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2つのマインドセット どちらを持つべきか?(しなやかさの重要性とは)

「やればできる!」

この言葉、人生の中で幾度となく耳にしてきましたよね。最近ではお笑い芸人のティモンディ高岸さんが持ちネタとして連呼しています。シンプルですが、見ていると笑顔になるし前向きになるので高岸さんのキャラクター、とても好きです。

さて、この言葉。個人的にも「確かにそうかも」と思う言葉ではありますが、その「やる」という一歩がなかなかできないと感じる人も多いのではないでしょうか。

今回は心構え・マインドセットが自己成長にどれほど影響をあたえるのかについて考えます。

マインドセット

今回学びを得たのはキャロル・ドゥエック氏の著書「MINDSET マインドセット」です。キャロル・ドゥエック氏は発達心理学、社会心理学の分野での世界的な権威を持つ心理学者です。

サブタイトルが「やればできるの研究」。興味が沸きますね。そして、本書の主張はズバリこれです。

人生の困難な状況に立ち向かうためにはしなやかマインドセットが必要

しなやかマインドセットとは「成長マインドセット」とも言い換えられます。要するに、努力と経験を続けることで自分の能力をいくらでも伸ばし、成長していけると考える考え方の事ですね。

一方で、これと対照的な概念となるのが「硬直マインドセット」。つまり、自らの能力は一定で決まったものであり、他者との優劣の中で決定づけられるという考え方です。

これら2つのマインドセットをもう少し詳しく見てみましょう。

2つのマインドセット

1.growth mindset

一つ目はしなやか・成長マインドセット。変化し成長する自分の可能性を信じる考え方です。

「人間の基本的資質は努力次第で伸ばすことが出来る」という信念に下支えされた考え方です。このマインドセットを持つ人は、自らの可能性に挑み、失敗を受け入れることで、学び、成長していきます。

自分の中に眠る潜在能力が開花するのに時間がかかることを知っているので、すぐに成果が出なくても焦ったりしません。努力するプロセスに重きを置いています。

自分のベストを尽くし学んで向上することを大切にしています。人それぞれ持って生まれた環境には違いがあります。体質、才能も人それぞれ。そんな前提を受け入れつつも、努力と経験によって自分が望む方向へ能力を伸ばし、なりたい自分に近づけるという考え方です。

何かを試すのに自信は必要条件ではありません。たとえ失敗したとしても成長の機会として捉えます。失敗からも学び、前に進むので、「何も試さない」「行動しない」ことこそが「失敗」だと考えます。

2.fixed mindset

硬直マインドセットは自分の能力は変化しないし、一定だとする考え方です。

「自分の能力は石版に刻まれたように固定的で変わらない」という信念に下支えされた考え方です。このマインドセットを持つ人は、自分の優越性を確認することに固執し、他者からの評価や失敗を気にします。

一度の失敗や挫折が人生全体を決めてしまうと思い込み、失敗=負け組という思考をしがちです。生まれつきの才能が全てであり、能力がないことを恐れ、難しい挑戦や課題に取り組まなくなります。

自分が安全に確実にうまくやれるものにしか取り組みません。人から認められ、自分の計画通りに物事が進むのが成功であり、努力しないで済むのなら努力は回避しようとします。

むしろ、努力することは自分の能力の無さを証明することと考え、努力自体を否定します。自分が特別であることを証明することにこだわり、今自分が持っているもろい自信を守るために、ちやほやしてくれる、ほめてくれる人とだけ付き合うようになります。

思い通りにいかなかったり、失敗すると落ち込んでしまいます。失敗から何かを学ぶ意欲すらも失います。「どうせ〜」や「〜のせい」といった言葉をよく口にします。

人生の課題から目をそらし、成長の機会を失うことも多いです。自分以外のせいにしないと、自分が無価値に思えてしまうのでそれに耐えられません。

心理学で言う「セルフハンディキャッピング」を多用します。これは試合本番など何か重要な出来事の前に徹夜したりゲームしたりするなど、あえて本気で取り組まないことで言い訳の余地を残したりします。もし本気で努力して失敗したら救いようがないと捉えてしまうからです。自分で言い訳の逃げ道を作ります。

一度の失敗でまるで自分の人生の全てが否定されたような気分になったりします。そのためこのマインドセットを持っている人はうつ病や対人関係に問題を抱えることも多いようです。


さて、この2つのマインドセット、みなさんは自分がどちら寄りのマインドセットを持っていると思いますか?マインドセットは心構えや信念と言い換えられます。無意識に思考や行動に影響を与えます。自分がどの傾向を持っているのか、そしてそれは自分にとって望ましいことかを考えてみてはいかがでしょうか。


能力を褒めてはいけない?

本書には面白い指摘が載っています。それが「能力を褒めると知能が下がり、努力を褒めると知能が上がる」というお話。

これは研究で証明されているそうです。部下や子供を褒める際に「君は頭が良いね」と能力を褒めてしまうと、その人は自分を賢く見せようとして失敗を避けるようになります。結果、挑戦する機会が減り、成績が下がってしまいます。

硬直マインドセットを持っていると、失敗することが能力のなさを露呈することになるからです。一方で努力やプロセスを褒めることで失敗を恐れず、失敗から学ぶことに意識が向くようになります。その結果成績が向上していくのです。

これは仕事における人材育成、家庭内での子供の教育にも当てはまります。褒めるべきは「能力」ではなく「努力」ですね。


スポーツやアートの世界にも通じる

スポーツの話をする時に「運動神経が良い」なんて言葉を使います。この時、ついつい我々は生まれつきの才能や素質の良さを想像しがちです。

こうした生まれ持ったセンスがアウトプットに大きく影響しそうなスポーツやアートの分野でもマインドセットで説明できると本書では語っています。

マイケルジョーダンやベーブルースの例を挙げ、いかに彼らが努力の人だったかを取り上げています。東京五輪の聖火ランナーも務めた松井秀喜さんも昔「努力できることが才能」と語っていたのを思い出します。

トップアスリートの活躍を見ると、桁違いのパフォーマンスから勝手に「天性の才能によるもの」と考えがちですが、その活躍の陰には並々ならぬ努力があるということ。

彼らは我々と同じく小さな赤ちゃんの時代があり、スタートラインはそれほど差がありません。そこから並外れた努力があって彼らをその地位に押し上げたのです。

本書には脳内の反応について下記のような記述もあります。

「新しいことを学ぶと、実際に、このような脳内の微小な結合の数が増え、結びつきも強くなります。頭を使って勉強すればするほど、脳細胞が成長するので、以前はすごく難しかったことやできるわけがないと思ったことが簡単に思えてきます。それは脳の性能がアップしたからなのです。」

チャレンジを重ね、努力することは脳神経の側面で見ても成長していけるということですね。

まとめ

今回はマインドセットについて考えてみました。大きく2つあるgrowth mindsetとfixed mindset、説明を聞くと前者の方が素敵に見えるのは間違いありません。でも、実際自分がそれができているかは別問題。

私も、基本的には「自己成長」を機軸に考えて行動するタイプですが、fixed mindset的な行動をとっている時もあるなと改めて感じました。みなさんはいかがでしょうか。

人生は長いですし、世の中は変化の連続です。そう考えると、しなやかに自分をアップデートし続けていくことが、より豊かに、より幸せに生きていくことにつながっていくように思います。

そして、この2つの両極端なマインドセットのどちらを選ぶかは自分次第。つまり自由に選べるということです。自分の考えは誰にも邪魔されるものではありません。であれば、growth mindsetを選択し、日々意識していくことで自分の思考や行動を変えて行けるように思います。

本書を批判的に見れば、心構えだけで全てを説明することはできませんし、環境による影響が大きい分野もあるでしょう。ただ、そこを差し引いても、本書の内容は素晴らしく、私は大いに感銘を受ける内容でした。

いくつになっても、努力さえすれば脳もスキルも向上していけます。コツコツ続けるチカラに勝るものはありませんね。

「自分の成長を信じる力」をつけていきたいと改めて思います。正に、ティモンディ高岸さんの「やればできる!」の精神で未来を明るく歩んで行けたらと思います。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。


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書籍:「MINDSET マインドセット

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