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アートから生き方を学ぶ ゴミから生み出すアートワークから現代と未来を考える

「作品の価値には未来への希望とそこに至るストーリーが込められているということか」

長坂真護さんというアーティストの作品に触れる機会がありました。非常に素晴らしいアートワークを生み出している方ですが、その生み出している背景のストーリーに心が揺さぶられます。

舞台は西アフリカはガーナにある世界最大の電子廃棄物捨て場。「アグボグブロシー」と呼ばれているこのスラムエリアには世界中からスマホやパソコンなどの電子廃棄物が集まります。スラムに住む人々は、有害な煙にさらされながら電子廃棄物を燃やして手に入る金属を売り、日々暮らしています。有害なガスにより30代で癌で亡くなる人が後を絶ちません。1日必死で働いて500円程度のお金を得る、そんな毎日が日常です。

長坂真護2

この廃棄物の山を素材に創り上げたアート作品がこちら。

長坂真護

「アグボグブロシー」で拾ったゴミを素材としたアート作品。この作品には1,000万円以上の値段が付いたそうです。こうしたアートを次々に生み出し、その利益をガーナに還元する。現地に住んでいる人々の生活の質を向上させる。それが長坂真護さんというアーティストです。これまで、収益で850個のマスクを現地の人に配ったり、無料で学べる学校をつくったりしています。

先進国の人が排出したゴミを使ったアートを、先進国の人が購入することで、ガーナのゴミ問題が解決され、現地の人の命と未来の子供たちを救うという善循環を生み出す。使っている素材はもともとゴミなので、環境の負荷はゼロ。

長坂さんのアートは作品そのものの斬新さに加え、それぞれの作品が生まれた背景と、世界や未来に向けた強烈なメッセージが宿っています。そこに価値があります。

長坂さんはまだお若いアーティストですが、その道のりは順風満帆ではなく挫折の連続だったそうです。学校でファッションを学び自らのブランドを立ち上げるも失敗し廃業。路上の絵描きに。その後ガーナで現地の人に触れ、使命感を感じながら自らの中にあるアートセンスが爆発して今に至っているとのこと。

ガーナに通い詰め、有毒ガスを吸うかもしれない危険と隣り合わせの状況下で、ゴミ山からゴミを拾いアート作品を制作しています。

昔はゼロからイチを作るクリエイターが求められていたけど、これからはイチをゼロに戻せるクリエイターやアーティストが必要です。できあがったものを土に還せる思想やエネルギーを持ち、そこまでできる人がクリエイターです。植物など自然の循環と一緒ですね。千年後にはそれが当たり前になっていないといけない。今の時代はゴミを出していた低文明だったと笑われなければいけない。将来、僕のアートは恥ずかしい時代の象徴として美術館に飾られるんです。

長坂さんのこの言葉は非常に強いメッセージが込められています。「イチをゼロに戻す」イチがそれ以上増えないように維持するだけじゃだめなんですね。

そして、サスティナブルという言葉もよく見聞きするようになりましたが、今は意識して「持続可能な世界」にしていかなければならない。今は大きな摩擦を起こしながら方向転換している時代です。しかし、未来の姿はそんなことを意識しなくても持続可能になっているエコシステムが回っている世界です。そうなるまで、我々ができることに取り組む。辛い現実から目を背けない勇気が必要なんだと強く感じました。


11月9日まで大阪の阪急梅田アートギャラリーにて彼の作品に触れることができます。関西にお住いの方は是非、体感されてみてはいかがでしょうか。

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