ティール組織の隆盛からソース(Source)の探求に至る国内の潮流を概観する
今回は、フレデリック・ラルー氏(Frederic Laloux)の提唱した『ティール組織』とピーター・カーニック氏(Peter Koenig)が提唱した『Source Principle(ソース・プリンシプル/ソース原理)』がどのように国内に紹介され、広がりつつあるのかを、1人の探求者目線から紐解いていく試みです。
私自身の探求の契機
私がSource Principle(ソース・プリンシプル / ソース原理)の探求を始めるきっかけとなったのは、『ティール組織』を探求してきた人々の中で『Source Principle(ソース・プリンシプル/ソース原理)』をめぐるムーブメントが現れ始めたことです。
私自身、ティール組織解説者・嘉村賢州が代表を務めるhome's viという組織において新しい組織運営、あるいは組織経営のあり方について探求し、国内外の現場で知見の紹介と実践をしてきた中で、『ティール組織』、『Source Principle(ソース・プリンシプル/ソース原理)』に出会いました。
その後、JUNKANグローバル探求コミュニティという自然の営みに触れながら組織や経営を探求するコミュニティに参加する中で、トム・ニクソン氏やピーター・カーニック氏との対話と共通体験を重ねた後、
これらの知見を次世代へ、より日常生活の中で活用していける形で伝えていく方法を模索し始め、今に至ります。
現時点では、上記の知見を活用した個人・組織への伴走支援やワークショップの実施、海外の文献や実践者の知見を調査してまとめる執筆、探求する仲間との共通言語づくりとコミュニティづくりのための読書会、研究会などの開催が主たる取り組みです。
『ティール組織』ムーブメントを概観する
2014年『Reinventing Organizations』発表から、「ティール組織」邦訳出版まで
まず、ティール組織の原著である『Reinventing Organizations』は、フレデリック・ラルー氏(Frederic Laloux)によって2014年に発表されました。
国内の本格的な「ティール組織」探求は、未だこの『Reinventing Organizations』の邦訳出版すら形になっていない2016年に端を発しています。
2016年9月19日~23日に開催された『NEXT-STAGE WORLD: AN INTERNATIONAL GATHERING OF ORGANIZATION RE-INVENTORS』。
ギリシャのロードス島で開催されたこの国際カンファレンスは、『Reinventing Organizations』にインスピレーションを受け、新しいパラダイムの働き方、社会へ向かうために世界中の実践者が学びを共有し、組織の旅路をサポートしあい、ネットワーク構築を促進することができる場として催されました。
いち早く日本人として参加していた嘉村賢州、吉原史郎といった実践者たちは、この海外カンファレンスの報告会を開催することとなります。
※2人が協働を始めるようになったきっかけや、『Reinventing Organizations』のコンセプトを発見した際のエピソードについては以下の記事もご覧ください。
2016年9月19日~23日に開催された『NEXT-STAGE WORLD』の報告会は、2016年10月19日に京都、10月24日、25日に東京にて開催され、嘉村賢州、吉原史郎の両名は組織運営に関する新たな世界観である『Teal組織』について紹介しました。
※日本における『ティール組織』出版は2018年1月24日。
これ以降、当時私が参加していた特定非営利活動法人場とつながりラボhome's viは「ティール組織」探求を始め、同年2016年11月以降、『Reinventing Organizations』の英語原著を読み解く会も始まりました。
また、2017年6月以降はhome's vi自体をティール・パラダイム的な運営へシフトするため、ティール組織で事例に挙げられていた組織運営法であるホラクラシー(Holarcacy)の導入を行うこととなります。
当初は、NEXT-STAGE WORLD以降、嘉村らとコミュニケーションしてきたメンター、ジョージ・ポー氏(George Pór) にご協力いただき、またミーティング・プロセスの伴奏はホラクラシー(Holarcacy)の実践を深めていた吉原史郎 さんに参加してもらうことで進めていきました。
私自身は2017年7月以降、ホラクラシー(Holacracy)のファシリテーターとして実践を積み始めました。
これ以降、私にとっての新しいパラダイムの組織づくりの探求は、ホラクラシー(Holacracy)を軸に進んでいきます。
2017年11月、2018年8月には、ホラクラシーワン創設者トム・トミソン氏(Tom Thomison)、ヨーロッパでのホラクラシーの実践者であるクリスティアーネ・ソイス=シェッラー氏(Christiane Seuhs-Schoeller)らを招聘したワークショップのスタッフとして参加し、
2019年9月には、ホラクラシー(Holacracy)の開発者ブライアン・ロバートソン(Brian Robertson)が講師を務める5日間のプログラムにジョインし、そのエッセンスや源泉に触れることを大切にしてきました。
2018年『ティール組織』の邦訳出版
『Reinventing Organizations』は、日本では2018年に『ティール組織』という邦題で出版され、500ページを超える大作でありながら、2023年現在では10万部を超えるベストセラーとなりました。
『ティール組織』は500ページを超える大作でありながら、2023年現在では10万部を超えるベストセラーとなりました。
書籍内においては、人類がこれまで辿ってきた進化の道筋とその過程で生まれてきた組織形態の説明と、現在、世界で現れつつある新しい組織形態『ティール組織』のエッセンスが3つのブレイクスルーとして紹介されています。
フレデリック・ラルー氏は世界中のユニークな企業の取り組みに関する調査を行うことよって、それらの組織に共通する先進的な企業のあり方・特徴を発見しました。それが、以下の3つです。
この3つをラルー氏は、現在、世界に現れつつある新たな組織運営のあり方に至るブレイクスルーであり、『ティール組織』と見ることができる組織の特徴として紹介しました。
そして、この3つのブレイクスルーを実践するために、いくつかの関連書籍も出版されました。
また、ラルー氏は人類誕生以来の組織構造の変化の歴史を、思想家ケン・ウィルバー(Ken Wilber)の意識の発達理論・インテグラル理論(Integral Theory)を用いて説明していたため、より良い組織づくりのための研究領域として成人発達理論と呼ばれる領域によりスポットが当てられるようになりました。
『ティール組織』出版以降、国内ではケン・ウィルバーの絶版本が再度出版される、新たな邦訳本が出版される等、発達理論および意識の変容に関する書籍が相次いで出版されました。
また、国外に目を転じてみれば、『Enlivening Edge』という次世代型組織に関する事例を調査・研究し、寄稿する情報プラットフォームや、
現在は年に一回程度の頻度で開催されるイベント、『Teal Around The World』といった取り組みが存在しています。
さらに、2021年以降は、国内のビジネス書コーナーでは『パーパス(Purpose)』が一つのバズ・ワードとなっています。
『パーパス経営』、『パーパス・マネジメント』『パーパス・ブランディング』、『パーパス・ドリブン』『パーパス・モデル』といった具合に、『パーパス〇〇』が次々と生み出されています。
これらの『パーパス(Purpose)』という用語の用法については、既存のミッション、ビジョン、バリューとの棲み分け、位置付けが示されたり、あるいは同一視されることもある等、若干の混乱は見られますが、組織の『パーパス』を意識したビジネス、経営に注目が集まっています。
上記のように、『ティール組織』の出版は、新たな組織像や働き方を実践していくための、ある種のムーブメントを生み出したと言えるでしょう。
※ラルー氏自身が、『Purpose』をどのように捉えているのかについては、以下の記事も参考になるかもしれません。
『ソース(Source)』の概念が国内で初めて語られたのは、いつか?
上記のように国内の『ティール組織』出版に端を発するムーブメントの中、2019年に著者であるフレデリック・ラルー氏の来日イベント『Teal Journey Campus』が開催されました。
また、『Teal Journey Campus』開催後も、小規模なプログラムが開催され、その中で『ソース(Source)』についての概念がフレデリック・ラルーから語られたと言います。
その時の記録は、『ティール組織』解説者である嘉村賢州のブログに残されていました。
上記のブログ記事から、『ソース(Source)』に言及されている部分を参照してみましょう。
私の探した限り、『ティール組織』探求の文脈の中で『ソース(Source)』について言及されたのは、この時が初めてのように思います。
トム・ニクソンとフレデリック・ラルーの議論
ティール組織のコンセプトの中にソース(Source)の概念が取り入れられるに至った背景には、『Work with Source』著者であるトム・ニクソン氏(Tom Nixon)とフレデリック・ラルー氏の議論、対話も影響しているようです。
2015年、トムはフレデリックの唱えた『Reinventing Organizations』に対して、『Resolving the awkward paradox in Frederic Laloux’s Reinventing Organisations(フレデリック・ラルー著『組織の再発明』における厄介なパラドックスを解決する)』と題した寄稿を発表しました。
この際トムは、ピーター・カーニック(Peter Koenig)による長年の企業研究によって得られた考え方(Source Principle)と照らし合わせるような形で『Reinventing Organizations』にパラドックス(逆説)が説かれている事を指摘したのです。
以前からフレデリックとの対話を重ねていたトムによる寄稿に、さらにフレデリックがコメントを寄せるという議論も加わる中で、フレデリックはこのように述べています。
以降、フレデリックは自説の中に『Source Principle(ソース・プリンシプル / ソース原理)』を取り入れ、自身の手掛けた動画シリーズの中で紹介することにつながったようです。
また、フレデリックともコミュニケーションを重ねていたトムも、2021年3月に『Work with Source』を出版し、一連の議論について本書中で言及しています。
ちなみに、私がソース(source)について探求を始めようと考えたのも、以下のトムのTweetをたまたま発見したことがきっかけでした。
ソース原理(Source Principle)とは?
『ソース原理(Source Principle)』とは、イギリス人経営コンサルタント、コーチであるピーター・カーニック氏(Peter Koenig)によって提唱された、人の創造性の源泉、創造性の源泉に伴う権威と影響力、創造的なコラボレーションに関する洞察を体系化した知見です。
日本においてのソース(source)の概念の広がりは、『ティール組織(Reinventing Otganizations)』著者のフレデリック・ラルー氏(Frederic Laloux)によって初めて組織、経営、リーダーシップの分野で紹介されたことが契機となっています。
『ソース(Source)』の概念および、その生みの親であるピーター・カーニック(Peter Koenig)とラルー氏が出会ったのは、『Reinventing Organzations』出版以降であり、2014年出版の書籍には反映されていません。
ラルー氏もまた、ピーターとの出会い、そしてピーターからの学びを通じて、書籍においては2016年出版のイラスト解説版『Reinventing Organizations』の注釈部分で記載している他、
『新しい組織におけるリーダーの役割』と題した動画内で、この『ソース原理(Source Principle)』について言及しています。
海外でのソース(Source)の概念の書籍化から日本へ
ソース原理(Source Principle)を取り扱った書籍については、昨年2022年10月にトム・ニクソン(Tom Nixon)著『Work with Source』の邦訳書籍『すべては1人から始まる―ビッグアイデアに向かって人と組織が動き出す「ソース原理」の力』が出版されました。
そして、この邦訳出版の流れに伴い、トム・ニクソン氏の来日イベントも邦訳出版前に実現されています。
日本での流れに先立ち、ソース原理(Source Principle)が世界で初めて書籍化されたのは、2019年にステファン・メルケルバッハ(Stefan Merckelbach)『A little red book about source』のフランス語版が出版された時でした。
その後、この『A little red book about source』は2020年に英訳出版され、2021年3月に『すべては1人から始まる』の原著であるトム・ニクソン著『Work with Source』が出版され、本書が『すべては1人から始まる』として日本語訳され、英治出版から出版されました。
『すべては1人から始まる』は日本の人事部「HRアワード2023」の入賞も果たし、ビジネスの領域においての注目も高まっていることが見て取れます。
このような背景と経緯の中、ソース原理(Source Principle)の知見は少しずつ世の中に広まりつつあります。
ソース(Source)とは?
トム・ニクソン『Work with Source』を参照すると、ソース(Source)とは、あるアイデアを実現するために、最初の個人がリスクを取り、最初の無防備な一歩を踏み出したときに自然に生まれる役割を意味しています。
また、本書中の用語解説では、『脆弱なリスクを取って、ビジョンの実現に向けて自らを投資することで、率先して行動する個人のこと』と説明されています。
ステファン・メルケルバッハ氏の書籍においては、この役割を担うことになった人について、特に「ソース・パーソン(source person)」と呼んでいます。
トム、ステファンの両者に共通しているのは、ソース(Source)は特別な人だけがなれる役割ではなく、誰もがソース(Source)になりうる、というものです。
アイデアを実現するために一歩踏み出すことは、社会を変えるような大きなプロジェクトの立ち上げに限りません。
自身の研究課題を決めること、就職を思い立つこと、ランチを作ること、休暇の予定を立てること、パートナーシップを築いていくこと等、日常生活の様々な場で、誰しもが何かのソース(Source)として生きていることを両者は強調しています。
『すべては1人から始まる』出版以降のソース(Source)に関する潮流
2022年夏。トム・ニクソン氏の来日前後
まず、『すべては1人から始まる(原題:Work with Source)』出版前の2022年から、国内におけるソース(Source)探求が徐々に盛り上がり始めていました。
邦訳出版イニシアチブを推し進めていた株式会社令三社は、2022年3月以降にラーニングコミュニティを立ち上げ、『Source Principle(ソース・プリンシプル / ソース原理)』の探求を国内の有志で始めていました。
また、並行しながらJUNKANグローバル探求コミュニティでは発起人の吉原史郎さんが『すべては1人から始まる』著者のトム・ニクソン氏、ピーター・カーニック氏に直接インタビューを行い、その知見の紹介を始めていました。
そして、2022年8月。トムの来日が決定すると、北海道美瑛町、オンライン、東京、京都、屋久島と全国各地でイベント、ワークショップが開催され、一部のイベントではレポートもまとめられました。
この著者来日企画の後、2022年10月26日に『すべては1人から始まる―ビッグアイデアに向かって人と組織が動き出す「ソース原理」の力』が出版されました。
ソース原理の関係者一覧(抜粋)
2022年10月の『すべては1人から始まる』出版をきっかけに、ソース原理(Source Principle)の海外の実践者と日本の実践者が交流する機会が増えました。
2023年7月現在でも、『すべては1人から始まる』著者であるトム・ニクソン、ソース原理(Source Principle)提唱者ピーター・カーニック氏の2名以外にもさまざまな実践者との企画が実施され、また、日本語による情報発信が行われてきました。
そこで一度、2023年7月現在で確認できる、ソース原理(Source Principle)の関係者を以下に簡単に整理したいと思います。
ピーター・カーニック氏(Peter Koenig)
ピーター・カーニック氏は、先述の通りソース原理(Source Principle)の提唱者です。
人が無意識にお金に投影している意識の研究と、お金に投影している意識を自らに取り戻す方法・システムである『マネーワーク(moneywork)』を開発され、そのプロセスの中でソース原理(Source Principle)、ソースワーク(source work)が生まれました。
Forbes Japan2023年8月号にはピーターのインタビューが掲載されており、「お金と人の関係」の研究およびマネーワーク開発の経緯についても述べられています。
今年2023年4月には、お金に関する研究をまとめた著書『30 Lies About Money』のプレ出版企画(4/5、4/7〜9)が開催され、その際に初来日となりました。
プログラムは数日にわたって開催されましたが、その一部をまとめておりますので、よろしければ参考までにご覧ください。
また、ピーターには世界に何人ものサブソース、スペシフィックソースが存在します。
ソース原理においては、ソースが活動を始めると、サブソース(sub source)またはスペシフィック・ソース(specific source)という役割を担う人が現れます。
サブソース(sub source)またはスペシフィック・ソース(specific source)とは、あるソースのビジョンや価値観に共鳴し、あるソースの活動の特定の部分において、ソースへの深いリスペクトをしつつ、創造的に取り組むようになったパートナーと言える存在です。
サブソースまたはスペシフィック・ソースは、イニシアチブの大元であるグローバルソースによる指名、もしくは立候補のどちらでも生まれうるものであり、その質感は伝播(Transmitting)するものと言います。
以下に紹介する4人は、ピーターのイニシアチブにおいてサブソースとして活動を共にしているパートナーたちです。
トム・ニクソン氏(Tom Nixon)
トム・ニクソン氏は、『すべては1人から始まる(原題:Work with Source)』の著者です。
2022年10月の邦訳出版に先立って8月に来日し、プレ出版企画として日本を縦断していました。(8/8〜10、8/11、8/17、8/18、8/22〜25)
また、来日後は次世代型組織の実践に関する国際カンファレンス・ネットワークである『Teal Around The World2023』にて登壇した他、
Forbes Japanの2023年5月号にて、令三社代表の山田裕嗣さんとのソース原理に関する対談が掲載されています。
アレクサンダー・インチボルト氏(Alexander Inchbald)
アレクサンダー・インチボルト氏は、ソース原理(Source Principle)を自身の活動の中に取り入れながら活動しているエクストリーム・アーティストであり、創造と革新を専門としたリーダーシップコーチである人物です。
アレクサンダーもまた、ピーターの人生の目的である活動Create love in business等においては彼のサブソース(sub source/specific source)として活動する傍ら、アレクサンダー自身が立ち上げたイニシアティブである #Masterpieceにおいては、ピーターが逆に彼のサブソースとなる形で共同し、コラボレーションしています。
2020年以降、アレクサンダーはオンラインまたはリアルで日本と縁を持つようになり、一度は富士山の絵を描いたこともあるとのことです。
今年2023年3月には、彼の提唱する #Masterpiece について学ぶ招聘企画が『すべては1人から始まる』翻訳・監修のお一人である青野英明さん主催で実施されました。
さらに、2023年6月には日本人の実践者を対象にギリシャでJ.Creationというプログラムが開催されました。
このプログラムには、ピーター・カーニック氏だけではなく、日本からも吉原史郎さん、嘉村賢州さんが、コーチとして参加されていました。
ステファン・メルケルバッハ氏(Stefan Merckelbach)
『A little red book about source』の著者であるステファン・メルケルバッハ氏は、スイスに拠点を置くオーディナータ社(Ordinata)を2001年に起業したソース原理(Source Principle)の実践者です。
オランダに生まれ、スイスのフリブールで育ったステファンはフリブール大学、ジュネーブ大学で哲学を研究しており、このことは現在の彼の肩書きである「哲学する経営者(philosopher-manager)」にも通じています。
現在、ステファンはコーチング、コンサルティングを行うオーディナータ社(Ordinata)において、ソシオクラシー(Sociocracy)をルーツに持つ組織運営体系『参加型ダイナミックス(participatory dynamics)』の提供を企業やチームに行うとともに、トム・ニクソン氏の立ち上げた情報ポータルサイトworkwithsource.comにも名前を連ねています。
また、上記の活動に並行して小学校の設立に携わり、校長としても活動していた教育者としての顔も持っています。
ステファンがソース原理、ピーター・カーニック氏に初めて出会ったのは、2013年のことでした。
"The Source Person" training dayと題されたその日のトレーニングでの出会いをきっかけに、自社の提供する企業を対象としたトレーニングやプログラムにおいてソースの概念は欠かせないものになったと、ステファンは書籍の中で述べています。
ナジェシュダ・タランチェフスキ氏(Nadjeschda Taranczewski)
ナーディア(Nadja)ことナジェシュダ・タランチェフスキ氏(Nadjeschda Taranczewski)は、心理学修士号、国際コーチ連盟(ICF)のマスター認定コーチ資格を持つ、『Conscious You: Become The Hero of Your Own Story』の著者です。
また、自身の組織であるConsciousUにて、パートナーであるオルガ・タランチェフスキ氏(Olga Taranczewski)らと共に世界中のCEO、創業者、コーチ、ファシリテーターをサポートし、組織やコミュニティにConscious Tribe(コンシャス・トライブ)を広げる活動に取り組んでいます。
ソース原理(Source Principle)に関連しては、2014年にピーター・カーニック氏の提唱した概念を初めて論文(Whose Idea Was it Anyway? The Role of Source in Organizations)で紹介した人物でもあります。
ConsciousUのYouTubeでは、ナーディアとピーターによるお金に関する対話の動画がYouTube上でも公開されており、以下のようなテーマも対話の中で扱われています。
また、2024年3月〜4月にかけてナーディアの来日企画が開催され、彼女の著書である『Conscious You: Become The Hero of Your Own Story』及びマネーワークの知見が紹介されました。
ティール組織の隆盛からソース(Source)の探求に至る国内の潮流を振り返って
以上、2014年〜2023年3月現在のティール組織、およびソース(Source)の概念の広がりについてざっと振り返ってきました。
これまで私は、ある1人の人が置かれた環境において最大限ポテンシャルを発揮できるような個人、集団、組織、社会構造に関する探求を進めてきました。
初めはファシリテーションや場づくりという人間の集団のダイナミクスを目的に促進する方法の実践から始め、やがて人間集団を形作る組織構造、社会構造に目が向いたことで「ティール組織」という考え方、そしてソース(Source)について探求と実践を重ねることとなりました。
そんな中、現在、私は「書く」ということにとてもエネルギーが高まることを感じます。
今回のような記録も、気づけば10000字を超えています。何が私に、このように書くことへと駆り立てるのでしょうか?
改めて、以前参加した対話の場で私が語ったストーリーが浮かび上がってきました。
あくまで自分の理想ですが、それでも、今回ここに書き記したものもまた、後に続く誰かの道標や足跡となれば、幸いです。
参考リンク
40年「人とお金の関係」を探る識者が語る「お金は自身を映す鏡である」
ソース原理(Source Principle)提唱者ピーター・カーニック氏が、お金と人との関係についての研究を始めた経緯およびその過程で生まれたマネーワーク(moneywork)について言及されている記事です。
変革はたった「ひとり」から始まる――「ソース原理」が後継者不足に悩む日本にもたらすものとは?
マネー現代に掲載された『Source Principle(ソース・プリンシプル / ソース原理)』に関する記事です。
英治出版:すべては1人から始まる-ビッグアイデアに向かって人と組織が動き出す「ソース原理」の力
『すべては1人から始まる』の出版社である英治出版のページです。アクティブ・ブック・ダイアローグ®︎(ABD)という読書会用のゲラ提供リンクも掲載されています。
「ソース原理」は、組織の主語を個人に移し、ビジョンの実現に近づくレンズ。
『すべては1人から始まる』の翻訳・監修を行った令三社・山田裕嗣さん、青野英明さん、嘉村賢州さんへのソース原理に関するインタビュー記事です。
ソースプリンシプル(ソース原理)まとめページ【決定版】
JUNKANグローバル探究コミュニティ・吉原史郎さんによる、トム・ニクソン、ピーター・カーニック両氏へのインタビューを行った内容を記事化したまとめページです。
提唱者が語る! 人間らしい自然なビジョンの創作を可能にする「ソースプリンシプル」&「マネーワーク」
上記のピーター・カーニック氏の来日企画を開催したJUNKANグローバル探究コミュニティの吉原史郎さん・小野義直さんによる連載記事です。
ソース原理基礎講座~ビジョン作成編〜
6/14 (水)開催予定の、青野英明さんによるソース原理基礎講座のビジョン作成編です。『すべては1人から始まる』でも紹介されていたチャールズ・デイビス氏(Charles Davies)のVery Clear Ideaを扱う予定とのことです。
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