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短編小説集

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短編小説をまとめています。
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#毎日note

短編小説「線路の上」

 ——あなたは信じないかもしれないわね、こんな話。  私が祖母の部屋を訪れたのは、穏やか…

湯川 葉介
3年前
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短編小説「猫ふたつ」

 庭先に根を下ろした梅が満開に花を綻ばせ、香しい梅の花の香りが家中を満たしていた3月初旬…

湯川 葉介
3年前
43

短編小説「愛しています」

 朝になると、僕はよく彼女の部屋に遊びに行きます。そっと扉を開いて顔を覗かせれば、彼女は…

湯川 葉介
3年前
65

短編小説「月下美人」

 残暑が漸く下火になる十月の初旬頃、僕は一ヶ月前に生まれたばかりの息子と妻を連れて、久方…

湯川 葉介
3年前
60

短編小説「エリーの世界」

「・・・助けて」  そんな声に僕はゆっくりと目を覚ました。気付けば小さな電灯が明かりを降…

湯川 葉介
3年前
48

短編小説「入道雲のおじさん」

 耳を劈く様な蝉時雨が降り頻る中、僕は夏空に向かって大きく手を広げた。その先には、もくも…

湯川 葉介
3年前
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短編小説「永遠の紙飛行機」

 年に一度、或る二つの国同士で不思議なイベントが行われる。  その二つの国は非常に友好的な関係を数十年と続けており、互いの国が接する国境は大通りとなっている為、誰でも自由に両国間を行き来することが出来る。  その二つの国同士で不思議なイベントが行われるのは桜も綻ぶ春の事だ。その日、大通りには交通規制が掛かり、自転車さえ侵入することを禁止される為、片側三車線の通りが閑散とする様は非常に物珍しく、世界中から写真家達が挙ってやって来る。僕もその内の一人だ。  がらんとした大通り

短編小説「祭囃子に候」

 からんころんと下駄が鳴る。  白地に紫の撫子模様が咲き乱れる艶やかな浴衣に身を包んだ年…

湯川 葉介
3年前
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短編小説「ボクノカプセル」

 珍しく温かい一月の陽光にウトウトしていると、僕の左胸辺りでざっくざっくと土を掘る音が聞…

湯川 葉介
3年前
43

短編小説「海辺の番人」

 その日は空に厚い雲が垂れ込め、真夏の八月にしては珍しく薄暗い、妙に肌寒い日だった。夏休…

湯川 葉介
3年前
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短編小説「流れ星の願い」

 虹色の若草が果てしなく広がる草原で、星々の母は、微笑みを浮かべつつ遠く美しい空を見上げ…

湯川 葉介
3年前
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