鴨川と桜
春の鴨川が好きだ。
京都に引っ越してくるまで、鴨川沿いの桜がこんなに綺麗だなんて知らなかった。
京都には桜の名所がいくつもあるけれど、私は鴨川の桜が一番好きだ。
この春は、たくさん鴨川の桜を眺めた。
ある日は桜を見ながら河川敷を走った。
夕暮れの空と鴨川、そして夕日に照らされた桜を眺めて走るのは気分が良かった。
ある日はサークルの人とデルタの近くで花見をした。
桜を見ながら同期や先輩とお酒を酌み交わすのはたのしかった。
ある日は友人と飲んだあと、鴨川沿いを歩いて帰った。
やや雲がかかった月と、その光に照らされる桜が綺麗だった。平日の夜だったからかあまり人もいなくて、桜と鴨川をひとりじめしているような気持ちになった。
この景色を残してそのまま家に帰ってしまうのが惜しくて、適当に座れるところを探した。友人とたわいもない話をしながら鴨川と桜をただ眺めた。時々鴨の鳴き声がする以外は何も聞こえない、その静かさが心地よかった。いつまでも眺めていられる気分だった。
どんな観光地の桜より鴨川の桜が好きなのは、鴨川が私の生活の一部なのだからだろう。
来年も鴨川の桜をたくさん眺めたいな。きっと来年はもっと鴨川の桜が好きになっている気がする。