すぐに泣いちゃう生徒さん。誰が機嫌を取れば良い?
こんにちは、辰巳です。
講師の皆様、小さい子供のレッスンで、ちょっとした事で生徒さんが泣いてしまったり、機嫌が悪くなってテンション最悪モードになられてしまい、困ってしまう事はありませんか?
今日は、そんなちびっ子を笑顔に戻すアプローチについてのお話です。
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「たいした事ないよ」は励ましにならない?
本題の前に、まずは下のエピソードをご覧ください。
A子さんは一重まぶたにコンプレックスがあり、気にしている。
長年、二重まぶたに憧れては、毎日鏡で自分の顔を見るたびに自分の顔が嫌になる。
ある日、思い切って友人にその事を打ち明けました。
、、、ここで問題です。
次の3つの友人の反応のうち、皆様ならどの反応をされますか?
反応①「なんだ、そんな事で悩んでるの?そんなのたいした事じゃないでしょ、A子美人だし!」
反応②「そんなの大した事ないよ!私なんて、丸顔だし鼻は低いし、、A子の顔で悩んでたら私はその100倍悩まなきゃ!」
反応③「そっかぁ、今までそんなに辛い思いをしてたのね。そんな大事な事、私に話してくれてありがとね、でもA子美人だし、たいした事ないと私は思うよ!」
いかがでしょうか。
反応①は、友人には悪気がなく、むしろA子さんを励ますつもりでそう言ったのでしょう。
しかしA子さんとしては「自分にとっては深刻な悩み」を「たいした事ない」と、頭ごなしに軽く扱われた気持ちになってしまい、「どうせ誰も分かってくれない」と、悩みを打ち明けた事を後悔してしまうかもしれないのです。
人が真剣に悩んでいる事に対する「たいした事ないよ」は、励ましにはならないのです。
友人にとっては「たいした事」なくても、A子さんにとっては「たいした事」なのです。
反応②は「不幸マウント」です。
励ましているように見えますが、相手の辛い気持ちを軽く扱っている点は①と同じですし、不幸マウントをする事でむしろA子さんが気を遣い、友人を励ます立場に逆転しています。
自虐ネタで相手を励ます事は相手の負担を増やしている事になるのです。
反応③の友人は、A子さんの気持ちを、A子さんの価値感になって扱っています。A子さんが辛かった事に共感して、気持ちを大切にしてあげています。その言葉があった後にはじめて「たいした事ないよ」は励ましの意味に変わるのです。さらに、「たいした事ないと私は思うよ」と表現する事で、出来事そのものの重大性を決めつけるのではなく、あくまで自分の意見として言っている点も①②との違いです。
A子さんが悩みを打ち明けた意図は
A子さんは友人に、自分が今までどれほど辛い思いをしてきたのかを分かってほしかったのでしょう。
一見励ましに聞こえる「たいした事ないよ」。
これは、「辛かった」と言っているのに、「そんなの辛くないよ」と言われてしまったのと同じなのです。
自分にとってたいした事なくても、それはあくまで「自分にとって」の話なのですね。
「相手は悩んでいるという事実」を受け止めていない「たいした事ないよ」は「相手の気持ちを邪険にしている」けれど、
「相手の辛さ」を受け止めた後に、自分の意見として「たいした事ないよ!」と言えば、その言葉は「励まし」になるのです。
もう一つエピソードがあります。
「泣くほどの事じゃないよ」は励ましにならない?
これは私の体験談です。
数年前、幼稚園児から中学生位までの生徒達と、夏休みに手作りポップコーンパーティーをしていました。
機械でポップコーンを作り、みんなで出来立てアツアツを食べて楽しんでいました。
その時、1人の幼稚園児の男の子が、触ったポップコーンがとても熱かったため「ヤケドをした!」と大泣きしてしまいました。
慌てて様子を見ると、ちょっと赤くなっているかな?程度で「たいした事ない」状態でした。
でも、大泣きは止まりません。
まわりの生徒達は、「そんなにひどくないから大丈夫だよ」「たいした事ないから大丈夫だよ」「たいした事ないから泣かなくて良いよ」と口々にその子を励ましてあげていました。
まわりのお友達は気遣いをしてくれる優しい子ばかりでした。
でも、男の子は益々大泣きしてしまいます。
そこで私が、
「ビックリしたよね(>_<)すごく熱かったんだよね(>_<)」「だけど、冷やせばすぐに良くなるから心配ないよ(^^)」
と話すと、スッと泣き止んだのです。
一緒に流水で指を冷やしながら、その間もずっと、「ビックリしたよね」「大丈夫だよ」を繰り返しました。
その頃には、男の子は「もうヒンヤリ!ヒンヤリしていて気持ち良い!」なんてニコニコしています。
この男の子は、始めに泣いた時は「熱かったから」「ビックリしたから」でしょう。
しかし、途中からの大泣きは、
「熱くてビックリした事」を「たいした事ない」「泣かなくて良い」と言われたからかもしれません。
ですから「熱くてビックリした事」を分かってもらえたら、気持ちがスっと収まったのですね(^^)
励ましの2ステップ
A子さんのケースも、男の子のケースも、相手の気持ちを落ち着かせ、励ましたりなぐさめたりするために2ステップを踏んでいます。
1つ目のステップは、「相手の気持ちを、そのまま受け止める」事。この時は、自分の価値観に置き換えないように。
2つ目のステップで、「大丈夫だよ」など、慰めや励ましの言葉をかける事。
私達は、ウッカリ悪気なく1ステップ目を飛ばしてしまう事が多いかもしれませんね。
1ステップ目は、心の中で思っているだけでなく、きちんと言葉にしてあげる事も大切です。
レッスンで生徒が泣き出した時は
ようやく本題です。
しかし、ここまでお読みいただいた方はもう方法はお分かりでしょう(^^)
レッスンをしていると、「え?そんな事で泣くの?」と困惑する事がしばしばあります。
自分にとっては文字通り「泣くほどの事じゃない」と思う事だらけです( *´艸`)
しかし、その子にとっては「泣くほどの事」なのですね。
そんな「泣くほどの事じゃない」けど「泣くほどの事」の例と、それに対する2ステップの受け答えの例はこんな感じでしょうか↓
「さぁ、弾いてみよっか♪」と言っただけで突然泣き出す子(→うまく弾けるか不安なのかな?失敗しても大丈夫だよ)
1カ所ミスしただけなのに大泣きしてしまうちびっ子(→失敗したくなかったんだねぇ。もう一回頑張ってみる?)
コンクールで入賞出来なくて泣き出す子(→頑張って練習してきたのに賞が取れないのは悔しいよね。でも頑張ってきた事にだって意味があると思うよ(^^))
コンクールで入賞したけど1位でなかったから泣き出す子(→1位になれなくてすごく悔しいね!でも入賞出来た事も立派だと思うよ!)
自分が宿題をやって来なかったのに不機嫌になる子(→こういう時ってやって来たら良かったなぁって嫌な気持ちになっちゃうよねぇ。今度からはやっておいでね)
ちょっと難しそうだと思ったら、やりもしないで泣いたりテンション最悪になる子(→難しそうで不安だよねぇ。先生がついてるから大丈夫だよ!)
ハノンが面倒で指の形を注意すると機嫌が悪くなる子(→ハノンってすごく面倒なんだよねぇ、ホントはやりたくないんだよねぇ。まぁ、そこを何とか頑張ろっか(^^))
高校、大学生で、難曲に挑むも全然弾けないテクニックがあり落ち込んでいる生徒(→練習しても先が見えないのはしんどいよね、分かるわぁ。もうちょっとやってみる?それともちょっと違う所やってみる?)
などなど、、、こんな具合です。
全部2ステップになっていますね。ためしに、1ステップ目を飛ばして読んでみてください。印象が少し変わってくると思います。
また、例は全て2ステップ書きましたが、1ステップ目だけでも大丈夫です。
なぜなら、人にはこのような心理が働くからです↓
①「1ステップ目(気持ちを受け止めてもらう)」
②「分かってもらえて気持ちが落ち着く」
③「落ち着いたら自分の力で前に進もうとする」
人には本来、自分の力で物事を切り開こうとする力が備わっています。この力は、不安や不機嫌な時には弱まりますが、気持ちが落ち着いたり安心している時には、ちゃんとパワーを発揮してくれるのです。
ですから、相手が子供とは言え、先生はその子の「本来の力」を信じてあげる関わり方をしてあげるのが良いでしょう。
自分の機嫌は自分で取る
「自分の機嫌は自分で取る」という言葉がありますね。あれは、ステップ①、ステップ②を、自分で自分にやってあげる事です(^^)
不安や不機嫌を上手に解消出来る人は、これが出来ているのですね。
しかし、子供にはまだ難しいでしょう。
ですから、レッスンでは先生が代わりにやってあげるわけですね(^^)
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そろそろまとめです♪
頭ごなし、ダメ、絶対!!
自分の機嫌は自分で取る!!
生徒の機嫌も自分が取る!!
私はいつもこんな風に生徒達と接しています。
お互いにストレスがなくレッスンもスムーズに進みます。
そして、、
その子もきっと、レッスンを通して、相手の気持ちを思いやれる優しい心の持ち主に育ってくれるかな、とこっそり期待もしていたり( *´艸`)
お読みくださってありがとうございました♪