
【よびし通信no.34】一番美味しいと思う鮒ずしの食べ方は??
よびし通信no.34発行しました。多賀町内は全戸配布しています。
滋賀のお酒の席には外せない鮒ずし。県外から来た人には鮒ずしの洗礼が待っている??今回はちょっとぷわんと匂いそうな鮒ずし一色の通信となりました。
つなぎたい よびしの食
最近、鮒ずしを召し上がりましたか?
滋賀県に来てすぐに、鮒ずしの洗礼を受けました。ありがたいことに、初鮒ずしは、癖のないチーズのようなふくよかな風味で、お酒に合う美味しい物でした。実は、乳酸菌発酵して酸っぱくなったお漬物などが食べられるようになったのは、滋賀県に来てからです。

近江のナレズシ県民大調査
昨年11月から今年1月末まで、琵琶湖博物館フィールドレポータ―2023年度調査 「近江のナレズシ県民大調査」が実施されました。
琵琶湖から10㎞以上離れている多賀町ですが、どの集落に行っても、鮒ずしを作っていたというお家が多いのにびっくりします。
改めて、多賀町内のナレズシ事情はどうなんだろうと気になり、「近江のナレズシ県民大調査」の調査票を持って、出会う人出会う人に聞いてまわり、40枚近く調査票を集計しました。
一番美味しいと思う鮒ずしの食べ方
「近江のナレズシ県民大調査」の質問に、一番美味しいと思う鮒ずしの食べ方を聞く項目がありました。多かったのが、「味の素と醤油をちょっとかけて食べる」でした。塩味が強い鮒ずしに、醤油をかけると辛いのでは?と気になりました。しかし、醤油を少し垂らすことで臭みが消えてさらに美味しくなり感動しました。

また、頭と尻尾をお椀に入れてお湯をかけてそのまま、もしくはお醤油を少し垂らしてお吸い物にすると美味しいとも聞きました。
お茶漬けにする人も多かったです。お湯を注ぐと、鮒ずしの臭いがダイレクトに上がってくるのでは?とかなり勇気がいりました。お茶漬けにすると、酸味が抑えられ、あっさりと食べやすくなりました。

どんな時に鮒ずしを食べますか?との質問では、ハレの日の特別な時以外に、風邪をひいた時や、お腹をこわした時の薬として鮒ずしを子どもの頃から食べていたという答えが多かったのにはびっくりしました。体調がすぐれないときに耐えられる匂いなのか?疑問は残りますが。
結果は下記ご覧ください。
近江のナレズシ県民大調査の結果、多賀町内の結果。
食の知恵と技
鮒ずしは驚くほどたっぷりのごはんを詰め込む?!
8月20日21日、多賀町敏満寺の料理屋FUJIYAさんで鮒ずしを漬けるので、見学いかがですか、と連絡をいただきました。以前からずっと知りたかった鮒ずし漬けの見学とさらに撮影記録のつもりが、漬けさせていただけることになりました。

昔は夏の土用までに漬けていたそうです。そうすると、翌年の春祭り「ハレの日のご馳走」に仕上がりが間に合うそうです。70歳代の方たちの親世代は、ほとんどの世帯で漬けていたのでは?と思われるほど多くの人が鮒ずしを語ってくださいます。
平成頃まで、琵琶湖の近くから魚屋さんが、行商に来て、注文しておくと塩切鮒を持って来て、ご飯を炊いておくと漬けてくれたそうです。
とにかく、水かえが臭くて、子どもの仕事で嫌でたまらんかったとも。今回は、水をかえない方法を教えていただきました。
だんないおきばりやす
1日目 8月20日
鮒50㎏は塩漬けされた状態で近江八幡市の漁師さんから購入。塩漬けした鮒のことを、塩切鮒と言っています。春頃ビワコで漁獲された天然のニゴロブナの鱗と内臓を取り除き、約三ヶ月塩に漬けて発酵させています。鮒の魚醤が出来ています。


10㎏の鮒を塩漬けにすると、水分が抜けて約7㎏まで減るそうです。ちなみに塩切鮒の値段は、オス1㎏1600円。メス1㎏4000円で卵が入っています。倍以上の値段で高級!

朝からひたすらご飯を炊いてくださっていました。翌日用に冷ましておきます。ご飯は、かために炊くそうです。

①鮒を塩漬けから出します。
②鱗のついていた黒いぬめり、頭の部分をブラシで洗います。

③ツボあらい。上あごの中に手を入れて、口の中の袋のような皮をとります。残っていると臭みの原因になります。

④尾びれ以外のひれを切り落とします。

⑤口を下にして水を切ります。
⑥洗濯ばさみで吊って、蝿が来ないようにネットでカバーをして一晩干します。

⑦5㎜のビニールロープを1.4m、9本切ります。広めの三つ編みにします。

2日目 8月21日
①軒下から取り入れます。

②樽にビニール袋を重ねます。
③ごはんを底に敷き詰めます。

④焼酎を手に付けながら漬けます。
⑤鮒のお腹、エラ、口にご飯を詰めます。

⑥樽の中に交互に鮒を入れます。鮒の背が樽に当たるようにします。魚が重なる部分にはご飯を入れます。


⑦四段ほど魚の向きが段ごとに同じ向きにならないように組んで重ねていきます。
⑧最後にご飯を敷き詰めて、手を消毒していた焼酎と中に沈んだご飯粒も一緒にかけます。

⑨ビニール袋の空気をぬく。
⑩三つ編みにしたビニール紐を縁に入れます。縁を抑える役目をします。⑪落し蓋でビニール紐を抑えます。

⑫内容量と同じ重さの石を重石で置きます。ビニールで囲い虫が入らないようにしっかり口を結びます。
気温が上がる西日の当たるところは避け、朝日のあたる東側の軒下に保存します。3月に開けた時、掃除をします。上がって来た水は捨てずにそのままにしておきます。米どころならではの、白ご飯をふんだんに使った発酵食品。鮒ずしを考えた昔の人はすごい。うまく漬かりますように。
これからの予定
桃原収穫祭
11月16日土曜日 10時から14時頃
桃原ごぼうの復活に取り組んで今年で10年になります。今年はシカが葉を食べてしまい、ごぼうが育ちませんでした。かすかに残っているごぼうを掘り起こしながら、里芋も一緒に収穫します。
桃原は赤土粘土が特徴なので、里芋もとても美味しいと評判です。
参加費1000円、昼食付、里芋のお土産あり。
お申し込みは多賀町立文化財センター(0749-48-0348)
または申し込みリンクまで。
2月上旬 味噌づくりワークショップの予定。

