マガジンのカバー画像

すーこ小説まとめ

77
私の書いた小説(ショートショート含む)のまとめページです。 読者のみなさま、いつもスキをありがとうございます。
運営しているクリエイター

2023年4月の記事一覧

ライラックぽん 掌編・短編小説5編

ライラックぽん 掌編・短編小説5編

おはようよねちゃんさん

riraさん

くーや。さん

ぽんっ!📕

「ねえみて!」
「わあ!」
「おもしろいね~!」
「こっちも!」
「かわいい~!」

 外から子どもたちの声が聞こえる。4月もそろそろ終わる。あの子たちは、今年の新入生ね。この前あいさつ当番をしたとき、教えてもらったの。この前はまだ緊張と不安で硬い表情の子もいて、バラバラにあいさつしてくれたけど、すっかり仲良くなったのね。よ

もっとみる
茜さす日のとけてゆく藍の空混じりたる色葵なりけり|目次 #シロクマ文芸部

茜さす日のとけてゆく藍の空混じりたる色葵なりけり|目次 #シロクマ文芸部

赤と青の日記     (約   500字)

光る種の効能     (約2,500字)

一冊の葵色の本    (約4,000字)

追憶の手紙      (約4,500字)

星になったあなたと  (約1,500字)

金魚、家族、同僚と、僕(約2,000字)

イチゴ舞う校庭で   (約2,500字)

大きな手紙と小さな手紙(約2,000字)

望月見守る結婚式   (約6,500字)

もっとみる

「明」を含む140字小説3編

今季「140字小説コンテスト」に応募した小説をまとめます。

「明」を含む140字小説5編

1

月明かりに照らされた、道なき道を行く。独り暮らしのお客様にお薬を届けに。駅から3時間。お客様はご無事だろうか。歩みを速める。明かりだ。あの家だ。「遠くまでありがとうねえ」「いえいえ、お待たせしました」「あの人と暮らした家で過ごせるのもあなたのおかげよ、さあ上がって。今日はお鍋よ」

2

「明朝決行

もっとみる
星になったあなたと

星になったあなたと

目次

 凍った星をグラスに。ひとり、夜空の星を見上げ、グラスを傾ける。琥珀色の梅酒の中を泳ぎながら、星の形の氷がキンと音を立てる。

 ねえ、あなた、覚えてる? 星のゼリーと氷を作ったこと。まだ年少の葵の夏休みの宿題で、「家族でおやつを作りましょう」っていうのがあったじゃない。ゼリーを作って、みんなで星型で抜いて、果物の缶詰めをシロップごとグラスに入れて、サイダーを注いで、星の形のゼリーを浮かべ

もっとみる
追憶の手紙

追憶の手紙

目次

 透明な手紙の香り。それは五月の風に乗って、かすかに薫った。

「きれいな茜色だなぁ」
「え?」
「え?」
 それが、藍さんとの出会いだった。
「ごめんなさい。独り言でした。お恥ずかしい」
「いえいえ。思わず口から漏れるほどに、たしかにこの空は美しいですよね」
「そうなんですよ! 空や自然が好きなんですよね。この茜色の空も綺麗で好きだ。木々や家々が黒々としていて、その対比も含めて美しい。燃

もっとみる
一冊の葵色の本

一冊の葵色の本

目次

 一冊の本を埋める。大切にビニールに入れて空気を抜き、そっと桐の箱に入れ、新聞紙でくるみ、布でくるんで、お菓子の空き缶に入れ、養生テープでしっかり封をする。藤の木を目印に、その少し手前の土の中に埋めた。

 その日は、葵の二分の一成人式の日だった。葵が帰ってくるなり、私に言った。
「お母さん、ただいま。この本を埋めたいんだけど、いーい?」
「本を埋めるの? もう読まないの?」
「ううん、ま

もっとみる
グリム童話ATM

グリム童話ATM

 帰国子女の友人を映画に誘う。グリム童話を題材に、現代的なアプローチで脚本を再構築し、実写化した作品。予告編を観たときから楽しみだった。転校生の友人とは、映画好きという共通の趣味ですぐに仲良くなった。お互いに勧めあうことはあったが、誘うのは初めて。どんな反応をされるだろう……。ドキドキしながらメールの送信ボタンを押した。

ピロン♪

 すぐに返信が来た。

 なんて? 帰国子女の彼女は日本語もペ

もっとみる
光る種の効能

光る種の効能

目次

 手渡されたのは光る種。

 僕が歯磨きから戻ると、お母さんが、泣いていた。僕のために、泣いていた。僕は大丈夫だよ、お母さん。泣かないで。そう言うと、お母さんは、ぎゅうっと僕を抱き締めた。僕がお風呂から上がると、お母さんは、お父さんの写真の前でこうつぶやいていた。

「あなた、私のせいで、葵が傷ついてしまって、ごめんなさい。あなた、あなたに似て優しいあの子を、どうすれば私は守れるのかしら…

もっとみる
メガネ初恋

メガネ初恋

 私の初恋は、メガネの彼。
 彼と過ごせたのは、たったの3ヶ月。彼とは公園で知り合った。私がこけて泣いていたとき、優しく手を差しのべてくれた。ゴツゴツと硬い手だった。
「お仕事はなんしよんの?」
「もうしよらんけんなぁ。昔は木を剪定しよったよ」
「そうなん!? うちの木も切ってほしかったわぁ」
「この公園の木や道路の木も切りよったんで。今はもう、掃除が大変やっちゅうことで、伐られてしまったけどなぁ

もっとみる
赤と青の日記

赤と青の日記

目次

 赤青鉛筆で日記を書く。

 今日も、あなたの写真の前で、藤色の日記帳に葵と日記を書いた。最初は私が寂しくて始めたことだけれど、葵と肩を寄せあってあなたを思いながら書くのは、案外いいものよ。この時間がいつまでも続きますように。

🐻

こちらの楽しそうな企画に参加させていただきます。
突貫工事で、小説といえるかわかりませんが…💦
小牧幸助さん、よろしくお願いいたします。
#シロクマ文

もっとみる