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アルバムレビュー

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漫然とアルバムを聴いていると印象を忘れてしまうので、アルバムを聴きながら1曲づつ感想を書き留めてみることにしました。特にジャンルレス。その日選んだアルバムを聴いてレビューしていき…
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2021年11月の記事一覧

Night Resident / Darkness Is My Home

Night Resident / Darkness Is My Home

昨日の「Black Soul Horde」と中心メンバー2名が同じバンド。こちらはイニシャルで活動しているようですが、JT=John Tsiakopoulos、CP=Costas Papaspyrouですね。JTはBlack Soul Hordeではリズムギターとベースを兼任していましたが、こちらではベース兼ボーカルのよう。こちらはメタルよりもう少しロック寄りの音像のようです。こちらも2021年作

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Arab Strap / As Days Get Dark

Arab Strap / As Days Get Dark

総合評価 ★★★★★

ロジャーウォーターズとニューオーダーが出会ったような音。スコットランド出身の二人組で16年ぶりのニューアルバムが本作。スローコアに分類されることもあるバンドだが、UKのバンドなのでどちらかといえば抒情派プログレというかピンクフロイドだったり80年代のゴシック、ニューウェーブからの流れをより感じた。スローコアってUSのムーブメント(グランジに対するカウンターパート)だから、似

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Knocked Loose / A Tear In The Fabric of Life

Knocked Loose / A Tear In The Fabric of Life

総合評価 ★★★★☆

激烈に駆け抜けて行くミニアルバム。6曲21分ながらSEの使い方がうまく、不思議なドラマ性を感じさせる。USメタリックハードコアバンドの2年ぶり3作目で、来日公演も経験があるようだ。各種メディアで評価が高いのも納得の出来。SpiritboxやEmployed To Serveに近い、モダンなメタリックハードコアながらこちらはちょっとオカルトロック的な、ダークなポストメタル感も

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花冷え。/ 乙女革命

花冷え。/ 乙女革命

総合評価 ★★★★★

面白いバンド。ヘドバンVol32で取り上げられていて知ったのだが、ガールズミクスチャーメタル。「メタルアイドル」ではなく、ロックバンドで、ベースとなるサウンドはスーパージャンキーモンキーなどに近い(というか、他に類似を思いつかなかった。かなりユニーク)、かなり本格的なヘヴィネスを奏でつつ、どこかサブカルな空気感も纏っている。90年代のインディーズマガジンとか、ガーリックボー

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Vildhjarta / måsstaden under vatten

Vildhjarta / måsstaden under vatten

総合評価 ★★★★☆

思わず語りたくなる作品。気がついたらかなり長文の記事になっていました。謎というか、問いかけてくるものが多い作品。稀有な音楽体験。

これも昨日のコンヴァージとチェルシーウルフの作品に続き、「ヘヴィさ」とは何かということを追求した作品だと感じた。こちらは精緻な抽象画のような世界観で、一つ一つとしてはきちんと輪郭があるのだけれど全体として見たときにはさまざまな要素が混在、共存し

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CONVERGE & CHELSEA WOLFE / BLOODMOON : I

CONVERGE & CHELSEA WOLFE / BLOODMOON : I

総合評価 ★★★★★

「ヘヴィさ」とは何か。音楽で表現できる「重さ」は音圧や純粋な低音のこともあるが、ダークな質感、沈み込む感覚をどう感じさせるか。喜怒哀楽の中で怒や哀、苦悩や苦悶といった表情を音楽で描き出すことも「ヘヴィさ」だろう。そうした手法としてディストーションギターやスクリーム、獣の咆哮のようなグロールなどが生み出されてきたが、よりダークで沈み込むような音像が00年代ごろから現れてきて、

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Silk Sonic ‎/ An Evening With Silk Sonic

Silk Sonic ‎/ An Evening With Silk Sonic

総合評価 ★★★★☆

「完成された消費財」であることを目指したような音楽。最近のBLMだとか少しさかのぼればトランプ政権への批判だとか、メッセージ性が強まりつつあったR&Bやヒップホップのサウンドを純粋な音楽性、サウンドのゴージャスさに引き戻す作品であり、2000年代に戻ったぐらいの音像。ブルーノマーズはハワイアンであり、アンダーソンパークは韓国とのハーフ。そうした「注目されないマイノリティ」で

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Exodus / Persona Non Grata

Exodus / Persona Non Grata

Exodusは、1979年にカリフォルニア州リッチモンドで結成されたアメリカのスラッシュメタルバンドです。スラッシュメタル四天王(メタリカ、メガデス、スレイヤー、アンスラックス)、通称ビッグ4に次ぐ知名度を誇るスラッシュメタルの古豪。Metallicaのカークハメットがもともと在籍していたバンドでもあります。本作は7年ぶり11作目のアルバムで、スラッシュメタル界隈では大きな話題となっています。20

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Every Time I Die / Radical

Every Time I Die / Radical

Every Time I Dieは、1998年に結成された、ニューヨークのバッファロー出身のアメリカのメタルコアバンドです。彼らは、エネルギッシュで激しいライブショーで高い評価を得ています。現在はメロコアの殿堂エピタフレコードに所属。エピタフはきちんとハードコア色の強い、アンダーグラウンド感を保ったままでメジャーで勝負できるようなバンドを抱えているし、そういう音作りも上手い。USではかなり人気のあ

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GREEN LUNG / Black Harvest

GREEN LUNG / Black Harvest

Green Lungは2017年からロンドンで活動しているUKのドゥーム、ストーナーバンドです。TIDAL(使っているストリーミングサービス)で「Luciferを聴いた人におススメ」で出てきました。本作が2枚目のアルバムの様子。こうした関連性レコメンドがTIDALはしっかりしているんですよね。一番精度が高い気が個人的にはしています。1曲目を聞いてみたらカッコいいし、各種メディアで絶賛気味なので聞い

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Black Soul Horde /Horrors From The Void

Black Soul Horde /Horrors From The Void

Black Soul Hordeは2012年に結成されたギリシャのバンドです。2名のギタリストが中心でボーカルを迎えたプロジェクトの様子。この2人はほかにもバンドを組んでいるので盟友的な存在でしょうか。1バンドだけでは食っていけないので複数のバンドをかけ持つ、というのは北欧にも近いですね。アンダーグラウンドなメタルコミュニティではよくある構図。あまり情報がないバンドですが、最初の出会いはたまたまB

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Lucifer / IV

Lucifer / IV

2020年のベストアルバムにも選んだLuciferの新譜。ルシファーは、2014年にフロントウーマンのヨハンナ・サドニスによってベルリンで結成された多国籍ヘビーメタルバンドです。いくつかのメンバーの変更後、ボーカリストのサドニスは唯一のオリジナルメンバーであり、現在のラインナップにはドラマーのニック・アンダーソン(元エントゥームド、ヘラクプターズ)がいます。もともとの活動国はドイツですが、現在ドイ

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Prioritise Pleasure / Self Esteem

Prioritise Pleasure / Self Esteem

Self Esteemは、Rebecca Lucy Taylorが行っているエクスペリメンタルポッププロジェクト名です。2017年からUKで活動中。音楽メディアを集計しているAOTY(Album Of The Year)で2021年のトップに躍り出たので聞いてみます。

テイラーは以前、2006年にシェフィールドで結成されたフォークデュオSlow Clubのメンバーでした。2016年にデュオは音楽

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A Day To Remember / You're Welcome

A Day To Remember / You're Welcome

デイ・トゥ・リメンバー(しばしばADTRと略される、以前はEnd of a Eraという名前で活動)は、2003年にフロリダ州オカラで結成されたUSのロックバンドで、メタルコアとポップパンクの融合で知られています。

本作は5年ぶり、7作目のアルバム。激烈性が後退し、よりポップになった作品と評されているようです。2022年、ダウンロードUK(キャッスルドニントンで開催される旧モンスターズオブロック

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