やわもち

とある京都の大学生の日記

やわもち

とある京都の大学生の日記

最近の記事

かぞく

一人暮らしをするようになって、家族に愛されていたことを実感した。 別に愛されている実感がなかったわけではないのだけれど、家族の愛にちゃんと気づけたのは、一人暮らしを始めてからだと思う。 父は、どんなに仕事が忙しくても、休日は一緒に出かけてくれた。朝6時過ぎに家を出て、22時過ぎに帰ってくる、遅いと23時を過ぎることもある。そんな多忙な毎日を送っているはずなのに、休日は疲れたそぶりも見せない。口数は多い方ではないのだけど、表情や態度から、愛してくれていることが伝わってきていた

    • 写真

      わりと、写真を撮るのが好きです。 といっても、かっこいいカメラとかではなく、ただの携帯が相棒です。しかもかれこれ5年目でバッテリーへたれてるiPhone11。最近カメラアプリですら時々開けず落ちちゃうぐらいのへとへとな相棒です。 私は忘れっぽいので、綺麗な景色を見ても、1ヶ月後にはあまり思い出せなくなっていることがよくあります。だから、魅力的だと思ったものの写真は、できるだけ撮っておくようにしています。写真は撮ったそのままの様子を残せるわけではないけど、少なくとも被写体のあ

      • ときどき、夜にふっとどこかに出かけたくなる。 そんな日はだいたい、頭の中で悩み事がぐるぐるしていて、ちょっと泣きたいようなときだ。 鍵とスマホだけを持って、家を出た。 生ぬるい夜風を浴びると、もう蛍の季節だね、という誰かの言葉が思い出された。自然と足が哲学の道の方へと向かった。 疏水沿いを辿ってみるけれど、蛍は見えない。微妙な時間だったかな、なんて考えながら立ち止まってぼーっと眺めていると、視界の隅に黄緑色の光が映った。1匹の蛍が控えめに点滅していた。あ、蛍だ、なんて考え

        • 映画館

          友人にふと誘われて、映画を見に行った。 行き先は商店街の中の小さな映画館。行ってみたいとは思っていたけどひとりじゃなかなかいかない場所。しかも夜に映画を見るのは初めて。 選んだのはちょっと古めの洋画。券売機でチケットを買って座席を指定しにカウンターへ。もうほとんどの席が埋まっていた。思っていたよりずっと人気の映画だったらしい。なんとか1番前の席を取った。 映画が始まるまでまだあと20分。映画館の中は混んでいたから時間潰しに古本屋に。古本屋に入るのも久しぶりだった。 色褪せ

          バナナクッション

          新年初の買い物は、バナナクッションだった。 お正月、弟の勉強机の椅子を買い替えにニトリをぶらぶら。結局気にいるものは見つからず帰ろうとした矢先、バナナがふと目に入った。一度通り過ぎてエスカレーターの前まで行きかけたけど、やっぱり気になってバナナの元へ引き返した。 これが私とバナナの出会いだった。 バナナはクッションコーナーのいちばん上の段に並べられていた。セールでちょっと安くなってた。 ちょっと見つめてたら欲しくなってきてバナナを手に取った。もちもちとした肌触り。 バナナ

          バナナクッション

          稲の花

          小学生の頃、毎年夏休みに2週間ほど遠方の祖父母の家へ泊まりに行っていた。 祖父母は農家をしていて、お隣さんは畑を挟んだむこう。家は広くて、松が生えた庭があって、かわいい柴犬がいた。 祖母に夏休みの宿題を見てもらいながら、畑仕事の合間の祖父と柴犬と遊ぶ、そんな2週間だった。 祖父母の家は広くて、小さい頃の私にとってはいつも探検気分だった。叔母の部屋で昔の少女漫画を読んだり、祖父のギターやウクレレで遊んだり、ちょっとほこりっぽい物置で父のドラゴンボールを読んだりした。 家

          ショートケーキのいちごのような

          最近、ひとひら言葉帳というアカウントをフォローしはじめました。 詩や小説、短歌などのうつくしいことばを紹介してくれる、そんなすてきなアカウントです。 うつくしいことばというものは、もとの文章からその部分だけを取り出してきてもきれいなままで、このアカウントで紹介されたことばたちをみると、そのうつくしさに心惹かれてついいいねを押してしまいます。 でも、そのことばたちがいちばんかがやくのはきっと元の文章の文脈の中で、切り取られた部分だけを読むだけではそのうつくしさすべてを知る

          ショートケーキのいちごのような

          もしもしゾーン

          きっと誰もが一度は 「おへそ隠さないと雷におへそとられちゃうよ!」 といった子どもだましの台詞を言われた経験があるだろう。 我が家オリジナルの子どもだましは「もしもしゾーン」だった。 もしもしゾーンとは、路沿いの駐車スペース、未利用地などを利用した、携帯電話等を安全に操作できる駐車帯のことである。この呼び方はおそらく京都オリジナルで、東北では「もしもしピット」という名前がつけられているそうだ。 ↑もしもしピット 我が家での子どもだましなルールは「もしもしゾーンのそばを

          もしもしゾーン

          芋けんぴ食比べ

          芋けんぴ。 それはさつまいもを細長く切ってカリッと油で揚げて、砂糖蜜を絡めたお菓子だ。 この芋けんぴ、どこの県発祥かご存知だろうか? そう、高知県である。 先日旅行で高知県を訪ねたので、芋けんぴが大好きな私はここぞとばかりに芋けんぴを買ってきた。 買った場所はひろめ市場。 ひろめ市場の中で、芋けんぴタワーと呼ばれるその名の通り芋けんぴが山積みになった飾りが置いてあるお土産屋さんは2軒。私はなんとなく細い路地の方のお店で芋けんぴを購入した。お店の前には15種類もの味の芋け

          芋けんぴ食比べ

          鴨川と桜

          春の鴨川が好きだ。 京都に引っ越してくるまで、鴨川沿いの桜がこんなに綺麗だなんて知らなかった。 京都には桜の名所がいくつもあるけれど、私は鴨川の桜が一番好きだ。 この春は、たくさん鴨川の桜を眺めた。 ある日は桜を見ながら河川敷を走った。 夕暮れの空と鴨川、そして夕日に照らされた桜を眺めて走るのは気分が良かった。 ある日はサークルの人とデルタの近くで花見をした。 桜を見ながら同期や先輩とお酒を酌み交わすのはたのしかった。 ある日は友人と飲んだあと、鴨川沿いを歩いて帰っ

          鴨川と桜

          天秤にかける

          「私の好きな色は何だと思う?」 って友達に聞いたら、きっとピンクって答えると思う。 それぐらい、私の周りにはピンクがあふれている。 たとえば、コート、マフラー、お財布、ハンカチ、、、 ネイルの色もピンクだし、マスクの色だってピンクだし、今の髪の毛の色もピンクブラウンだったりする。 でも、ピンクは二番目に好きな色で、一番好きな色は昔からずっと青だった。 プリキュアや戦隊モノで好きになるのはいつもブルーのキャラクターだったし、ポケモンでは水タイプが好きだったし、ショッピン

          天秤にかける

          なかよし

          高校の時からずっと仲良しの友だちがいる。 彼女はハワイ生まれグアム育ちの帰国子女で、日本育ちの私とは育ってきた環境も性格も全く違うタイプだ。 彼女は四字熟語で表すと猪突猛進って感じでしかも恋多き乙女だった。 高校の時は、 「ねえねえこの〇〇くんめっちゃかっこよくない??めっちゃ好きすぎる(写真を見せながら)」 「はいはいその話さっきも聞いたしその写真ももう10回ぐらいみた」 って感じで彼女が好きな人への愛を語って、私が塩対応するというやりとりが毎日のルーティーンだっ

          なかよし

          図書館の魔法

          図書館が好きだ。特に、定期試験前の大学の図書館の雰囲気が好きだ。 定期試験前の休日の図書館は、よく暖房が効いた館内に所狭しと人が座っている。 真面目にレポートを書いている人、なにか難しそうな問題を解いている人、気怠げに机に向かってぼーっとしている人、居眠りしている人、、、 そんな学生たちの群れの一部になりながら、私も定期試験の勉強をする。 パソコンを開き、授業資料を見ながら課題の復習をしたり、レポートを書いたり。 疲れてきたら甘いミルクティーで糖分補給をして、また勉強

          図書館の魔法

          やる気スイッチ

          やる気スイッチ〜君のはどこにあるんだろう〜♪ 最近聞かなくなったこのメロディ。いつ頃からcmで流れなくなったのだろうか? やる気スイッチではないのだけれど、私にもなんかスイッチみたいなものがある。 このスイッチは自分ではうまく切り替えられなくて、実家に帰ると必ずオフになってしまう。 オンの時はしっかりしているのだが、オフになると気が抜けてぽんこつになってしまう、そんなスイッチだ。 最近のいちばんのぽんこつエピソードは、大掃除をしていたときにぼーっとして歩いていたら柱にぶ

          やる気スイッチ

          来世は猫になりたい

          「来世は猫になりたい」そんな名前のアイシャドウを買った。凛とした白猫を彷彿とさせるような、そんな色のアイシャドウ。 もちろん見た目がきらきらしててかわいいのも買った理由の一つなのだけれど、一番の決め手はこの名前だった。 もし来世があるのなら、毛並みがふわふわで目がまんまるな猫に生まれ変わって、こたつでのんびりしていたい。まったりお昼寝したい。 今の生活に不満があるわけじゃなくて、むしろ毎日楽しくてとっても満足してるんだけど、時々こんな風に猫になりたくなる。特に忙しくて疲

          来世は猫になりたい

          紆余曲折

          小学生の頃は小説家になりたくて、中学生の頃はお医者さんになりたくて、高校1,2年生の頃は薬剤師さんになりたくて、今は京大の農学部にいる。 小学校は普通だったけれど、中学校は荒れていた。窓ガラスが何十枚も割れたりするし、廊下の時計はガラスが割れて針が捻じ曲がっているし、靴箱は金属製なのにバットか何かで下半分が壊されているし、1時間に何回も火災報知器がいたずらで鳴らされていた。 勉強してるのなんておかしい、という雰囲気だった。ヤンキーが持て囃される世界で、先生もヤンキーのこと