい。