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「利己的な遺伝子」と「生存機械」 : G.C.ウィリアムズによる審問とハミルトン革命、そしてドーキンス #Selfig (0) | エボサイマガジン


自分が嫌いだし、死にたいんだ(I hate myself and I want to die.)

- カート=コバーン / Nirvana

あの死ぬほど才能持ってるクソ野郎が、俺がほしかったもんを全部持ってやがったんだよ。金持ちで有名で、あの頃トップに立ってたロック・バンドで音楽やってて。
しかも自分のことが嫌いだとか、死にたいとかいう曲を書いてんだぜ! 俺としては、俺は自分のことをファッキン愛してるし、永遠に生きてやるさ(Live forever)って思ってたね。”

-ノエル=ギャラガー / Oasis


・今回のテーマソング:Live Forever / Oasis

“ 多分本当は興味なんかないんだよ
こうやって庭の話に付き合ってるけどそんなの大して聞きたくもない
そんなことより,ここから今すぐにでも逃げ出したいんだ
大体こんな生活,辛くて嫌だって思わないのか?
考えてみろよ 生まれた時から,貧乏っていう雨に打たれて体の芯までぐしょぐしょになってんだぞ ”

“ きっとここから今すぐ逃げ出したいんだ こんな生活もう真っ平なんだよ
人生を楽しみたい 毎日をただ送るだけの 死んだも同然の生活なんて
窮屈で息の詰まるような人生じゃなくて,ほっとできる自由な人生を歩みたい
自分の人生,所詮この程度なんて悟りたくない  そっちだって同じだろ? こんな気持ち 周りは誰もわかってくれない────だから「生きてた証」を残すんだ(そうすればいつまでも忘れられない)”


まずはこちらから



tool 6:✔️「利己的な遺伝子」と「生存機械」(The Selfish Gene & Survival Machine)


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さて、これまでも述べてきたように、

われわれエボサイコロジストが探求する「進化心理学/Evolutionary psychology」という1990年代に創始された学問は、「進化生物学/Evolutionary biology」という、1960年代の終わりに(ダーウィンの志を受けついで、いざ改めて)枠組みが構築された学問を基礎として成立したものだ。

俺たちサピエンスの正体とは何だろうか?───“盲目の時計職人”によって組み上げられた「生存機械(Survival Machine)」だ。


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「生存機械」だって?:ああ、その通り。その言葉の意味はこれから説明する。

進化生物学者のリチャード=ドーキンスが述べた言葉に、以下の有名な一節がある。

We are survival machines – robot vehicles blindly programmed to preserve the selfish molecules known as genes. This is a truth which still fills me with astonishment. ”(我々は、遺伝子として知られる利己的な分子を保存するように盲目的にプログラムされた、機械的な乗り物としての生存機械(ロボット)なのだ。────これは、私の心を驚きで満たしてしまう真実である。)*

* R.Dawkins 1976


俺たちは「ロボット」だって?非常にSF的だ────しかしこれが真実だ。このドーキンスの言葉の意味をざっくり理解するのが、今回のシークエンスの目標となる。

それでは、こんな話から始めよう。

かつて、われわれホモ=サピエンスは、太陽は地球の「ために」周りを回っているのだ、と考えていた。

もちろん、現在ではその主従(=主人と召使いの関係)は逆転している。

じゃあ「遺伝子」と「生物個体」の関係はどうだろう?とドーキンスやハミルトンは考えた。


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