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怒りと感情マネジメント
本日の言葉。
「怒りは無謀をもって始まり、
後悔をもって終わる」
(ピタゴラス)
怒りの発生メカニズム
怒りの発生には、扁桃体が関係すると言われています。
扁桃体は大脳辺縁系にあり、情動発現や情動行動の遂行機能に重要な役割を果たしています。
扁桃体が、過去に自身が経験した情動反応の膨大なデータと照合し、脅威(自分にとって好ましくないもの)かどうかを判断します。
脅威と判断されたときは扁桃体が瞬間的に大脳全体にアラームを発します。
怒りが発生する原因
怒りの原因を考えるキーワードは「べき」という言葉です。
それは、日常生活や仕事上の様々な場面で発動される、各自の「核となる信念(コアビリーフ)」(以下「コアビリーフ」)がベースにあります。
コアビリーフとは、自分の大切なもの、一人ひとりがこれまで人生で長年にわたって学んだり、経験しながら築き上げてきた、独自の「価値観」「ルール」「正義」「基準」のようなものです。
この「べき」という言葉は、他人の言動や出来事に対する「期待」と言い換えることもできます。
一般に、私たちは、日常生活や仕事上のあらゆる場面で常に自分にとって都合の良い理想的な展開を期待しています。
この期待が裏切られること、すなわち「理想と現実のギャップ=期待外れ」がイライラや怒りの原因となります。
怒りが勃発する状態
自分の「べき」が裏切られた瞬間に「怒りの炎」が燃え上がります。
炎を燃え上がらせる燃料ガスとなるのは、マイナスの感情・状態です。
マイナスの感情とは、不安、心配、悲しい、怖い、焦りなどです。
マイナスの状態とは体調不良、疲労感、睡眠不足、空腹などの状態で、
これらの存在が大きいと、怒りの炎が大きく燃え上がります。
問題ある怒り方
問題のある怒り方は、職場の雰囲気を悪化させ(情動感染)、周囲との関係を破壊して信用を失わせるだけでなく、自分自身と周囲の仕事の効率を低下させます。
1.強度が強い
ちょっとしたことで激高したり、一度の怒りでとても強く怒ることです。
2.持続性がある
昔の怒りを思い出したり、持ち続けたり、怒っているときに過去の怒りを「足し算」して怒るような怒り方。
3.頻度が高い
一日中イライラしている、カリカリしているような周囲に不機嫌をまき散らす怒り方。
4.攻撃性がある
怒りを人にぶつける、自分の中にため込む(我慢、自己否定など、自分を攻撃対象にして傷つける)、物を壊す(壁を蹴る、ドアを手荒く閉めるなど)のように、怒りの攻撃性を適切ではない方法で発散しようとすること。
怒りが職場にもたらす影響
1.人間関係・メンタルヘルスを破壊し離職が増加
パワハラにより人権侵害を受けた被害者は仕事へのモチベーションを喪失し、メンタルヘルスや幸福感が損なわれます。
2.インシデントを誘発
パワハラの発生直後は、被害者の注意力や集中力を低下させ、適切な判断や行動を妨げることからヒューマンエラーが増加します。
3.職場の心理的安全性が低下
パワハラの直接的または間接的(目撃者など)被害者は自己表現を抑制し、適切な情報共有や相談を行わなくなります。
4.職場の雰囲気が悪化
パワハラ被害者以外の周囲スタッフにも、怒りや不安といったネガティブな感情が広まり(情動感染)、2次的な影響を受けてストレスを抱えるようになり、組織内の信頼や連帯感を損ないます。
5.風評被害リスクの増大
パワハラが行政指導や病院名公開、訴訟、マスコミ報道へと発展することでSNSや病院口コミサイトにネガティブな情報が拡散します。
6.訴訟リスク
パワハラ事案が発生した場合、職場及び加害者は、被害者に民事上の責任を問われる恐れがあります。
感情マネジメントスキル「WISERモデル」
怒りをコントロールするテクニックの一つ「WISER」モデルをご紹介します。
WISERモデルは、感情が沸き上がった際に、まず「ギアを1つまたは2つ下げて」反応スピードを遅らせることから始まります。
そして、次の5つのステップを用います。
1.Watch(観察)
「心の一時停止ボタン」を押し、状況全体(環境、相手、自分自身)を見つめます。
2.Interpret(解釈)
その出来事がなぜ起きているのか、自分にとって何を意味するのかを考えます。
3.Select(選択)
状況をしっかり観察し、解釈して視野を広げた後、その状況において自分が目指すべきより望ましい結果(目標)と、その達成に向けて利用できる選択肢を明確にします。
重要なのは対応策に反射的に選択するのではなく、「意図的に選択すること」とされています。
4.Engage(実行)
その状況の改善に最善と考えて選択した対応策を、適切なタイミングで、出来る限り上手に実行します。
5.Reflect(内省、振り返り)
選択した行動の結果、「何が成功し、何が上手くいかなかったか」「今後実践することを学んだか」などを事後に振り返り、将来の行動に役立てます。
参考文献
大浦裕之「医療現場のアンガーマネジメント入門」日経ヘルスケア
最後まで読んでいただきありがとうございます。
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